(漫画原作者、元編集者の)喜多野土竜先生による「プロレスと電子書籍」

(漫画原作者、元編集者の)喜多野土竜先生による「プロレスと電子書籍」についての 意見をまとめてみました (実際には「プロレスと吉本とアップルと電子書籍」という感じかもです・・・) (喜多野土竜先生のTwitterアカウント) 続きを読む
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喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

25:冷徹な計算と、メキシコでの経験、支えてくれる仲間たち、地の利……様々な要因が重なって、みちのくプロレスは船出に成功。ここら辺が、電子書籍を考える上で、ヒントになるのではないだろうか? 現行の出版社と敵対したり取って変わるものではなく、身の丈に合った食い扶持の確保と。

2011-01-09 15:55:39
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

26:みちのくプロレスも初期では苦戦したが、横のつながりでFMWの試合にゲスト参戦したり、ジュニアヘビーを盛り上げたいという思いがメジャー団体の新日本プロレスの獣神サンダーライガー選手を動かし、ジュニアヘビー級のインディ団体の選手が多数参加するワンナイト・トーナメントを開催する。

2011-01-09 15:57:52
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

27:そうやって世間の耳目を集める事で、インディー団体の選手にもスポットを浴び、地元に戻っての興行でも観客動員がプラスに働く。この後、みちプロは看板選手の怪我や内部分裂とか紆余曲折があるが、パス。少なくとも、電子書籍を開拓したい作家と、出版社の関係において参考になるのではないか。

2011-01-09 16:00:51
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

28:例えば漫画onWebから出てきた才能に対し、出版社側からのアプローチがあれば『出稼ぎ』に行ったり、肌が合えば『移籍』したり、やはり出版社の縛りを離れたテーマを描きたいので電子書籍に腰をすえるとか、選択肢が柔軟にあってもいいのではないか? ウィンウィンの関係を模索できればい。

2011-01-09 16:06:07
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

29:もちろん現状は、紙のほうで実績がある作家が電子書籍へという方向のほうが主流。同人誌からメジャー誌へという流れが多数派にはならなかったように、電子から紙への流れは、それほど大きくはならないだろう。経由地は変わっても、才能の絶対量はそうそう変わらないものだとも思う。

2011-01-09 16:09:56
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

30:ただ、出版社の編集が作家を育てるノウハウを継承・確立できず、同人誌やエロ系から即戦力スカウトし、編プロの育てる能力のある人間を正社員登録している現状では、電子書籍の方で吉本興行の育成システム宜しく弱肉強食の中で生き残ったものをスカウトする形式は、メリットもある。

2011-01-09 16:12:58
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

31:もちろん、そこから育つ作家は、ジャンルや内容に偏りが生じるし、ニッチな市場には訴求しても、大衆には届かないマニアックなタイプが増えるだけという危険性がある。ただ、そこを踏まえても、やる価値はあると思う。ただし、やるなら吉本興行の育成システムを参考にすべきかと思う。

2011-01-09 16:16:00
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

32:吉本の場合は、新人に場を与えて、そこから実際に観客に受けた人間が生き残っていくシステム。ただ、それだけではない。昔は芸人は、師匠に弟子入りして芸を学び・盗み、育つもの。ところが吉本はそれを解体し、学校教育システムを構築した。ダウンタウン以降、そのシステムは成功している。

2011-01-09 16:18:36
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

33:旧来の徒弟制度が、原稿をシュレッダーにかけて作家の奮起を促し、作家も応えるという情のつながりであったのに似る。ただ、一色先生も言うように、頻繁に人事異動がある出版社のシステムでは、そういう徒弟制度的な作家と編集の関係は構築しづらい(ただしジャンプ系は比較的長く在籍する)。

2011-01-09 16:21:41
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

34:3年から5年の短期で人事異動で動かされるなら、ジックリ新人を育てるより、他社から人気作家を引き抜くほうが、少なくとも単行本売上という点では実績になる。総合出版社では人事異動のシステムは簡単に変えられないなら、他の畑からのスカウトは必然である。ならば、畑と連帯も可能なはず。

2011-01-09 16:24:43
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

34:漫画onWebやそれに類する電子書籍発表の場が、吉本総合芸能学院(NSC)的な機能を持ち得れば、出版社と連帯しての関係も構築できるかもしれない。その試みに近いことは、佐藤先生と一色先生共作のネームの修正過程を公開して、すでに行ってはいるが。

2011-01-09 16:29:40
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

35:残念ながら、編集崩れが電子書籍会社を起こしいろんな作家に声をかけまくって、一山当てようとしても、難しいと思う(実際そういう怪しい勧誘は多い)。作家育成は名人芸的なもので、既成の作家を利用できても、新人は育成できない。育成できないと、将来的には先細りになるのは確実。

2011-01-09 16:31:48
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

36:例えば、専門学校のマンガ学科では、有名出版社の編集長クラスを招いて、講演してもらうことが多い。ところが、先月の編集長が否定していた手法を目の前の編集長は絶賛し、翌月の編集長はまた違うことをいい、混乱した経験がある投稿者は多いだろう。それぐらい、名人芸なのだ。

2011-01-09 16:34:37
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

37:個人的な作家育成システムを提案するなら、2年ぐらいのスパンで教え、最初の1年は概論を教え、次の一年は自分と価値観を共有できる先生をチョイスするゼミ形式でないと、難しい。まぁ、コレも一種の徒弟制度。投稿者の場合はいろんな出版社に持ち込み、相性の合う担当を探す作業をするのだが。

2011-01-09 16:39:04
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

38:けっきょく出版社のシステムの良いところは、ダメ編集も含めていろんなタイプを抱えることで、打率の高いタイプや一発のある対応、守備だけは凄いタイプのように、「ムダを飼っておける基礎体力」にある。ここら辺は中国戦国時代の政治家・孟嘗君の、『鶏鳴狗盗』の故事と同じである。

2011-01-09 16:43:48
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

39:会社に体力がある内は、ムダも抱えられるが、会社が売れる根拠を求め、博打的な出版を認めなくなると、編集者は堅く堅くしか動けなくなる。長期的に見れば、そこは損失になる。だが、未来の損失は未来にならないと、証明できない。一部の優秀な編集が、呼び屋と聞かせ屋を育てることで対処する。

2011-01-09 16:46:37
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

40:最後に。一度は潰れかけたAppleが、直営店で日銭を確保し、対面修理で顧客のニーズを聞き、情報を自分から発信した手法は、WWFとWCWの興行戦争にも似る。今Appleは好調だが、また冬の時代が来るだろう。その時はやはり、本業における王道・本道に回帰する意志が重要ではないか?

2011-01-09 16:52:05
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

プロレスに興味がない方には、分かりづらかったかもしれませんがm(_ _)m ちなみに、みちのくプロレスを起こしたグレート・サスケは新日本プロレス学校出身。NSCと似たパラダイムシフトの目はあったけれど、プロレス界はそれを吉本のようにシステム化できなかったのが問題だったかも。

2011-01-09 16:57:29
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

新日本プロレスは、学校で育成し、本体で旬のプロレスを見せ、旬を過ぎた選手を活かす別動組織、引退後のケアの警備会社というシステムを上手く構築して回せれば、人材確保とかも含め、また違ったかも……結果論ですが。さて、連ツイ中に頂いたコメントへのレスに入ります。

2011-01-09 17:01:42