【邪悪の樹】第一交流フェイズ――『智の剣』陣営

『色欲』(@VIXI_atom) 『物質主義』(@Evil_Quim) 『愚鈍』(@nowalu) 『醜悪』(@kaituls) 『貪欲』(@ToEvil_yuina
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『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

バサリと窓の向こうから音がした。普段ならば気に留めることもない鳥の羽音だったが、それが此方に向かってきているとなれば気にしないわけにもいかない。『貪欲』は窓を開け身体をズラす。流れ込む風に、赤い髪が揺れる。 バサリ。鳥は大きな音を立て、それが当然であるかのように窓枠に降り立った。

2014-08-09 18:09:10
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

「なんだ、お前」 見たこともない白い鳥。猛禽類にも見えるし、可愛らしいコマドリにも見える。『貪欲』は己の知識に無いその鳥に興味を示したが、それ以上にその首にかかる筒らしきものに気を引かれた。 手を伸ばし、筒を取る。すると、鳥は高らかな鳴き声を上げ、飛び去って行った。

2014-08-09 18:09:14
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

なんだったんだ、アレは。気になったが、それより先にこの筒だ。『貪欲』は躊躇いなく筒を開け、中に入っている紙を取り出して広げた。 紙はどうやら手紙らしい。そこに書かれた文字を追い、『貪欲』はニヤリと口端を上げた。 「面白ェことになりそうじゃねぇか」

2014-08-09 18:09:18
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

手紙を懐にしまい、窓を閉める。これから『貪欲』がするべきは、仲間を大広間に集めることだ。自室に向きかけていた足をくるりと返して、『貪欲』は足取りも軽く歩き始めた。

2014-08-09 18:09:25
『醜悪』カイツール @kaituls

屋敷の大広間、その一角。巨大なぬいぐるみは其処にあった。 ティディベアに犬の頭を縫い付けたような、歪なぬいぐるみ。天井にすら届きそうなそれは、壁に寄りかかるように座っていた。 ——その腕に埋もれ、眠る男が一人。体を赤子のように丸め、すやりと穏やかな寝息を立て、静かに眠っている。

2014-08-09 18:18:15
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「さぁ、かくれんぼをしよう」 それは、とてもよく通る声だった。 広い屋敷のとある一室、そこで手足を縛られ怯える数人の子供達に向けて、声の主である『色欲』は笑顔のまま言葉を続けた。 「範囲はこの屋敷の中。鬼は僕がやるから、君達はただ逃げるだけでいい」

2014-08-09 18:56:01
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

笑顔と言っても張り付いた道化の仮面が浮かべている笑みであるから、その下がどんな顔なのか、彼と対面する子供達には分からない。 だが彼が携えている血の滴った刃物をみれば、少なくとも彼がまともでない事は火を見るより明らかだったのだろう。手足の縄を解かれた彼らは一目散に駆け出していった。

2014-08-09 18:56:59
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

それを手を振りながら見送った後、『色欲』は近くの椅子にゆっくり腰を下す。 望めば何でも手に入る屋敷。そんな屋敷だからこそできるこのゲームが彼は大好きだった。 「楽しみだなぁ」 もうすぐ聞く事が出来る子供達の悲鳴を心待ちに、道化師は数を数え始めた。

2014-08-09 18:59:18
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

快適な温度と湿度に整えられた部屋、大きなベッドで【物質主義】が飛び起きる。被っていた掛け布団ごと震える体を抱きしめる。あちこちにある金属の像が共鳴するようにカタカタと揺れる。

2014-08-09 19:24:20
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

夢見が悪かったのだろうか、いつもなら寛げるはずの自室にいつにない不安を覚える。 (だれか、)咄嗟に部屋を見回し、返ってきた静寂に一層不安を煽られる。 ここは怖い、どこか、人のいる場所へ。椅子にかけていた白衣を掴み、彼は部屋を飛び出した。

2014-08-09 19:24:31
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

タン、タン、と足音を立て、廊下を進む。『醜悪』『色欲』『物質主義』『愚鈍』。さて、誰の部屋から訪ねるかと考えていると、廊下の向こうから足音が聞こえてきた。パタパタ、パタパタ。小さな軽い足音だ。『物質主義』の物より、更に軽い気がする。『貪欲』はスッと廊下の影に隠れた。

2014-08-09 20:01:08
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

その前を、子供が駆けて行く。『貪欲』に気付く気配はなく、ただひたすらに必死に足を動かしていた。「またやってんのか」湧いたのは、そんな感想。誰が何をやっているのかは考えずとも分かる。溜息を吐いて、『貪欲』はまた歩き出した。

