黄昏町(柊)四十日目

柊 @hiiragi_r_t_d

「ふむ。そういうものですか」 「そういうもんなんだよ。あ、そうだ」 カスカは革ジャンの懐を漁ると、一本の缶ジュースを取り出した。半分ほど飲んでから、私に差し出す。 「オレンジジュース。飲むか？」 「いただきましょう」 24 #hollytk

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受け取って一気に流し込むと、柑橘の酸味と人工的な甘ったるさが口の中に広がる。 「このジュースは子供部屋にあったのですか？」 「いや、目が覚めたら手に握ってたんだ」 「そんな得体の知れないものを飲ませないでください」 「アタシも飲んだし、別にいいだろ」 25 #hollytk

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そこまで言って彼女は何かに気付いたらしく、顔を赤くして黙り込んでしまった。 「さて、食事も済みましたしそろそろ出発しますよ」 「……おう、そうだな………さ、さっきのはわざとじゃねえからな！」 「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行きますよ」 26 #hollytk

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出発する前に、私とカスカが目覚めた部屋をもう一度覗く。 すると私の寝ていたあたりに、一輪の花が落ちていた。 拾い上げて眺めた後、私はそれを胸ポケットにしまいこむ。 透明なジャケットの中に白い花が浮かんでいるようで、少し気に入った。 27 #hollytk

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「お待たせしました」 「おう。って、その花はなんだ？」 「部屋に落ちていたのですよ」 「ふぅーん。……ま、似合ってるんじゃねえの？」 「それはどうも。」 そういえば、今日も解剖をしていない。 「今日はほとんど寝ていましたし、仕方ないですね」 28 #hollytk

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「何の話だよ」 「いえ、ただの独り言ですよ」 不意に涼しい風が吹いて、カスカがくしゃみをした。 「ですからもう少しマトモな格好をですね」 「うるせえ！これがアタシのマトモなんだ！」 「やれやれ」 29 #hollytk

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下駄と革靴の足音が遠ざかると、通りは静寂を取り戻した。 風に揺れる風鈴の音だけが、主を失った家々に響いていた。 30 #hollytk

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──────── 【四十日目】 【魂+1】 【魂16/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) 31 #hollytk

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[町]君が休息から目覚めると、傍らに未開封の缶ジュースと白い花が置かれていた。それはお供え物のようにも見えた。《無条件で【魂+1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk