『スエズ鎮守府VSラブホテル鎮守府合同演習～変態の夏、パンツの夏～』その２

高峯みやび @sukamelancholy

――翌日、ヒトマルマルマル。 連日連夜演習の会場建設の為に海軍の上層部からもぎ取った予算をふんだんに使用された工事の音が続いた。何故か提督の私室にだけ騒音対策がされていなかったおかげで提督だけが寝不足に悩まされていた。 #変態不知火さん

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そして極め付けには昨晩、うなぎとすっぽんという精のつく料理をたらふく食べた事により三人の秘書艦から代わる代わるあれこれされたおかげでここ数日、提督は眠れた記憶がない。しかし演習の日時は伸ばせない。相手のスエズ鎮守府はその名前の通りスエズ運河を守護している。 #変態不知火さん

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政治的問題、そして対深海棲艦の問題。様々な出来事があのスエズでは起きている。そう何日も提督及び艦娘が離れていれば、鎮守府に戻ってくれば焦土だったなどという事態にもなりかねない。よって延期は不可能。提督の寝不足問題は二の次なのである。 #変態不知火さん

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とはいえ連日の徹夜は心身共に消耗しきっている。一方、秘書艦たちはというと肌も艶が出ており元気そのものであった。特に、不知火。 「司令の精液を頂いたおかげで完全に力を出し切れそうです」 「……あぁ……そう……」 傍から見ればゾンビに間違えられかねない提督。 #変態不知火さん

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「あれを本当に食べて朝まで盛っていたなんて、本当に汚らわしいですね」 まるで汚らわしいモノを見ているかのような視線を送り、若干距離を置いているのは、ラブホテル鎮守府の代表として第一試合で出場する山城であった。 「汚らわしいです」 「二度言わないで刺さるから」 #変態不知火さん

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「そもそも何故私が出なければならないのですか……。私は姉さまと二人きりで涼しい部屋で観戦をしようと思っていたのに……もう……、なんて不幸……」 「それは大淀に言ってくれよ」 山城から漂うじめついた空気が出ているのではと錯覚する程にテンションは落ちていた。 #変態不知火さん

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しかしそんな山城に不知火は、 「しかし扶桑さんと同じ部屋に居れば、彼女の瑞雲に――」 「姉さまがしてくださるなら、構いません」 そこでさらりと言える程山城は扶桑に執心している。執心、というよりも執着と言えばいいのか。 「つまり初めては瑞雲――」 「……違います」 #変態不知火さん

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その山城の答えにはっとなる不知火。 「司令、やはりヤる事はヤって」 親指を人差し指と中指の間に入れて、硬く手を握り、尚且つぐにぐにと動かす不知火に提督は首を振る。 「だから手を出してない。山城は――」 『お集まりの皆様お待たせしました、出場選手はご準備ください』 #変態不知火さん

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この日の為に建設された専用会場はわざわざ海を埋め立てており第一試合はその埋め立て地の中心地にて行われる。 両陣営は東西に分かれ、試合会場で激突する。その他の者たちは応援席で戦いを見守るのである。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「はぁ……もう思い切り見せ物じゃない……不幸、だわ……」 「山城さん、山城さんも司令から指輪を頂いたのですから、誇りを持ってください。心を引き締め、膣内も締めましょう」 「そっちは必要ありませんし」 冷たく言い放つ。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「まぁ……その。山城」 「何ですか」 言葉は丁寧であるが視線と表情は冷たい刃そのものだった。 「頑張れ。負けんなよ」 「……はぁ」 激励のつもりで言ったのだが、溜息で返される。 「姉さまも見ていますから無様な姿は見せません。勝つのも、当然の事ですから」 #変態不知火さん

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それが山城なりの答えであると感じた提督は、笑って見せて背中をぽんと叩いた。 「うし、行って来い」 「セクハラしないでください」 「本当に厳しいな……」 『まずはラブホテル鎮守府から、航空戦艦山城さんの入場です！』 大淀の進行の声が響き渡る。 #変態不知火さん