2014-08-09 20:01:18
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

タン、タン。さて、彼らは何処にいることか。一度大広間を覗こうか——懐から手紙を取り出して、再度読み直しながら歩く、その耳朶に、バタンと大きな音が響く。扉の音だ。『貪欲』は顔を上げ、音の方へと足を向けた。 その先にあるのは、『物質主義』の部屋の筈だ。

2014-08-09 20:01:26
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

部屋を飛び出したものの、不安に支配された頭に行き先を考える余裕はない。慣れない全力疾走であっという間に息が上がる。苦しさに涙が浮かぶ。 建物の中心を目指し通路を曲がる、輪郭の滲んだ視界に映り込んだのは炎みたいに鮮やかな髪の色。 「『貪、欲』」

2014-08-09 20:37:08
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

握っていた白衣でぐしぐしと目を拭い、目の前の彼をもう一度確認する。 うん、間違いない。『貪欲』だ。 見知ったその姿に、胸を引っ掻き回していた不安が少し和らぐ。

2014-08-09 20:43:16
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「『貪欲』、」声に出せば確信は強まり、不安の霧は晴れてゆく。 心が落ち着けば、視界に入るものも増える。 「あ…それ、ど、かしたの?」 弾む息を整えながら、『物質主義』は『貪欲』の手にある紙を指し示した。 見えない部分――夜着のままの己にまで、気を遣る余裕まではないようだが。

2014-08-09 20:57:43
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

突然飛び出してきた金色に瞠目し、身構えた。 「……『物質主義』か」 しかし直ぐにそれが屋敷に住まう仲間だと察して警戒を解き、改めて『物質主義』に向き直る。そして、眉間に皺を寄せた。 走ったのか乱れた淡い金糸。ほんの一瞬見えた不安そうなヘーゼルの瞳と、それを拭った白衣。

2014-08-09 21:16:07
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

弾む息。着たままの夜着。明らかに普通でない様子に、『貪欲』は頭を掻く。 「んー……まあ、手紙、なんだけどよ」 指し示された疑問には答えつつ。それ以上に重要なことがあると、一歩近付いて問いかける。 「それよりお前、どうした?何かあったか?」

2014-08-09 21:16:18
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

距離を詰めた『貪欲』の真剣な、こちらを気遣うような声音。何かって一体何が、と一瞬戸惑い、先程の動転と今の格好に思い至り、みるみる頬が紅く染まる。 「……あ、いや、その」慌てて記憶の残滓をかき集めるが、彼を怯えさせたそれはもう殆ど残っていなかった。 「えっ、と……ありがと。ごめん、

2014-08-09 21:45:28
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

言葉に詰まる様子に、急かすことなく口を噤んで待つ。みるみると紅く染まっていく頬に、現状を見られたくないのかと思って壁に掛けられた絵画へと視線を投げた。 赤を基調とした絵は、燃えるよう。 「夢、か。夢は怖いな。自分の意思じゃなかなかどうにもなんねぇ。まあ、何もなかったなら良かった」

2014-08-09 22:04:59
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

そう言いながら、穏やかに笑う。それからヒラリと手に持った手紙を振って。 「これ、面白ェ手紙だから全員に見せようと思ってよ、これから大広間に行くんだが、お前もどうよ?」

2014-08-09 22:05:26
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「ありがとう。うん、何もなくてよかった」 穏やかな笑みが心を内から温める。『貪欲』の気遣いとやさしさにもう一度、感謝を伝えた。 持ったままだった白衣を羽織りボタンを全てはめる。外に出るわけではなし、なんとか誤魔化せるだろう。

2014-08-09 22:28:15
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

彼の持つ手紙が運んできたのは極上の娯楽だと、その声と仕草が雄弁に語っている。 「いいね、君が言うならきっととびきりなんだろう?」 声が笑んで弾んでいる、先程とは異なる理由で鼓動が高鳴るのを自覚する。 遊びの誘いには迷わず乗るのが「男の子」という生き物だ。

2014-08-09 22:34:11
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

大きな布の山が動いた。 それはもぞりとベッドから這い出ると、実に自然な動きでそこから落ちた。 ベッドから床のカーペットまでそう距離があるわけではないが、それが大きいせいか鈍い音が部屋に響く。 「あ?……で?」 被せてあった布が剥がれ、中から大男が現れる。

2014-08-09 21:56:47
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