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@lethal_notion 國分先生、第二次大戦におけるアメリカは絶対的な敵ですか?それとも現実の敵ですか? 当時の日本の気風としてどちらも当てはまるような気がします・・・
2011-01-04 15:39:20さて、こちらも質問ありがとうございます。高経の学生さんだと拝察します。 “@encyom: @lethal_notion 國分先生、第二次大戦におけるアメリカは絶対的な敵ですか?それとも現実の敵ですか? 当時の日本の気風としてどちらも当てはまるような気がします・・・”
2011-01-05 10:26:33今学期の現代社会哲学という授業、戦争論ということで話をしていますが、そのなかで出てきたカール・シュミットの話ですね。
2011-01-05 10:28:03簡単に復習。シュミットは30年代に書いた「政治的なものの概念」で、政治的なものを、友と敵の区別として定義した。
2011-01-05 10:29:34突き詰めていけばその区別にいたると。で、政治の場合はその究極的な区別は、友と敵の区別なんだ、と。
2011-01-05 10:31:52シュミットはその後、大分時間がたつて、60年代に、政治的なものの友敵概念への修正というか、補足を試みる。
2011-01-05 11:15:22それが『パルチザンの理論』。シュミットの論点はいつものように明快。かつては、敵という言葉で全て片付けていたが、よく考えてみれば、敵にはいくつか種類があるな。
2011-01-05 11:17:04その辺を詳しくやりましょう。で、三つの敵の区別、在来的な敵、現実的な敵、絶対的な敵の区別がでてくる。
2011-01-05 11:18:23かつては戦争は君主の間で行われるゲーム。「ようし、隣の国のあいつをたたいてやっか。おい、大臣、傭兵を集めてこい!」って感じですね。
2011-01-05 11:20:26この場合、兵士=傭兵のとっては、敵は「あれが敵だから」と名指されたものにすぎない。敵が誰であるかは単なる決まり事。こういう敵を在来的な敵と呼ぶ。
2011-01-05 11:22:35シュミットはこういう戦争は真剣じゃないと言っている。まぁ、戦場で戦っている本人にとっては真剣でしょうけど。
2011-01-05 11:23:36これに対し、現実的な敵というのは、自分の現実的な利害が関係している敵。たとえば、ナポレオン戦争の際、スペインでは農民がナポレオン軍にたいして武装蜂起した。これがパルチザンですが、彼らにとっては、ナポレオン軍は自分たちの土地に土足で入り込んでくる現実的な敵であるわけです。
2011-01-05 11:25:53現実的な敵対関係のポイントは、係争点となっている問題が解決されれば、解消されるというところにあります。
2011-01-05 11:27:09ところがこういうドライな敵対関係を超えでる新しい敵対関係が出てきた、とシュミットはいうのですね。それが絶対的な敵対関係です。
2011-01-05 11:31:53レーニンのような革命家にとって、資本家とは人類の解放をさまたげている、人類の敵です。だから、殲滅しなければならないと。
2011-01-05 11:33:56これがシュミットの敵の三区部の概要です。で、いつもの通り、これは区分して終わりではない。
2011-01-05 11:35:00この区分には、シュミットの規範的な価値判断が反映されている。どういうことかと言うと、シュミットは、現実的な敵対関係がいい、と思っているんです。
2011-01-05 11:35:58絶対的な敵対関係は、敵対関係の激化を生む。現実的な目的の達成だけでなく、相手方の消滅が求められる。
2011-01-05 11:37:29ここで、最高の参考文献を紹介しますが、大竹弘二くんの『聖戦と内戦』以文社ですね。もはやシュミットに関する必読文献になっているとは思いますが、さて、大竹くんの卓抜なる表現を引用すれば(もしかしたら、シュミットの言葉なのかな笑)、
2011-01-05 11:40:00