ボカロ曲「Chaining Intention(feat.初音ミク)/Treow」のイントロ部分を音楽理論でガチ分析

「音楽理論家」として活動する「音楽理論を広めるアフロの人( @MusicTheoryNera )a.k.a."ネラルト"」氏が、理論的にかなり高度なことをしている初音ミク/Treowの名曲「Chaining Intention」のイントロ部分を分析していく周りで鯵やハンサムが茶々をいれます。 ほかにもアニメ「けいおん!」やaikoの曲などを分析したりしている氏のサイトはこちら http://neralt.com/ (Music Theory Workshop Japan | 音楽理論を効率的に学習する方法がわかるサイト ) 続きを読む
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ですから逆にこの曲のコードボイシングから学び、ルートとサードを話し、5thを抜き、11や13といったテンションを足すことで、不思議なサウンドを自分の曲に使うことができます。

2015-09-15 00:48:53
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実際こういったボイシングは、ビルエヴァンスやリッチーバイラークが多用します。

2015-09-15 00:49:12
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2小節目冒頭のコードはⅥmです。ただ、ルート 3 4 5とクローズド、つまり密集したボイシングをすることで、繊細さが出ていますよね。 pic.twitter.com/oRXPLL9nG7

2015-09-15 00:53:13
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さて、問題はこのコードですが、bⅥm7 にM6の音が付加されたコードだと考えることにします。このコード自体は頻繁に使われるコードではないですし、また次のⅡmとの結びつきはありませんし、実際サウンドも結びついているようには聞こえません。 pic.twitter.com/th3UedAKbN

2015-09-15 00:56:09
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間違えました。正しくは、bⅦ mM7にM6です。ポイントは、コードはアウトしていますが、メロディーは調性の中にあり、そして、そのメロディーはコードとはぶつかっていない、という点です。 pic.twitter.com/P7MFJNY0GN

2015-09-15 00:58:16
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さらに訂正
×bⅦ mM7
○bⅥ mM7

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つまり、コードはキーにはあっていないが、メロディーにはフィットしている、ということです。これはコンテンポラリーなハーモニーによくあります。メロディーが音楽を強く支配するので、メロディーだけ調性的であって、それにはまるコードであれば、コードに調性がなくてもサウンドします。

2015-09-15 00:59:39
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さて、3小節目、冒頭はⅡm7です。普通ですね。やはり、小節の頭は、きっちりF#マイナーキーもしくはAメジャーキーのコードになっていますね。こういった、核になる部分を捉えることが大事です。 pic.twitter.com/sThB5roe8g

2015-09-15 01:05:06
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その後のコードは、bⅡm7 Ⅰ9と考えていいでしょう。ベースラインは、前のコードから、2 2b 1とスムーズに連結していますから。そしてここでもメロディーは3なので、コードとは噛み合っていますね。 pic.twitter.com/syhkBweuRx

2015-09-15 01:08:20
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さて、4小節目のこのコードは少し厄介ですし、サウンドも明らかにトゲがありますね。メロディーは3なので自然ですが、コード自体は、Ⅰ+7という少し不安定なコードです。このままⅣMやⅥmに進むのであれば、割と自然かもしれませんが。 pic.twitter.com/K7UVJ5rTkO

2015-09-15 01:10:25
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さあ最後。一つ目はⅢm7ですね。先ほどのⅠ+7との関連はあまりありません。しかし、サウンドも関連があるようには聞こえないのでよいでしょう。二つ目は、4の音、つまりDの音がベースの音、C#の音と、b9という、強い不協和音程を作っています pic.twitter.com/32gNdlw2HR

2015-09-15 01:14:08
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このb9という音程は、マイナーコードでは特に避けるべき音ですが、つまり一般的にはアヴォイドと呼ばれる音ですが、しかし効果的に使われる時もあります。アヴォイドは、必ず避ければよいというわけではありません。

2015-09-15 01:16:25
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例えばEm7にFの音をたすと、ルートのEとFの音の間にb9という強い不協和音程が生まれますが、逆にこの音を強調することで、フィリジアンと呼ばれるモードサウンドを強調できます。これは、よい悪いではなくて、あなたがどうしたいか、と言う問題です。

2015-09-15 01:18:26
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といった感じで、全体を見てきました。コードは、各小節冒頭だけみると、ⅣM7 Ⅵm Ⅱm7 となっていて、最後はⅢm7から、また曲冒頭のⅣM7に進んでいますから、割と自然です。

2015-09-15 01:22:35
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そして合間合間の調性が見えにくいコードは、ダイアトニックコードと半音等のつながりを持っており、またメロディーとはフィットするものが選ばれています。

2015-09-15 01:23:22
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そして、明らかなダイアトニックコードも、ボイシングによってそのサウンドがわかりづらいようにされています。

2015-09-15 01:23:54
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こういったいくつかのテクニックによって、曖昧な調性と、しかしまとまりのあるサウンドが作り上げられていますね!!!ひとまず終了です。大変長々とお付き合いいただきありがとうございました!!

2015-09-15 01:25:43
鯵坂もっちょ🐟『つれづれなる数学日記』発売中 @motcho_tw

@MusicTheoryNera こんな遅くまでありがとうございました!すいません私があんな高度な曲をあげてしまったばっかりに!

2015-09-15 01:28:51
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いえいえ、かっこいい曲ですよね。いかがだったでしょうか。全く意味がわからなかった最初の状態に比べると、かなり整理され、それなりに合理的な分析になったかなと思います。 twitter.com/motcho_tw/stat…

2015-09-15 01:42:02
鯵坂もっちょ🐟『つれづれなる数学日記』発売中 @motcho_tw

@MusicTheoryNera いやホントに、最初はただ聴感上いい感じな音を自由に選びまくっていった感じなのかな?とすら思ってましたがああやって説明されると随分スッキリしますね!

2015-09-15 01:45:22
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