「リユニオン・オブ・ロー・ブレイキング」

運営が駆逐棲姫を量産するならば、俺は最初に出会った駆逐棲姫を尊重するだけだ!
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「そこまで便利ではない…」菊月は黙想的に言った。本霊と分霊によるリンク効果により、菊月はある程度この付近の情報を得ている。今の菊月はレーダーめいて、敵の大まかな位置が理解できた。「だが、船付近に強い反応を感じる。この付近の主だろう」「いいねぇ!そろそろ夜だ!夜戦ができる!」 22

2015-08-11 23:40:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

天龍は獣めいた笑みを強め、沈み行く夕日を見た。艦隊は嘗ての“菊月”へ向け進む。「ところで」天龍が振り向き、それまで沈黙を保っていた若葉を見た。「そろそろ教えてくれよ。お前ら、いや、春雨の奴。何を考えてやがる?」「……」若葉は天龍を見た。強い意志を持った瞳が交錯する。 23

2015-08-11 23:43:55
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

若葉は沈黙を保つ。天龍は言葉を続ける。「急に海域に入るなり、単独行動をさせてくれだなんてよ。旗艦がだぞ?ありえねぇ」天龍はおどけた様に肩を竦める。「それを「黙って頼みを聞いてくれ」なんて頭を下げるお前もお前だ…そろそろ、聞かせろよ」天龍の瞳に、狂戦士めいた危険な色が灯る。 24

2015-08-11 23:48:05
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

他の艦娘達も、若葉を見た。その瞳には一様に、猜疑の色が灯る。「……まだ、言えん」若葉はただ、そう言った。「まだ…だぁ…?」天龍が刀を握る力を強める。柄が乾いた悲鳴を上げる。「テメェ、いい加減に」「例え首を切り落とされようが」若葉は決断的に言った。「何も喋らん。春雨の為にも」 25

2015-08-11 23:51:54
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

天龍と若葉は睨み合う。天龍は己の刀を、若葉はピストル型12.7㎝連装砲を2丁構え、どちらも直ぐに戦い始めかねぬアトモスフィアを纏っていた。「ちょ、ちょっと二人とも」暁が諫めんとする。「喧嘩はその辺で」「「イヤーッ!」」「ギャー!?」突然のカラテシャウトに暁は尻餅をつく! 26

2015-08-11 23:55:59
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ちょ、何?!」暁は二人を見た。若葉と天龍はお互いを攻撃せず、それぞれ互いの後ろに潜んでいた深海棲艦を撃っていた。「バカな…いつの間に!?」菊月が驚く。「何の気配も無かったぞ!?」「…攻撃する瞬間まで、水中に潜んでいた」若葉が端的に言った。「だが何の反応もないのは奇妙だ!」 27

2015-08-11 23:58:52
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「さぁな」天龍は菊月の疑問を受け、先程までより近くなった“菊月”の古びた甲板上を見た。「そこに居る奴に答えてもらおうぜ」「イヤーッ!」天龍の言葉と共に、錆びた甲板に擬態した布を跳ね除け、何者かが現れた!「ホウ!気配ハ愚カソウル痕跡スラ完全二消シタノダガ」 28

2015-08-12 00:02:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「はん!いくら気配を消そうが匂うんだよ。硝煙の臭いってのはな!」「成程!次ハ注意セネバ」現れたそれは、実際奇妙な深海棲艦であった。その首から下は屈強な人間の体であるが、首から上は駆逐イ級の頭部そのものであった。「何アレ…半魚人…それとも半イ級人?」長良が唖然としながら呟く。 29

2015-08-12 00:05:26
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「シャラップ艦娘!私ニハ列記トシタ名前ガアル!」奇妙なイ級は長良の発言を咎めた後、両手を合わせオジギをした。…アイサツである!「ドーモ。我ガ名ハトゥンヌス!一応コノ近海ノ統括ヲ任サレテイル!」「トゥンヌス…マグロですって?」暁は唖然としたように言った。「ホウ!博識ダナ!」 30

2015-08-12 00:09:05
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

トゥンヌスが暁を称賛する。「マグロだぁ?」天龍は暁を見た。「えっと、マグロの属名は、ラテン語でトゥンヌスって言うのよ」「成程」天龍は頷き、トゥンヌスに刀の切先を向けた。「ともあれマグロだろうが深海棲艦だろうが関係ねぇ!テメェの首を刎ねて兜煮にしたやるよ!」「言ッタナ?」 31

2015-08-12 00:12:49
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

天龍の挑発をしかし、トゥンヌスは取り合わずに両手を組み、人差し指と中指の身を立てる奇妙な構えを取った。「兜煮ニナルノハソッチノ方ダ艦娘!貴様達ハ既ニフーリンカザンヲ失ッテイル!」「何…?」艦娘達は訝しんだ。やがて、菊月が焦りの表情に変化した。「これは!」「どうした!」 32