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入場する山城の背中を見て、不知火はある事に気付く。 「司令、山城さんは艤装を装備していませんが」 「つまりは艤装を使う種目じゃないな。前のアサイラムの時みたいに変な種目かもしれん」 腕を組み首をかしげる提督。 「まぁ、俺らも応援席で応援しよう」 「はい」 #変態不知火さん

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『続いてスエズ鎮守府、戦艦長門さんの入場です！』 山城とは対称的に、腕を組みながら堂々と入場する長門。彼女の手には指輪が光っている。上限を越えた力の持ち主である証拠だ。 『両者とも中心の座布団にお座りください』 #変態不知火さん

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大淀の指示に従う二人とそれを見守る両陣営。対決をするというのに、会場の中心には座布団が二枚だけ。一体どのような種目で戦うのか、これだけではわからない。 「何をするつもりなのかしら」 ビスマルクの疑問は至極当然である。情報量が少なすぎる。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「座るっつー事は、何か頭を使う事とかか？」 「クイズ、とかでしょうか？」 龍鳳も首をかしげて種目を予想する。 「かな？ まぁ座るからどつきあいではないだろうな」 ひとまずは血を見ることなく試合が進むと安心する提督。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

長門、山城が座布団に正座し睨み合う。 「このビッグセブンの長門を倒せると思うな」 自信に満ちた顔で胸を張る。対して山城は、 「もうなんでもいいから早く済ませましょう。姉さまとの時間が減ってしまうので」 「容易く倒せると思ったら大間違いだぞふふっ」 「そうですか」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

そしてマイクを持った大淀は二人が座ったのを確認してから、 『それでは準備に取り掛かります。武蔵さん、お願いします』 指示を受けたラブホテル鎮守府の武蔵はあるものを持って長門と山城の傍に置いた。 「……これは……？」 「何ですかこれ」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

二人の疑問に応えるかのように大淀は高らかに宣言する。 『もう既にお分かりですね。お二人にはその鋼鉄のハリセンとヘルメットを使って、この種目で戦って頂きます！』 そして大きなディスプレイに表示されたのは……。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

First Battle スエズ鎮守府長門VSラブホテル鎮守府山城 『叩いて被ってじゃんけんポン対決』 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

飲みかけていた飲み物を思い切り吹いた提督はぽつりとつぶやく。 「……どつきあいだこれ」 血を見ずには終わらない。そう確信したのだった。 #変態不知火さん

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

鋼鉄製のハリセンにヘルメット。そして告知された種目の名前に、俺は思わず咥えていたパンツを落としそうになった。 「叩いてかぶってジャンケンポンって、あの叩いてかぶってジャンケンポンか？」 「どーにも、知ってる遊びの5万倍は危険っぽいけどねぇ」 傍らの望月も困惑顔だ。 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

これが駆逐艦同士の戦いならよかった。義体化されてるとはいえ、絵面としてはまだ微笑ましくあれただろう。 しかし今回挑むのは、両者共に海の王者。 「うむ、ビッグセブンの長門だ。よろしく頼む」 「はぁ……無駄に暑苦しそうな相手……不幸だわ……」 まごう事なき戦艦だった。 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

「司令官、長門さん勝てるかなぁ。相手の人、強そうだよ？ 大丈夫かなぁ」 観客席をトコトコと歩いてきた清霜が、少し不安そうな顔でこちらを見上げる。 「普通の海戦なら、もう少し予想もしやすいんだけどな……」 安心させてやりたいが、これに至っては全く展開が読めない。 #スエズ鎮守府

アフリカの星逆 @Hoshisaka_RevSt

「そもそも、あの競技に強い弱いってあんの？」 首をかしげる望月。 ジャンケンに勝ったほうが攻勢、負けたほうが守勢。決着はジャンケンではなく、あくまでその後のプロセスによって決定されるこの種目。そこに優劣がつくとすれば、勝因となる要素は―― #スエズ鎮守府