「リユニオン・オブ・ロー・ブレイキング」

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「…！」駆逐棲姫が見上げる中、ル級フラッグシップは盾めいた16インチ三連装砲を持ち上げた。おお、まさか！その大質量の盾三連装砲をギロチンめいて振り下ろし…駆逐棲姫の体を潰そうというのか！「クソ…！」駆逐棲姫の目から涙が零れる。悔し涙が。(こんな所で死ぬのか…！こんな所で！) 47

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「死ヌガイイ…イヤーッ！」「……春雨！」駆逐棲姫は叫んだ。最後に思った少女の名を。届かぬと思いながら。だが…！「グワーッ！」「えっ…」駆逐棲姫は敵の悲鳴を聞き、顔を上げた。己を潰さんとしたル級フラッグシップが吹き飛ばされている！その腹部をドラム缶めいた鉄塊が抉りながら！ 48

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「あ…」駆逐棲姫はその武器に、鎖付きドラムハンマーに覚えがあった。「呼んだ？駆逐棲姫ちゃん」後ろから声が掛かった。懐かしい。今まで聞きたかった声が！「は…春雨！」「ドーモ」乱入者はアイサツした。昇り行く満月を背に。決断的に！「白露型5番艦・春雨です…久し振り、だね！」 49

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「貴様…何者ダ」ル級フラッグシップは苦悶しながら問うた。春雨はル級達を見た。その瞳には、戦士の紅が煌々と燃え盛る。「友達だ。彼女を守ると決めた、友達だ！」「カカレーッ！」「「イヤーッ！」」フラッグシップの号令を受け、エリート達が飛び掛かる！ 50

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」春雨と体勢を立て直した駆逐棲姫は砲撃とハンマーでもって迎え撃つ！ZING！ドラムハンマーが唸り、頭上からル級エリートを叩き潰す！「グワーッ！」BLAM！BLAM！BLAM！もう一隻のル級エリートは、正中線を抉る様な砲撃を受ける！「グワーッ！」 51

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「「サヨナラ！」」ル級エリート達は同時に爆発四散！「ナ、何ィーッ！？」ル級フラッグシップは狼狽えた！「腕を上げたな、春雨」駆逐棲姫は春雨に微笑む。「駆逐棲姫ちゃん…」「…色々言いたいことはあるが、それは後だ」駆逐棲姫は敵意を持ってル級フラッグシップに向き直る！ 52

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「まずはコイツを倒してからだ！」「オノレ…駆逐艦風情ガ！イイ気ニナルナ！」ル級フラッグシップは黄色いエンハンスメント光を強める！「イヤーッ！」DOOOM！DOOOOM！「イヤーッ！」「イヤーッ！」春雨と駆逐棲姫は砲撃を左右に分かれて回避！「「イヤーッ！」」砲撃を放つ！ 53

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BLAM！BLAM！BLAM！BLAM！「ヌゥーッ！？」無視できぬ砲撃の雨霰がル級フラッグシップを苛む！やがて、春雨と駆逐棲姫はル級フラッグシップを挟み込むような位置に移動する。ZING！ZING！ZING！「イヤーッ！」春雨のドラムハンマー投擲！「イヤーッ！」ル級は回避！ 54

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「マズハオ前ダ！」回避し、勝ち誇ったル級フラッグシップは春雨を狙い撃とうとした！だが、既に春雨は眼前まで高速で迫っていた！「何！？」「イヤーッ！」「グワーッ！」ドロップキックが腹部に命中！「何ガ…」ル級は背後を見た。そこには、投擲されたドラムハンマーを引く駆逐棲姫の姿が！ 55

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そう！駆逐棲姫は春雨の投擲したドラムハンマーの鎖を掴み、引っ張ったのだ！春雨はその引く力に逆らわずに跳躍！高速機動を成立させたのだ！何たる即席とは思えぬ、熟練めいたコンビネーションか！「グ…」「これで！」春雨は魚雷発射管を起動した！「止メ」「終わりだ！」 56

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春雨が上空へ飛び離れると同時に、8本の魚雷がル級めがけばら撒かれた。ル級は逃れようとした。BLAM！「アバーッ！」「さっきはよくも踏んでくれたね！」駆逐棲姫の渾身の砲撃が、ル級の胸を、そして魚雷を穿った！KABOOOOM！砲撃により、魚雷が爆発する！「アバーッ！サヨナラ！」 57

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魚雷の爆発に巻き込まれ、ル級フラッグシップは爆発四散！ナムアミダブツ！爆発が収まり、着水した春雨は駆逐棲姫を見た。駆逐棲姫がゆっくりと近づく。「春雨」「駆逐棲姫ちゃん！」「うわっ、ちょ！」春雨は駆逐棲姫に抱き付いた。「ちょ、春雨」駆逐棲姫は春雨を諫めようとし、しかしやめた。 58

