【邪悪の樹】第一交流フェイズ――『智の剣』陣営

『色欲』(@VIXI_atom) 『物質主義』(@Evil_Quim) 『愚鈍』(@nowalu) 『醜悪』(@kaituls) 『貪欲』(@ToEvil_yuina
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『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「ああ…………?」 彼……『愚鈍』は今自分が見ている光景がいつもよりもいくらか低いことに疑問を持ちながらものろのろと起き上がる。 「あっ……」 起き上がり、背伸びをしようとした所で頭が天井にあたり先ほどよりも重い音が生まれる。 「あで、ぶつけちまった」

2014-08-09 21:56:49
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

しかし大して痛くはないのか、他人事のような感想を漏らすと、もうぶつけないために背を丸める。 「なに……してたんだっけ」 ぐるりと、自分のいる部屋を見渡す。 男の腕が二本入るかどうかの窓に、恐らく存在する意味を為していない普通の箪笥。壁には何も掛かっておらず、実にシンプルだ。

2014-08-09 21:56:55
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「何……してた」 覚えていない。ここ暫くの記憶は曖昧だ。ずっと似たような時間を過ごしていたような気がする。 「みんな……いるかな」 みんな。そう漏らしてから、ここに自分以外の存在がいることをようやく思い出し、にたぁと深い笑みを讃える。 そのまま、のそりのそりと部屋を飛び出した。

2014-08-09 21:57:04
『醜悪』カイツール @kaituls

男は、『醜悪』は眠っている。巨大なぬいぐるみは、彼を守るように、揺りかごのように、抱いていた。 ふと、大広間の扉が開く。逃げ込むように入ってきたのは、子供だった。犬の頭がぐるりと動き、子供を見据える。子供はそれに気づかずぬいぐるみに駆け寄り。——その音に『醜悪』は身動ぐ。

2014-08-09 22:09:33
『醜悪』カイツール @kaituls

——彼の眠りを、誰とも知らぬ子供が遮った。 ぬいぐるみは腕を振り上げる。彼の眠りを遮った子供を叩き潰さんと、それは振り下ろされる—— 「だめ、まって」 ——直前で止まった。 大広間に響く制止の声は、ぬいぐるみぬ腕の中からだった。気怠げに体を起こし、『醜悪』は眼を細め、子供を見る。

2014-08-09 22:10:29
『醜悪』カイツール @kaituls

(そういえば子供のぬいぐるみ、そろそろ欲しかったんだよなあ。いいなあ、あの身体。小さくて、瑞々しくて) くるくると思考を回しながら、子供を見つめ続ける。子供は蛇に睨まれた蛙のように硬直したまま、動かない。 (あれ、誰のかな。ああ、でも、) 「——ねむい、」 たった一言。

2014-08-09 22:10:38
『醜悪』カイツール @kaituls

それだけを零し、『醜悪』はぱたりと倒れた。やがて寝息が聞こえてくる。 振り下ろす形で止まっていたぬいぐるみの腕は元の位置へ戻った。犬の頭がぐるりと回り、動かなくなる。子供は再び逃げ出すように大広間から出ていった。 大広間は巨大なぬいぐるみと眠る男だけとなり、寝息だけが響いている。

2014-08-09 22:10:57
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「こんなにあっさり見つかっちゃうなんて、君は随分かくれんぼが苦手なんだね」 50辺りで、数を数えるのはもう止めてしまった。 ずるり、ずるりと何かを引きずる雑音と共に廊下を歩く道化は、そういって傍らの子供に話しかけた。 …いや、それはもう、『子供』と呼ぶにはやや不正確かもしれない。

2014-08-09 23:00:48
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

つい先程まで確かに『少年だった』それは、今では最早雑音の原因であるただの肉塊と成り果ててしまっていたのだから。 「ああでも落ち込む必要はないよアレッシオ。人間誰だって得意不得意はあるものだし、そんな君も僕は愛してるから」

2014-08-09 23:01:44
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

うっとりと恍惚の声をかけられた肉塊に顔はない。ナイフで抉り出された血と肉を撒き散らしながらただただ道化師に引きずられていく。 そんな『元少年』の惨たらしい姿を見て背筋を駆け上るような快感を感じながら、次の子供を探す為、『色欲』は一歩、また一歩と廊下を進んで行った。

2014-08-09 23:02:38
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

白衣を羽織る様を横目に留めつつ、手紙を改めて見返す。そこに書かれている内容に口角を上げ、弾んだ声の返事に満足そうに頷いて、手紙を懐にしまった。 「ああ、とびきりだ。きっと期待して良い。だからほら、さっさと行こうぜ。早く話してぇんだ」 そう返す『貪欲』の声も喜色で弾んでいる。

2014-08-09 23:03:56
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

歩き出したその歩調も心なしか早めで、大広間を目指し。 「大広間に全員居りゃあ楽で良いんだがなぁ」 それまでの廊下でも他の仲間に会えないものかと気配を探りつつ、『貪欲』は呟いた。

