フォロワーのツイート観て即興で掌編小説書いた
そういえばなぎこさんがタバコ吸われるの意外だったなあ。ゆいさんとかすみとさんは吸ってるイメージある。ゆりちゃんとなるるさんとみゃーさんもタバコ似合いそう。ぽんちゃんはむせそう。らっきーは逆にタバコに吸い込まれてやつれそう。
2015-09-06 17:34:52生まれて初めてタバコを買い、意を決して一本それをくわえて慣れない仕草でライターの火を近づけた。最初は特に何も感じず「なんだこんなものか」と思ったのだが、しばらくすると口腔内の水分が妙に失われているような感覚がした。 気付いた時には遅かった。
2015-09-06 17:47:59煙を吸っているはずが逆に煙が体を僅かずつ吸収している心地がし、全身がチクチクと痛み始めた。そうこうしているうちに今度はタバコ自体が頬の内側の肉を徐々に削り取っていくような感覚があり、それが「タバコに吸われている」んだと確信した頃には右腕が白い筒の中に消えていた。
2015-09-06 17:48:09それから僕の体は加速度的に失われていき、10秒ほどした頃には視界が狭まり左右も上下も判らぬ空間的な感覚の喪失が始まっていた。 僕は気を失った。
2015-09-06 17:48:19僕が目を開けた時、最初に視界に映ったのはタバコに火を点けた自室の天井だった。なんだ夢だったか、と思いながらも汗でびっしょりと濡れた前髪とTシャツはその恐怖のリアリティを如実に表していた。 おかしなことに気付いたのはそのすぐ後の事だった。
2015-09-06 17:52:02タバコが一本だけ足りなかった。アレが夢だったのならば、タバコは一つも消費されていないことになるのだが、妙なことに僕の傍には一本だけ消えたタバコと、無造作に放られたライターがある。
2015-09-06 17:53:38不思議な感覚に陥りながらも、僕はとりあえず乾いた喉を潤しに、キッチンにある冷蔵庫の傍までふらふらと歩いた。 冷蔵庫には何も無く、仕方なく僕は近所の自動販売機に向かうことにした。アパートの部屋から出て、玄関の扉の鍵を閉めようとすると、自分が鍵を持っていないことに気付いた。
2015-09-06 17:56:10鍵を取りに戻ろうとしたが、そもそも鍵がいつもの保管場所に無かったことを思い出し、しまった無くしてしまったかと焦る気持ちもあったが、とにかく今はタバコの謎が頭を離れなかった。少しの間ではあるし、鍵をしないで自販機まで出かけることにした。 その時だった。
2015-09-06 17:57:50「あなた……誰ですか!?」 横から見知らぬ男に話しかけられた。その誰何はこちらのセリフだったが、思わず自分の名を告げた。 「荒木……ですが」 男は顔を引き攣らせてこういった。 「荒木は……僕だ……!」 よく見るとその男は僕と同じ顔をしていた。
2015-09-06 18:00:33男の手には買ったばかりのたばこが握られていた。俄に恐怖が全身を走った。 僕はその場を飛び出し、逃げ出した。視界はぐわんぐわんと揺れ、恐怖以外の何も感じなかった。
2015-09-06 18:02:41震える手でペットボトルのキャップを外し、買ったばかりのスポーツドリンクを飲み干した。 今思えば逃げ出しても行く先もなかった。家に戻るべきだろうか、だがもしアイツがまだあの部屋にいるならば、僕はどうしたらいいのだろう。 あの偽物は一体何なのか、答えも出なかった。
2015-09-06 18:07:56アイツは僕の顔をして、僕の名を名乗っていた。ドッペルゲンガーというやつだろうか、そんな非現実的なことが起きたというのか。 考えれば考えるほど恐怖がこみ上げてきて息苦しくなる。まるで恐怖に、あの偽者に首を絞められているかのようだ。 思えば、おかしかったのはタバコの夢からだ。
2015-09-06 18:10:46タバコに吸い込まれる夢を見て、僕は煙となってどこか別の世界に来てしまったんじゃないだろうか。 そんな妄想がクビをもたげてくる。あの時、タバコは減っていた。僕が見た夢は現実だったんじゃないか。タバコに吸い込まれて、辿り着いた煙の先の世界で僕は僕に出会ったんじゃないだろうか。
2015-09-06 18:13:24この世界には既に僕が居たのだ。では僕はどこに行けばいい。自分とは何なのか。元の世界には戻れるのか。 意を決して、僕はアパートに戻った。窓からこっそりと部屋を盗み見る。だがそこには僕が居た。やはり、見間違えでもイタズラでもない。そこには僕が居たのだ。 ここでは偽者は、僕だ。
2015-09-06 18:17:21目眩を感じてその場にしゃがみこんだ。どうすればいいのか目の前が真っ暗だった。だがいつまでもこうしているわけにも行かず、僕は立ち上がりその場を去ろうとした。すると、この世界の僕が部屋を出ようとしていた。 その時、一つの妙案を思いついた。
2015-09-06 18:20:14あれから、もう一年の時が過ぎた。僕は毎日絶えずたばこを吸っている。タバコを吸わないと、アイツが僕を殺しに来るような幻想に苦しむようになっていた。 タバコにはトラウマがある、だがその一方で、あの地獄のような一夜は、何故かタバコへの依存性を高めていた。
2015-09-06 18:24:03僕はあの晩、アパートを出ようとしたアイツを、僕は殺した。その日、タバコの火であのアパートは全焼し、中から死体から一体見つかった。死体の正体はアイツだ。アイツを絞め殺した僕は死体を部屋に運び部屋にタバコで火を点けた。
2015-09-06 18:27:54死んだアイツは僕と同じ体を持っている。死体は身元不明のまま、事件は迷宮入りした。当然だ。死んだはずの人間は僕なのだから。 警察はこう考えている、窃盗犯が部屋に偲び入り、そこでタバコを吸った、その火が始末されずに布団に燃え移り火事になったのだ、と。
2015-09-06 18:30:06こうやって僕はこの世界を奪った。 アパートが燃える時、僕は思った。この火を煙の先には殺人者としての運命が待っている。それはまるで異世界だろう、と。 そんな事件のことを思い出しながら僕はタバコに火を点けた。今日の一服は随分喉が渇くーーーー。
2015-09-06 18:32:25そういえばなぎこさんがタバコ吸われるの意外だったなあ。ゆいさんとかすみとさんは吸ってるイメージある。ゆりちゃんとなるるさんとみゃーさんもタバコ似合いそう。ぽんちゃんはむせそう。らっきーは逆にタバコに吸い込まれてやつれそう。
2015-09-06 17:34:52