【邪悪の樹】第二交流フェイズ――理の盃

『拒絶』(@ev_sher) 『無感動』(@Az2_ady) 『愚鈍』(@nowalu) 『物質主義』(@Evil_Quim
0
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

質量法則や空間法則大無視の扉――なんでもありだな、と思った。 男『愚鈍』を追って扉をくぐった先は、来た時と同じ壁一面鏡張りの薄暗い自室だ。 先にくぐった男はすでにそこにいる。 彼には少々…いや、かなり手狭だろう。 先程まであんなに解放感あふれる場所にいたのだから、尚更狭く感じる。

2014-08-21 23:40:57
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

仲間はすでに戻っているのだろうか…男を持って帰ってきただなんて知られたらどんな顔をされるか。 …仲間からの自分への評価はいまいちわからないが、呆れられそうな予感がする。 ともかくこの男の治癒を優先しなければ。

2014-08-21 23:41:36
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「そこのベッドに横になってもらえますか。」 元々自分用だったから、全く男のサイズに合っていない…が、大丈夫だろう。 「今から貴方の腕の接合、輸血その他治療を行います その為少しの間眠ってもらいますが―…起きた時には終わっているでしょう。」 ちらりとそこに転がっている腕を確認する。

2014-08-21 23:42:53
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「腕接合はそのままだと私が何となく嫌だからです。再び動くという保証は殆どありません。」 自室の扉を凍らせる。 「再び目覚めた時、私はこの部屋にいないかもしれませんが――まぁ近くにいるでしょう。 仲間が驚くのであまり屋敷内をうろうろしないでください。いずれ屋敷内は案内しますから。」

2014-08-21 23:44:45
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

ほかに言っておくことはないか、と少し考えるが特に思いつかない。 ともかく早く終わらせて仲間の安否も確認しなければ。 彼女は男の瞼に手を添えて、目を瞑らせる。ひんやりとつめたい、彼女の温度。 「では少しの間――…おやすみなさい。」 その瞬間、部屋の温度は一気に下がる!

2014-08-21 23:45:17
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

それと同時に現れるのは大量の医療器具。 …この屋敷は本当なんて便利なのだろう。 男の息が深くゆっくりとしたものになったのを確認すると、頭の中の知識を引きずり出す。 無駄に本だけはある屋敷だ。知識だけは膨大に手に入る。 ふぅ、と一息つき、メスを手にした。

2014-08-21 23:45:32
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

――――――――― ―――――――― ――――――

2014-08-21 23:45:44
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

扉を封じた氷を解いて、外に出る。 あの男と戦ったのもそれ程長い時間ではなかったように思うが、それでもどこか懐かしい感じがした。 男との戦いを思い出す。 なぜ私はあんなことをしたのだろう。 今でも理解できない。 自殺だなんて勝手にやらせておけばよかったのに、どうしても許せなかった。

2014-08-21 23:46:42
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

たしかあの扉をくぐる前――少なくともあの手紙が来る前はそんなことなかったのに。 命の大切さだなんてそんなこと、どうでもよかったのに。 …先程から胸に違和感を感じる。 物理的ではない、何か――― この気持ちに気付いてはいけない…思い出してはいけない…っ!

2014-08-21 23:47:00
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「…う、」 ―――ズキッ 突如酷い痛みが彼女を襲う。 喉の奥から、熱いものが―― 「っ、ごほっ、げほっ…、」 …血だ。 今の今まで忘れていた。自分も何だかんだ重症を負っている。 周りを確認する。誰もいない。 ――よかった。 こんな無残な姿、仲間には見られたくない。

2014-08-21 23:47:39
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

自分のモノだけではないが血だらけで、さらに土までついてる。 「…こんな状態でも、お風呂って入ってもいいのでしょうか…」 誰に聞くわけでもないが、ぼそりと呟く。 自分で治癒したいところだが、そんな器用な事はできそうにない。 ともかく、こんな汚れた状態が嫌だ。

2014-08-21 23:47:59
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

壁に手をついて、浴室へ向かう。 はっとして壁をみると、自分の血が―――…しまった。 「…あとで、綺麗に掃除します…」 またぼそりと独り言。 あの男はまだ目を覚まさないだろう。 仲間に遭遇する前に、身なりを整えることにした。

2014-08-21 23:48:15
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

物理法則を無視した扉を潜るとそこは、見慣れない景色だった。 それもそうだ、『愚鈍』が元いた場所などではない。間取りも、雰囲気も、匂いも、空気も全てがあちらとは違う場所だ。 だとしても、そこはあまりにも奇妙な部屋だった。全面ガラス張り。普通の人間ならば部屋としては作らないだろう

2014-08-22 00:25:47
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「……あぁ」 女に言われるがまま、備え付けられたベッドに身体を落ち着ける。愚鈍にはあまりにも小さく、尻の落ち着きが悪い。 それでも、フラフラな身体からしてみればオアシスのようなものだ。 女に言われるがままに目を閉じたその時には、既に意識は海の底であった。

2014-08-22 00:25:50
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

汚れた服を脱ぎ捨て、鏡を見る。 …外傷は殆どないが、右側胸部から側腹部にかけて打撲痕があった。 肋骨骨折と、肝臓損傷…

2014-08-22 21:17:49
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

あの戦いでくらったのはたった一撃。 なのにここまでダメージを受けてしまった。 未だ外に出れていないということはきっとまだ戦いがあるのだろう。 不測の事態だったとはいえ、より気を引き締めなければとため息をつく。 それを隠すように身体にタオルを巻き浴槽へ向かう。

2014-08-22 21:18:07
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

汚れた身体を清め浴槽からあがり、濡れた髪をまとめる。 そして新しい服を着て――…耳を澄ます。 この屋敷に帰ってきてからそれなりに時間が経つが、人の声が一切聞こえない。 特に【残酷】の声は屋敷のどこにいてもだいたい聞こえていたのに。 まだ帰ってないのか…それとも…

2014-08-22 21:18:24
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

…それ以上考えるのはやめた。 髪を乾かし一度本当に誰も帰ってきていないのか確認しようと大広間へ向かおうとした途中、ふと窓の外に動くモノが目につく。 白い小鳥だ。 小鳥もこちらに気が付いたのか、しきりに窓をコツコツとつついている。

2014-08-22 21:18:54
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

なぜまたこんなところに…と思いつつも窓をあけると、小鳥は飛び去ってしまった。 代わりに封筒と…赤い果物のようなものが2つあった。 封筒は少し分厚い…手紙だけが入ってるわけではなさそうだ。 それに…果実自体もだが、それよりもその数が気になる。 2つ。たった、2つ。

2014-08-22 21:19:22
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

元々この屋敷にいたのは5人。 もしこれが人数分だとしたら、今自分が把握している人数…自分とあの男の分だけだったら? …ともかくこれは推測でしかない。そのことについてもこの封筒に入っているであろう手紙に書いてあるだろう。 封筒を開こうとする手が震える。

2014-08-22 21:19:47
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

意を決して開いてみると、思った通り手紙と…あとは何枚か写真のようなものが同封されている。 その中の一枚を手にする。 そこに映っていたのは… ―――彼女の手から、封筒が落ちる。 ――手にした一枚をずっと見つめたまま。 ―――――頭が、いたい。 ―――まっしろい雪と、赤く染まる、雪。

2014-08-22 21:21:02
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

彼女は頭を抱え、蹲る。 いやだ、これは、いやだ、いや―――…!! 先程起こったことのように鮮明に脳裏に映るもの。 身体中が、いたい。 震えが止まらない。 屋敷の廊下で1人、彼女は蹲ったまま動かない。

2014-08-22 21:21:18
武殿仁将 @rp_20kw

 扉をくぐって帰還した先は、見慣れた邸内だった。  しかし、人の気配はない──皆、先に戻って散らばっているだけだろうか。それならいいのだが。もしくは逆に、遅れているのか。  殺し合い──と銘打っていたのだから、無論それだけで済むはずもないだろうけれど。

2014-08-21 21:39:35
武殿仁将 @rp_20kw

 とりあえず広間まで戻っておけばいいだろうか、と考える。歩き始める前に、物質主義を振り向いた。 「ここが俺たちの屋敷だ──おまえらんとことどんだけ違うかは知らないけどな。ゆっくりしてけ、他の連中には俺から話をつけとく」  他に誰も帰って来なければ──という可能性は、あえて省いた。

2014-08-21 21:40:06
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

手を引いてくれる『拒絶』に続き、『物質主義』も扉をくぐり抜ける。瞬間、誰かに呼ばれたような気がして振り返るが誰もおらず、首を傾げながら敷地に足を踏み入れた。 人気ない部屋にあるのは山のような本とインクのにおい。自分たちの屋敷と同じようで、けれど自分は「余所者」だと肌で感じる。

2014-08-23 02:40:50
1 ・・ 7 次へ