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何故なら、春雨は泣いていたからだ。駆逐棲姫は己の胸の中で、春雨を泣かせた。自身もまた涙ぐみながら。「会えた…また、会えた！」「うん…」「2か月くらい前、夢を見たの。貴女が呼びかける夢」「うん…」「その日から、何となく貴女の気配を感じてて…でも、それはありえないはずなのに」 59

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「ああ、そうだね…私は確かに消えたはずだった」「でも…ずっと気配が消えなくて…寧ろ段々強まって！それで、リカルド提督に頼み込んで、一回だけ貴女を探す約束をしたの…」「ちゃんと、見つけてくれたね」「うん…うん…！」二人は強く互いを抱きしめ合った。互いの存在を確かめるように。 60

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一方、“菊月”周辺は！「ゴボボーッ！」「グワーッ！？」水マグロの群れが、遂に菊月を捉えた！菊月はカラテで殴られたかのような衝撃を受け、後方へ吹き飛ばされる！「イヤーッ！」飛んできた小さな体を、長良が受け止め、追撃の水マグロを回避する！「ソロソロ限界カネ？」トゥンヌスが笑う！ 62

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「ほざけ！」天龍はその挑発を切って捨てた。だが、その額に流れる大量の汗。そして呼吸の度に上下する肩が、言外に疲労を物語る！他の艦娘達も然程変わらぬ状況だ！「強ガリダナ」トゥンヌスは冷淡に言った。「ソロソロ終ワリニシヨウ…外様ノ騒ギガ止ンダノモ気掛カリダ…イヤーッ！」 63

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ナムアミダブツ！天龍達は上空を見上げた！そこには、巨大な水マグロが形成されていた！「意味モ無ク水遊ビヲシテイタト思ッタカ？小サナ水滴モスイトン・ジツノ操作範囲内！」トゥンヌスは勝ち誇ったよう言葉を続ける！何たることだ！水マグロ達が跳ね上げた海水があの巨大マグロを作ったのだ！ 64

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「オイオイオイオイ…ヤバいんじゃねーの！？」天龍の額に冷汗が流れる。全員が、重い脚を動かし退避しようとした。だが！「な、何これ！？」暁が己の足を見た。その視線の先には、頭だけを出した水マグロ達が足に食いついているではないか！「イヤーッ！」逃れようと足を上げる！だが上がらぬ！ 65

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「威力ハ低イガ、応用ガ効クノガマグロ・カラテミサイルデナ」トゥンヌスはオノレのジツに対する説明を止めぬ。ここでトドメを刺す確信がある故に！「オ前達ハコノ海ニ捕ラワレタモ同然！アノヨヘ行クガイイ！イヤーッ！」トゥンヌスは巨大水マグロを落とさんとする！艦娘達は衝撃に備えた。 66

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誰もが致命的な一撃を覚悟した！その時！「イィイイイヤァーッ！！！！」「何！？」戦場の外側より、カラテシャウトが響く！同時に、巨大水マグロ向け何かが飛来する！CRRRRSH！飛来物は巨大水マグロの頭部を潰し、空中で爆発させた！KABOOOOM！「ナ、何ィー！？」 67

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トゥンヌスは狼狽えた。空中で爆発分解した巨大水マグロは、スコールめいて降りしきる！「わっぶ！な、何！？」長良は菊月を庇いながら、状況判断しようとした。DOOOM！濁流と共に、何か重い物が近くに落ちた。「あれは」菊月はそれを見た。それは鎖が付いたドラムめいたハンマーであった！ 68

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」降りしきる海水の向こう側、3人分のカラテシャウトがくぐもって響いた。その内一人はトゥンヌスだ！では、あとの二者は一体何者か！やがて大量の対数濁流は降りやみ、夜空が見えた。「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」声は“菊月”上から！ 69

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艦娘達は“菊月”甲板上を見た。そこには、トゥンヌスにカラテを撃ち込む春雨と…「ウソだろ」天龍は信じられぬとばかりに3人目のカラテ者を見た！「深海棲艦…駆逐棲姫だと！？」「イヤーッ！」「グワーッ！」駆逐棲姫の拳がトゥンヌスの体幹を揺らす！「何ダ！貴様達！」「「イヤーッ！」」 70

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「ヌゥーッ！？」トゥンヌスは距離を取り“菊月”の艦首上に立った。「馬鹿ナ…艦娘ト同胞ガ共闘シテ私ヲ追イ詰メルダト…」トゥンヌスは駆逐棲姫を見た。「貴様何者ダ！コノ海ニ来ル筈ノ駆逐棲姫ハ、“菊月”ノ魂ヲ持ツハズ！貴様ノ魂ハ“菊月”デハナイ！何者ダ！」「何者か、か…」 71