2015-08-12 00:15:59
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「10…20…囲まれた!?いつの間にこんな数を!?」菊月の狼狽と同時に、艦隊を囲むように海面が泡立つ!「イヤーッ!」トゥンヌスがカラテシャウトを放つ!「「「ゴボボーッ!」」」艦隊に向け、何かが飛び出す!「「「「「イヤーッ!」」」」」艦娘達は垂直跳躍回避! 33

2015-08-12 00:19:21
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

KABOOOOM!数秒前までの彼女らの位置に水柱が立つ!「一体何だ!?」天龍は敵の攻撃の正体を見定めようとした。その時、水柱と共に何かが海中からせり上がる!「イヤーッ!」天龍は迫るそれを叩き斬る!「ゴボボーッ!?」迫り来る物体は正面から両断され、水となり消えた! 34

2015-08-12 00:22:15
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

交差は数秒。艦娘達は海面に着地した。「テメェ…」天龍はトゥンヌスを見た。「ホウ。中々ノワザマエ」トゥンヌスは構えを維持したまま賞賛する。周囲の海面が再び泡立つ!「散開!」天龍は命じた。艦娘達は散る!「イヤーッ!」「「ゴボボーッ!」」「イヤーッ!」放たれた何かを暁は盾で防ぐ! 35

2015-08-12 00:25:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

だが、暁は攻撃してきた者の正体を認め、驚愕した。「は…!?マグロ!?マグロナンデ!?」おお、見よ!暁の盾に食いついたそれは、正しくマグロだ!それも、全身が水で構成されたマグロ!「ハハハハ!ソレコソ我ガジツ!マグロ・カラテミサイル!スイトン・ジツノ奥義!」 36

2015-08-12 00:28:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

何と言うことだ!スイトン・ジツとは、水を利用するジツの総称!水辺に於いて彼の術を行使した古の術者達は、河童などの水生の妖怪として後世に伝えられたという!「コノ海ハ既ニ我ガ配下!無尽蔵ナ海水ニヨルマグロ・カラテミサイルノ波状攻撃!防ギキレルカァー!」「「「ゴボボーッ!」」」 37

2015-08-12 00:32:34
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」艦娘達は迫り来る水マグロを捌き、迎撃し、或いは避ける!だが!おお、何たることか!海面は絶え間無く泡立ち、水マグロが絶え間なく出現し艦娘達に襲い掛かる!「クソッ!キリが無い!」天龍は水マグロを斬り捨てる! 38

2015-08-12 00:36:45
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」迫り来る水マグロ達を躱し、若葉はトゥンヌスへの狙撃を敢行する!BLAM!「イヤーッ!」だが、見よ!トゥンヌス奇妙な構えのまま、流麗にブリッジ回避してのけたではないか!だが、間髪入れず若葉はもう一発狙撃する!「イヤーッ!」BLAM! 39

2015-08-12 00:39:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」トゥンヌスはしかし、再び回避してのけた!首と一体化した頭部の力のみで強引に体を跳ね上げ、砲撃を掠りながら回避!そのまま元の体勢に戻ってのけた!何たる身体能力!「無駄ナ足掻キ!」「「ゴボボーッ!」」水マグロ達の攻撃は止むことが無い! 40

2015-08-12 00:43:18
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「どうする…どうする!」天龍は水マグロを斬り裂きながら呻いた。このままではジリー・プアー(徐々に不利)だ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」艦娘達は回避を続けた。必ず訪れるであろう反撃の機会を逃さぬために! 41

2015-08-12 00:46:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」同時刻!駆逐棲姫は追手の戦艦ル級3隻と対峙していた!「イヤーッ!」DOOM!「イヤーッ!」ル級エリートの砲撃を流麗なフロート起動で回避し、駆逐棲姫は反撃の砲撃を見舞う!「イヤーッ!」BLAM!「グワーッ!」隙を伺う一隻のル級エリートの腹部を抉る! 43

2015-08-12 00:52:33
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「良し」だが、追撃に移ろうとした駆逐棲姫を、ル級エリートの背後から飛んできた砲撃が阻む!KA-DOOOOM!「グワーッ!」駆逐棲姫は爆発の余波で吹き飛ばされ、海面に数度叩き付けられた!「手間取ラセオッテ!」ル級エリート達の背後から、ル級フラッグシップが現れる。 44

2015-08-12 00:56:12
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「クソ…」駆逐棲姫は起き上がろうとした。「イヤーッ!」「グワーッ!」だが、ル級フラッグシップが頭を踏みつけ、阻む。「グアノ環礁カラヨクモココマデ逃ゲ出シテクレタナ。貴様ハ貴重ナ戦力ダト言ウノニ!イヤーッ!」ル級フラッグシップは踏みしめる力を強める!「グワーッ!」苦悶! 45

2015-08-12 00:58:48
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「誰が!貴様らの都合のいい兵器に戻るものか!」駆逐棲姫は吼える!「イヤーッ!」「グワーッ!」ル級フラッグシップは踏みしめる力を更に強めた!「面倒ナ…生前ノ自我ガ強ク残ッテイルノカ…?作リ直ス必要ガアルナ」ル級フラッグシップは淡々と言った。「首ダケ持チ帰ルカ」 46

2015-08-12 01:02:00