2014-08-09 23:04:30
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「んん?」 まるで象のように、のしりとゆっくり廊下を闊歩していると足元に何かの影が映り込んだ。 「君……だれ」 顔を向けると、そこにいたのは一人の男の子。どうやら『愚鈍』の大きい脚にぶつかってしまったらしく、尻餅を付いている。 声を掛けると、ゆっくり顔を上げる。

2014-08-09 23:15:18
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

何故か鼻水だらけのその顔は、一瞬喜びの色を携えて…………しかし愚鈍を見るなりすぐにその色は恐怖へと変わった。 「あで……おまえ、だれ」 ずいと身体を近付ける。しかしその顔は更に恐怖の感情を浮かべており、その身体は愚鈍から遠ざかろうとする。

2014-08-09 23:18:02
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

無理もない、とても人とは思えないほど愚鈍の身体は大きい。更に彼の顔は口元以外長い前髪に隠れており、子供からすれば化け物としか映らないだろう。 「なんで……にげる」 後ずさる子供に手を差し伸べる。 食われるとでも思ったのだろうか。子供は、愚鈍から背中を向け、不恰好ながらも逃げた。

2014-08-09 23:20:27
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「ああ……?」 子供の逃げた先を視線で追うと、新しい二人の影。 やっと見つけられたと喜ぶのも束の間、挙げかけた手を下ろし、話しかけるかどうかで迷う。 愚鈍としてはつい今しがた逃げられたばかりなのでいかんせん話しかけることに躊躇いが出来てしまった。

2014-08-09 23:27:21
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「まぁ、いっか……」 考えることは、この男には苦手だ。ぼりぼりと頭を掻くと、とりあえず二人の後に着いて行く。

2014-08-09 23:28:29
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

喜びに弾む声、速まる足。『貪欲』の期待と喜びに同調するように、『物質主義』の心も弾む。 「そうだね、早く行こう。きっとみんないるさ」 大広間に向かい歩き出す『貪欲』を小走りに追いかけたとき、彼の耳は背後から2種類の音を拾った。

2014-08-09 23:51:03
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

ひとつはパタパタと軽い音、ふらつき乱れた速い動き。この屋敷でしばしば聞く、見知らぬものの足音。 ひとつは重さで床材がたわむ音、ゆるりと慌てず一定の速度。毎日見慣れて聞きなれた「彼」の足音。

2014-08-09 23:56:06
【物質主義】(キムラヌート) @Evil_Quim

「少なくとも、待ちぼうけする羽目にはならなさそうだよ?」 うんと背伸びをして、隣を歩く『貪欲』にこそり囁く。 戻した踵を軸に反転、くるりと後ろを向いた彼は駆けてくる子供など見えぬように、男に手を振り、話しかけた。 「おはよう、『愚鈍』。よく眠れたかい?」

2014-08-10 00:03:47
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「あで……おまえ…………」 こちらを向くは白い男。どうやら自分に気付いたようで声を掛けられる。どうやらこちらとは面識があるようで、爽やかな対応だ。 「う、ん……眠れた」 対して愚鈍は、その彼の名前を思い出せずしかし失礼にならないよう返事だけはする。

2014-08-10 00:17:04
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

背後から聞こえるゆるりとした重い足音。隣からの囁きに足を止めて、『貪欲』は振り返った。駆ける子供は無視を決め込んで、現れた巨体——『愚鈍』に目を向けた。 「相変わらずデケェなぁ、お前は…」 羨ましくはない。全く羨ましくはないが、些かコンプレックスが刺激される。フゥ、と溜息を一つ。

2014-08-10 00:31:06
『不安定』インスタビリテート @ToEvil_yuina

「おーい『愚鈍』、ちゃんと起きてっか?俺らの名前、ちゃんと分かるかよ」 ヒラヒラと手を振って、声をかける。目は前髪に隠されて見えないが、『愚鈍』の発する空気でなんとなく考えてることは察せられる。彼の頭の回転が多少遅いのは、既に知っていることだ。

2014-08-10 00:31:13
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「ああ……ええ……起き、てる」 思い出そうと頑張って記憶を探り出す。しかし途中の問い掛けにも答えなくてはならないので、きちんと答える。 「ええ……と」 そんなことをしていると、また記憶が薄らいでいく。 愚鈍には、これが駄目だということが分からない。

2014-08-10 01:01:39
『愚鈍』エーイーリー @nowalu

「えと……」 見下ろすと、目に映るのは白衣の男と赤い髪の男。 「『貪欲』と、『物質主義』……?」 地に響くような低い声で、ようやく答えを導き出す。見た目から、二人のこと……そして彼らがどのような人間か徐々に記憶が回ってくる。 「お、思い出した……」 にたり、と二人に笑み。

2014-08-10 01:04:28
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