黄昏町(柊)十三日目

病院!鬼!バトル!新しい異形の発現で戦いは新たなステージへ!(後半は嘘) 初日/一日目→http://togetter.com/li/849906 前日/十二日目→http://togetter.com/li/857714 翌日/十四日目→http://togetter.com/li/858339
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@hiiragi_r_t_d

【十三日目】 [ハンドアウト]気が付くと、君は病室の中央で、拘束衣を着せられている。《力5以上で【拘束解除】》《開始地点[病院]shindanmaker.com/541541#黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541552 #hollytk

2015-08-07 22:02:47
@hiiragi_r_t_d

おはようございま………なんだ、この状況。 目覚めたらベッドに寝かされていた。拘束服を着せられている。 「キツい……苦しい……」 拘束服のベルトはこれでもかとばかりにきつく締め上げられていた。 「誰かーー!これ解いて下さーーい!」 01 #hollytk

2015-08-07 22:03:10
@hiiragi_r_t_d

助けを求めても応えるものはなし。 壊して怒られるのは嫌だが、誰もいないのでは仕方がない。 切って脱出しよう。………切って? 02 #hollytk

2015-08-07 22:04:09
@hiiragi_r_t_d

私に「切る」異形は備わっていないはずなのに、私はごく自然に「切る」という発想に至った。 伝い歩きをしていた赤子が、ある日突然普通に歩き始めるように。 新たな異形が、自らの存在を主張しているのではないか? 03 #hollytk

2015-08-07 22:05:09
@hiiragi_r_t_d

私は全身に力を込める。すると体中から鋭い棘が飛び出した。30cmほどの棘はベルトの留め具を破壊し、ベルトと拘束服、そしてその下に着たままだったジャケットやシャツやズボンをズタズタに引き裂いた。 ……………強力な異形だ。あまり多用する気にはなれないが……… 04 #hollytk

2015-08-07 22:06:15
@hiiragi_r_t_d

とりあえずベッドから脱出する事に成功した私は何度か棘を出し入れし、もう少し上手く扱えないか試した。 が、何度やっても剣のように鋭い棘は全身から飛び出す。 しかし、飛び出す方向と長さは制御出来るという事に気が付いた。 05 #hollytk

2015-08-07 22:07:13
@hiiragi_r_t_d

「よっ、と」 投げ上げた五円玉の穴を、人差し指から伸びた棘が見事に貫いた。 「ふふふ」 無意識に笑いが零れる。 棘はゆっくりと人差し指の中に吸い込まれ、指の上には五円玉が残った。 「あっ」 06 #hollytk

2015-08-07 22:08:33
@hiiragi_r_t_d

バランスを崩し、指から落ちた五円玉が転がっていく。 コロコロコロコロコロコロ…… 今更五円程度惜しくもないが、何となく私は追いかける。 五円玉は病室の唯一の出入口、ドアの下に滑り込んでいった。 07 #hollytk

2015-08-07 22:09:17
@hiiragi_r_t_d

私は五円玉を探してドアの下を覗き込んだ。 「あれー、見当たらな、ヒィッ!」 急いで顔を上げた私は、恐る恐るもう一度、ドアの下を覗き込む。 08 #hollytk

2015-08-07 22:10:31
@hiiragi_r_t_d

どうやら見間違いでは無かったらしい。 私がドアの向こうに見たものは、毛むくじゃらの太い足だった。 草履と足袋だったと思しきボロ切れが足にまとわりつき、その間から恐ろしげな爪が伸びていた。 「え……………え?」 ここは、病院ではないのか? 09 #hollytk

2015-08-07 22:12:00
@hiiragi_r_t_d

仮説1、足の異形の持ち主。 仮説2、変わった置き物。 仮説3、理性を失ったバケモノ。 さっきまでドアの向こうからは音なんて少しもしていなかった。 バケモノが静かに出来る訳がない。 故に、仮説3はありえない。 10 #hollytk

2015-08-07 22:12:50
@hiiragi_r_t_d

そう言い聞かせて自分を奮い立たせた私は、思い切ってドアを開けた。 「こんにちは!」 果たしてそこには、鬼がいた。 11 #hollytk

2015-08-07 22:13:35
@hiiragi_r_t_d

頭と手足を覆う、癖の強い剛毛。 眼前の私を睨み付ける、恐ろしい形相。 今しがた返り血を浴びてきたかのようにヌラヌラと光る、紅い肌。 はち切れんばかりの暴力を秘めた、丸太のような腕。 そして、明らかにこの世のモノではない、白目も瞳孔もない眼。 12 #hollytk

