【ミイラレ!第十二話:古椿の小槌のこと】(実況付き)
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そいつ?四季は彼女の言葉をすべて理解できなかった。が、それでも体は動いた。小槌を思い切りトンカラトンへと投げつける!眉をひそめた怪人が、刀を構える。弾き落とす算段なのだろう。その目が見開かれた。なぜか?目の前で小槌が膨れ上がったからだ。30 #4215tk
2015-08-19 20:03:12小槌は、もはや小槌の形を捨てていた。くるくると高速回転する人型が、思わず立ち止まった忍の胴体に拳を叩き込む!「ガ、フッ!?」怪人の体がくの字に折れ曲がった。そして吹き飛び、後続の分身たちを巻き込む!「ふー……」着地した小さな影は息をつき、ぶるりと震える。31 #4215tk
2015-08-19 20:06:10四季は見た。それが肩に羽織った法被を。その背に染め抜きされた『山ン本』の文字を。「それ」が振り返る。「お初にお目にかかります、若!」まだ小さな少女のようなその怪異は、勢いよくお辞儀した。「あたいは古木 春(ふるき はる)と申します。以後、お見知り置きを!」32 #4215tk
2015-08-19 20:09:15◇ミイラレ図鑑P.35: 西竹林 焔(せいちくりん ほむら) 山ン本組四天王の一人、『セイチクリンのケイサンソク』。隻眼かつ隻腕の怪異。身に纏った炎と鋭い鉤爪、そして素早い身のこなしで敵陣を駆け回り、翻弄する。非常に好戦的でありせっかち。 #4215tk
2015-08-19 20:20:23◇ミイラレ図鑑P.36: 破雲 零式(はぐも れいしき) 怪異の研究機関において開発された対精霊用人型式神。精霊級怪異とも渡り合える性能を誇っていたものの、要求される霊力があまりにも多量であったために大量生産は見送りとなった。スペックダウンした量産機が現在の主流。 #4215tk
2015-08-19 20:25:18小槌は、もはや小槌の形を捨てていた。くるくると回転する人型が、思わず立ち止まった忍の胴体に拳を叩き込む!「ガ、フッ!?」怪人の体がくの字に折れ曲がった。そして吹き飛び、後続の分身たちを巻き込む!「ふー……」着地した小さな影は息をつき、ぶるりと震える。31 #4215tk
2015-08-21 19:20:13四季は見た。それが肩に羽織った法被を。その背に染め抜きされた『山ン本』の文字を。「どうも。お初にお目にかかります、若!」まだ小さな少女のようなその怪異は、勢いよくお辞儀した。「あたいは古木 春(ふるき はる)と申します。以後、お見知り置きを!」32 #4215tk
2015-08-21 19:22:34「よ……よろしく」思わず頭を下げた四季の姿は、傍から見れば間が抜けているように見えたに違いない。事実、事態の推移に追いつくのに必死なのだ。「ええと……春、さん?あなたは」「そう硬くならずとも結構ですよ、若」春は快活に笑う。「あたいは若の道具でありますので」33 #4215tk
2015-08-21 19:24:07言ったあとに、彼女は少し顔をしかめた。「にしても、ここまでお目通りができなんだのは申し訳ございませんでした。先の戦で力を使いすぎまして、変化もできぬ体たらくで」春が不意に言葉を止めた。四季の視線から気づいたのだろう。後方から駆けてくるトンカラトンの分身たちに。34 #4215tk
2015-08-21 19:27:11春の表情が険しくなる。彼女は足を振り上げ「しゃらくさいッ!」地に叩きつけた。地鳴りに衝撃。四季は目を丸くした。飛びかからんとしていた『中身入り』たちが、全て吹き飛ばされたように宙を舞ったからだ!「あたいは今、若と話をしてるんだッ!静かにしてろ青二才どもが!」35 #4215tk
2015-08-21 19:30:26