『スエズ鎮守府VSラブホテル鎮守府合同演習～変態の夏、パンツの夏～』その２

高峯みやび @sukamelancholy

First Battle 『叩いて被ってじゃんけんポン』 スエズ鎮守府・長門VSラブホテル鎮守府・山城 引き分け #変態不知火さん

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

『両者、引き分け！』 大淀のアナウンスと同時、俺は観客席から飛び出す。 「ちょっ、しれーかん？」 「悪い望月、あと頼む！」 右手の人差し指が熱い。長門と繋がっている指輪が共鳴し、赤熱しているのだ。 長門は全力を超える力を出し切った。自然、その代償を払う必要がある。 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

(意識を失くしてないといいけどな……) 以前の望月が引き起こした惨状を思い出し、俺は懐から取り出したパンツを噛みちぎりながら救護室へ走る。 指輪の力を使った先に何が起きるか、俺は未だに確信が持てないでいる。 望月に続いて、長門までどうにかなってしまったら。 #スエズ鎮守府

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「長門ッ！」 救護室の扉を蹴り破るように開き、中へ転がり込む。万が一の時には早急に手を打たなければ。種目はふざけていたとしても、あれは完全な殺し合いだ。強いと同時に純粋な長門の中で、何が起きても不思議では―― 「パンツを咥えて他所の鎮守府を走り回るな、馬鹿者」 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

搬送中に目を覚ましたらしい。頭を血塗れにした俺の戦艦は、救護室のベッドに腰掛けている。 その隣で寝かされているのは山城。まだ気絶しているようだ。 「……タフだな、お前は」 「言っただろう、私は最強で無敵だと」 そう言って不敵に笑う長門。恐れていた事態は回避できた。 #スエズ鎮守府

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「具合はどうだ」 「うむ、頭が痛い」 「だろうな」 思いの外元気そうな彼女に笑いかけ、俺は徐々に熱が引いてきた指輪をなぞる。 生きている。ならば重畳だ。 「演習はどうなった。さっぱり記憶が無いのだが」 「引き分けだ。あんな叩いてかぶってジャンケンポン見たことない」 #スエズ鎮守府

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「そうか……勝てなかったのだな」 「でも負けなかった。だろ？」 俯きそうな長門の思考を断ち切るように明るい声を出し、俺は咀嚼していた望月のパンツを飲み込む。はてさて、傷心の部下のケアも仕事のうちだ。 「初手で敗北を回避。それだけで、お前が担った役割としては十分だ」 #スエズ鎮守府

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「勝って流れを作るのも大切だけどな。あの試合で、お前が向こうに与えたインパクトは大きい。……誇れよビッグセブン。俺が知ってる長門は、勝てなかったことより次に勝つことを考える女だったけど？」 そう言い、拳を突き出す。長門はそれをじっと見つめ、 #スエズ鎮守府

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「そうか……そうだったな。忘れていた」 微かに笑い、長門が拳と拳を重ねる。 「お疲れ、ながもん」 「ああ」 お互いの人差し指にある指輪が、小さくぶつかった。 #スエズ鎮守府

高峯みやび @sukamelancholy

「ぴゃっ！？ 司令、山城さんが！」 「ダブルノックアウトっぽいー」 「うん、わかったから二人とも膝から降りようか」観戦中に座る席を探していたという酒匂と夕立は何故か提督の膝の上で山城を応援していた。目の前で揺れる黄金色と薄紫。 「司令、見に行くの？」 「勿論だ」 #変態不知火さん

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何故か不満そうな酒匂と夕立を抱っこしてから下ろし、救護室に向かう。 「提督、山城の戦いは如何でしたか」 その途中、扶桑に呼び止められた。 「なんだ、見てなかったのか？」 「ずいずいと共にお祈りしていました。どうか山城が立派に闘いますように、と」 「……そっか」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

そんな俺の表情を見て、山城がどうなったのかを大体察したらしい扶桑は上機嫌で頭を下げた。 「不束者ですが、山城の事をこれからもお願いしますね」 「いや、しかし山城には」 「あの子は、提督の事も認めてくれていますよ」 「……だといいが」 何処までも突っぱねられるし。 #変態不知火さん

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それでしたら、とスカートの中に手を入れて『ぬぽっ』と言う音と共に手渡されたのは扶桑のお気に入り瑞雲。 「今度三人でずい♥ ずい♥ しますか？」 「あっ、結構です」 手が扶桑の何かで濡れる。 「ではいずれ」 「そのいずれが来ない事を祈るわ……」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

お手洗いで手を洗ってから救護室に向かい、途中でスエズの提督、神代提督とすれ違った。何かを咀嚼していたようだが何かは気にしないでおくことにした。 「まずは第一戦お疲れさまでした」 「うちのポンコツセブンが反則負けするのかと焦ったよ」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「しかしまぁ……、いい勝負だったと思いますよ。中身は血生臭いどつきあいでしたけど」 「あんなの地球上で他にあったら困る」 「フフッ。ではまた二回戦で」 「次こそはうちのぬいぬいが取るからな」 「うちの秋月もやれば出来る子ですから」 では、と挨拶し救護室へ。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

救護室では山城が応急手当てを受け未だ眠っている。気絶しているらしい。 「少々血を流しすぎましたね。貧血程度で済んでよかったです」 「戦に流血は不可避だ。普段から栄養を摂っていればすぐに起きる」 うんうん、と頷いているのは相手のスエズの長門だ。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

あんだけハリセンでどつかれながらもすぐに復帰するとは。救護室の明石は苦笑する。 「長門さんも普通に寝てて欲しいのですが」 「私は必要ない。最強で無敵、強靭のビッグセブンだからな」 「と言って聞かないんです」 ……なんというか、真っ直ぐだなぁ。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

兎も角山城も無事でよかった。 「良い試合だった。次は勝つ」 握り拳で自信満々に笑う長門。なんでまぁ長門ってのはこういうストレートなやつなんだか。 「む。そちらの長門もそうなのか」 「……似たようなもんだ。妹思いだしな」 「そうか。……うむ、良い艦娘なのだな」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

じゃあ、二人ともお疲れ。ゆっくりな。 「ああ」 明石、悪いが頼むな。 「はい、お任せください」 俺は救護室をあとにした。あと三回戦残っている。こちらの代表は秋月と龍鳳、そして不知火。 どのような試合展開になるのか。楽しみでもあり、無事に終わって欲しいとも思う。 #変態不知火さん