2015-08-07 22:14:21
@hiiragi_r_t_d

「縺励譁ュ励′陦ィ遉コ縺輔」 「ッ!!」 鬼が口を動かす。身体が反射的に動く。無数の棘が床に伸び、反動で私は勢い良く飛び下がった。 「………縺ェ縺ゥ縺ァ豁縺ェ縺樟雎。」 口が歪んだように思えた次の瞬間、鬼はこちらに向けて猛烈な勢いで突進してきた。 13 #hollytk

2015-08-07 22:15:10
@hiiragi_r_t_d

カーテンが、ベッドが、点滴台が、鬼の進路上にあった物体はその全てが腕の一振りで粉砕される。 破壊の権化が近付く。圧倒的な死の気配。 もはやここまで、か……… 恐らくあの鬼に殺されたのは私が初めてでは無いだろう。 14 #hollytk

2015-08-07 22:16:13
@hiiragi_r_t_d

理由は分からないが異形持ちをここに運び、縛り付け、あの鬼に捧げている者がいるのだ。 そう考えると私の中に怒りが湧き上がって来た。 私の事を何だと思っているのか。 15 #hollytk

2015-08-07 22:17:14
@hiiragi_r_t_d

「私は!私達は!」 私は鬼に向かって叫んだ。諦観は吹き飛び、怒りが満ちていた。 「貴様のエサでも!家畜でも無いッ!」 恐らく勝てはしないだろう。それでも抗ってみせる。 獲物ではない、と。我々は貴様を殺し得るのだ、と。奴に教えてやる。 16 #hollytk

2015-08-07 22:18:10
@hiiragi_r_t_d

「譁怜喧縺代縺ッ縲!!」 私の気迫を感じたのだろう。鬼も咆哮を放つと両腕を構えた。 私がダメージを与えられるとすればやはり頭部、それも目がいいだろう。 敵の一撃を躱して、目に棘を突き立てる。 17 #hollytk

2015-08-07 22:19:07
@hiiragi_r_t_d

「縺薙縺ァ縺縲ッッ!!」 鬼が動く。右腕で薙ぎ払い、左腕を構えつつ私の回避を誘う。 ここで跳べば左腕の餌食。跳ばねば右腕の餌食。 私はその場に膝を着くと、全身を硬化させた。 18 #hollytk

2015-08-07 22:20:12
@hiiragi_r_t_d

右腕が迫る。 インパクトの瞬間、私は踏み切った。 身体から棘が伸び、先程の数倍の速度で私は前に……鬼の懐に飛び込む。 「これでも喰らえ………ッ!」 左手を突き出す。真っ直ぐに揃えられた指が、鬼の眼へと迫る。驚いたかのように鬼の眼が見開かれる。 19 #hollytk

2015-08-07 22:21:09
@hiiragi_r_t_d

左手の中指が眼まで20cmほどに迫る。鬼の右足が、私の左腕を蹴り砕こうと迫る。 全身から棘が伸びる。鬼の爪先が肘に届く。 20 #hollytk

2015-08-07 22:22:07
@hiiragi_r_t_d

私の棘が鬼の左眼を貫き、次の瞬間私の左腕は肘から吹き飛んだ。 21 #hollytk

2015-08-07 22:23:21
@hiiragi_r_t_d

「がっ、くそっ、たれめ……」 鬼の蹴りは私の左腕を吹き飛ばすのみならず、私自身も病室の壁に叩き付けた。 しかし、私の伸ばした棘は確実に鬼の眼を抉った。本来ならあのまま脳を抉れた筈なのだが。 22 #hollytk

2015-08-07 22:24:08
@hiiragi_r_t_d

「縺ョ、蟄励繝シ繝峨驕輔縺ェ縺樟雎。」 抉られた左眼を押さえながら鬼が何かを語る。人ならざる言葉で。 鬼は、傷ついた左眼を自ら取り出すと、握り潰した。 「躍撝芭灯遏慧曚麈徐」 鬼は吹き飛ばされた私の左腕を拾い上げると、私の元に持ってきた。 23 #hollytk

2015-08-07 22:25:18
@hiiragi_r_t_d

鬼は私に左腕を持たせると、何かを呟く。 「惚ラテ絎隆モ晥駈"稠トシ」 「え…………?」 私は鬼の顔をまじまじと見る。恐ろしげな怪物の顔だったはずのそれは、精悍な男の顔に見えた。 「ャソ繝ニィゥ被坿゙繕ヘ盡猤ヨ捌ハワ涯ンニ池」 24 #hollytk

2015-08-07 22:26:21