「リユニオン・オブ・ロー・ブレイキング」

運営が駆逐棲姫を量産するならば、俺は最初に出会った駆逐棲姫を尊重するだけだ!
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◇与太話投稿行為◇ ◇望まねばミュート◇ ◇なるべく短編◇

2015-08-11 22:06:09

本編

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「リユニオン・オブ・ロー・ブレイキング」

2015-08-11 22:07:36
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ハァーッ!…ハァーッ!…」草木も眠るウシミツ・アワー。ショートランド沖付近の小島。一人の少女が息を切らせ、疲れ果てていた。空は黒い雲…否、瘴気の雲が濃く拡がり、月明かりは遮られている。その為少女の姿は良くは見えなかった。「クソッ…」悪態をつき、少女は天を仰いだ。 1

2015-08-11 22:12:06
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ここは何処だ」少女は毒づいた。彼女は思い返す。遠く、太平洋のど真ん中。彼女はそこで意識を取り戻した。もう二度と、現世に戻るはずの無い意識を。死に物狂いの逃走。嘗ての記憶を利用し、どうにかこの地まで逃げてきたが、果たして追手がいつ来るか…「ソコデ何ヲシテイル」「アイエ!?」 2

2015-08-11 22:19:42
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

探照灯めいた光を背後から当てられ、少女は驚愕した。そして読者の皆様にも、少女の姿が明らかとなる!見よ!白い髪。白磁めいた白い肌。黒い服に身を包んだ肢体を覆う青みがかった黒と紫の幽かな光。そして、脚部が無くその代わりに腰を覆う浮遊ユニット!我々は彼女を知っている!駆逐棲姫だ! 3

2015-08-11 22:26:04
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そして探照灯めいた光を当てた者を見よ!逆光でシルエットのみしか判別としないが、その姿は駆逐棲姫と全くもって瓜二つ!まさか!もう一隻の駆逐棲姫だというのか!コワイ!深海棲艦の持つ禁断のクローニング技術だ!「……同一個体?」探照灯を持った駆逐棲姫が訝しんだ。「何故ココニ」 4

2015-08-11 22:29:51
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「へ…あ、アア…」探照灯に照らされた駆逐棲姫は焦る。(どうする…まさか同一個体がいるなんて想定してないぞ…どうする!?)「……」「……」沈黙が場を支配する。やがて、照らされた駆逐棲姫は口を開いた。「あ、アノ…アレダ。ゾ、増援ダヨ!」「…増援?」「ソウソウ!」 5

2015-08-11 22:38:21
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

探照灯を持った駆逐棲姫は首を捻った。「確カニ最近艦娘達ノ動キガ騒々シイガ」「だからだ!万が一の為の増援だ!」「……確認ヲ取ル」探照灯を持った駆逐棲姫は探照灯を降ろし、背を向けながら耳に手を当てた。(しめた!)「ナァ、オ前。誰ノ命令デ派遣サレ」「イヤーッ!」「グワーッ!」 6

2015-08-11 22:43:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

おお、見よ!駆逐棲姫が駆逐棲姫を殴り飛ばす!何たるコラージュめいた狂気の光景か!「ナ、何ヲ!」探照灯持ちの駆逐棲姫が呻く。「気デモ狂ッタカ!」「お前達と相容れぬだけだ!イヤーッ!」駆逐棲姫が主砲を放つ!BLAM!BLAM!BLAM!「グワーッ!」全て命中!ワザマエ! 7

2015-08-11 22:47:13
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「オノ…オノレ…」探照灯持ちの駆逐棲姫は通信装置をオンにしようとした。「遅い!」駆逐棲姫は既に距離を詰めている!「イヤーッ!」フロートユニットの出力を最大上昇させ、駆逐棲姫浮遊!同時に独楽めいて回転し、フロートユニットを凶器に変え、敵の頭を狙う!「イヤーッ!」「アバーッ!?」 8

2015-08-11 22:50:54
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

独楽めいた金属質量回転が一寸の狂いもなく首に命中し、探照灯持ちの駆逐棲姫の頭部がシャンパンのコルクめいて真上に吹き飛ぶ!「サヨナラ!」頭部が断末魔を叫び、残った体が爆発四散する!頭部も海面に落ちる寸前に塵となって消えた。「ハァーッ…ハァーッ…」駆逐棲姫は再び息を切らす。 9

2015-08-11 22:55:22
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

だが、彼女に休む暇は与えられなかった。駆逐棲姫は感じる。微かな騒ぎの痕跡を嗅ぎ付け、何隻かの深海棲艦がこちらに向かってきているのを。「ええい!」駆逐棲姫は疲弊した体を強い、遠くへと逃げ出した。「クソ…クソ…!色々理に合って無いだろ!どうして私は蘇った!もう未練は無い筈だろ」 10

2015-08-11 22:58:16
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

駆逐棲姫は静かに、だが素早く闇夜に紛れた。頭上を時折、光の筋が横薙ぎに過って行く。やがて、駆逐棲姫は小さな洞窟を見つけた。その中に身を隠す。「ハァーッ…ハァーッ…」荒い呼吸をゆっくりと整える。深海棲艦はまだ追って来てはいない。だが、彼女は胸を締め付けられる思いがした。 11

2015-08-11 23:02:44
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

駆逐棲姫は胸に手を当て、空を見た。そして空にあるはずの月を。そして遠くに居るはずの大切な人を思った。「春雨…」駆逐棲姫はそう呟いた後、身を縮めて洞窟の更なる奥に身を隠した。 12

2015-08-11 23:04:35
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「では、春雨。艦隊をお預かりします」「ああ、しっかりと頼んだよ」「では…出撃します!」ショートランド泊地近海。艦娘母艦の出撃ドックにて瑠奈花は出撃する艦隊を見送った。出撃する艦娘は6人。若葉。暁。菊月。長良。天龍。そして旗艦の春雨。その目的はショートランド沖の威力偵察。 14

2015-08-11 23:09:23
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

つい先日発動された大規模作戦「第二次SN作戦」の前路哨戒と付近の深海棲艦の威力偵察を目的とした初動作戦。その指揮官として宿毛湾の英雄と名高い瑠奈花が抜擢された。簡単な作戦の為、本来は艦隊が全て瑠奈花の麾下によって構成されるはずだったが、それに待ったをかけた者がいた。 15

2015-08-11 23:13:36
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「済まねぇな、無理聞いて貰ってよ」瑠奈花の背後、同じく艦隊を見送ったリカルドが言った。「いいさ。同じ水雷屋の好だからね」「そう言って貰えるとありがたい」リカルドは深く頭を下げた。今回編成された艦隊は旗艦の春雨と随伴の若葉は本来はリカルドの麾下の艦娘だ。 16

2015-08-11 23:16:13
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドは作戦開始前夜に瑠奈花に直談判をし、彼女らを艦隊にねじ込んだのだ。「それで、一体何の目的があるんだい?」瑠奈花は問うた。そう、リカルドは頑なに、この直談判の真意をはぐらかしていた。「……スマン」リカルドは再び深く頭を下げた。「言えないのか?」「確証が持てるまではな」 17

2015-08-11 23:20:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「確証…?」瑠奈花は首を捻った。先行偵察にて、ショートランド沖には特に脅威となる敵は確認されていない。目の前のこの狩人は、果たして何を懸念しているというのか。「一体どういう」「すまんが、マジで言えねぇんだ」リカルドは海を見て、言った。「春雨が、ちゃんと確証を持つまではな」 18

2015-08-11 23:28:24
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「AGRRR!」天龍の一太刀が軽巡へ級フラッグシップを両断し、爆発四散させる。「へっ、不足極まりないぜ!」「そうねぇ」後期型イ級を粉砕した長良が同意する。「思ったより敵が少ないのかしら」「それもあるが」菊月が目を閉じながら言った。「何かあったようだな」 20

2015-08-11 23:35:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「何かって?」暁が問う。「…さぁ、そこまでは分からん。私と本体のリンクは完全ではないからな」菊月は遠くに見える古錆びた軍艦を見て、言った。あれこそは、嘗ての軍艦“菊月”その物。即ち菊月がその身に宿す船魂の本体である。「しかし、便利だなそのリンク」天龍が獣めいて笑う。 21

2015-08-11 23:37:15
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