First Love(中編)

りえぷぅ @riem124blue

260 そして、大倉の手を思いっきり引いて歩いた。 …お兄ちゃんのいる方とは逆に…。 大倉は黙って着いてきてくれる。 いつの間にか、人混みから離れて、ちょっと暗い小道に出た。 ドーンっていう音はまだ近いけど、小道横の木々のせいで、花火はあまり見えない。

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261 大倉「………良かったん？」 良かったのかどうか…わからない…。 自分で自分の行動がよくわからない…。 なんか…こわくて…。 何がかわからないけど…なんかこわくて…。 黙ってると、後ろに立ってた大倉に、後ろからゆっくり抱きしめられた。 そんなことされたら泣いちゃう…。

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262 でもせっかく化粧したのに…おめかししたのに…泣いたら台無しだよ…。 別に悲しいわけじゃないもん…お兄ちゃん元気そうやったし、大倉はこうやって一緒にいてくれるし…。 大倉は黙って私の気持ちが落ち着くのを待ってくれた。 抱きしめてくれてる腕に、そっと触れてみる。

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263 ＊＊「ごめんね…せっかくの花火やったのに…。」 大倉「えぇよ、そんなん…。帰る？それとも残り見に行く？俺はどっちでもえぇで？」 ＊＊「少し歩いたらまた見えるかな…？」 大倉「どうやろな？行ってみよか？」 私の身体を自由にして、大倉がまた手を繋いだ。

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264 そうして歩いてたら、大倉のPHSが鳴った。 大倉「…ヤスや…もしもしー？……えー？どこー？？」 会話しながら大倉がキョロキョロする。 大倉「あーっ！見えたぁっ！」 大倉の目線を辿ると、上の方にある丘みたいなとこで大きく手を振ってる安田くんが見えた。

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265 大倉「あっこ花火見えんねんて！行かへん？」 ＊＊「ん！行こ！」 大倉の笑顔に精一杯応えて、一緒に石段を登る。 安田「おーくらぁー！こっちやでぇ！」 安田くんは相変わらずおっきく手を振っていて。 私たちがそれに気付くと、ピョンピョンとジャンプまでしてる。

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266 安田くんたちの近くに寄ると、ちょうど木々の間から抜けるように、正面に花火が見えた。 ＊＊「…わぁ…！」 大倉「すごいわぁ！！」 安田「せやろぉ～！俺とりっちゃんで去年見つけてーん♪なぁ～っ？」 リナ「ねぇ～？♡あっ、虫除け！」 プシューと、スプレーかけられた。

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267 そうして、残りの花火はここで、４人で楽しんだ。 安田「今年もすごかったな～♡」 リナ「ねぇー♡あっ、スプレーしたのに、ここ咬まれたぁ…。」 安田「えっ？！どこぉ？わっ、ほんまやぁ！カユイやろぉ？かいたろかぁ？♡」 リナ「やだー！きゃはは！」

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268 ………ラブラブだなぁ…。 大倉「ここって、なんなーん？」 安田「誰か住んどったんやないかなぁ？奥にボロボロの家あんねん！」 リナ「なんか今にも出てきそうな…！ね？」 安田「見に行ってみるぅ？」 大倉「いややぁ！俺そんなんあかんねん！絶っっっ対行かん！！」

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269 安田「おーくら、あかんのぉ？あははっ！」 リナ「それが普通だよ～！あんなの見に行こってゆー章ちゃんがおかしーの！」 安田「えぇ～？だって、恐かったらりっちゃん抱きついて来てくれるやろぉ～？♡」 リナ「行かなくても抱きつくよ♡」 …私たちがいるの忘れてない…？

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270 大倉をチラッと見たら、大倉もこっちを見て…思わずクスッと笑ってしまった。 たぶん、同じこと考えてたんだね。 安田「ほな、またガッコでな！」 ２人が手を振って歩いてく。 安田「りっちゃぁん♡今日俺んち泊まってってやぁ～♡」 リナ「えぇ～？♡」

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271 金色の頭が２つ、くっついちゃうんじゃないかって感じのまま遠ざかる。 大倉「…絵に書いたようなバカップルやったな…。」 ＊＊「ちょっと…！そんな言い方…まぁ、ちょっと思ったけど…(笑)」 大倉「あはっ！」 大倉は離れてた私の手を取ると、ニコッと笑った。

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272 大倉「帰ろ♡」 河原で見てたら、今頃帰りの人混みの中で窮屈な思いしてたかもな…。 いくつかの街灯はあるけど、暗くて静かな帰り道。 ＊＊「…あっ…！」 足にちょっとした痛み。 大倉「どおしたぁ？」 ＊＊「ちょっと…足痛い…。」 大倉「えっ？！大丈夫ぅっ？！」

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273 光子さんの絆創膏が役立つ時がきてしまったようだ。 ＊＊「ちょっと…絆創膏貼りたい…。」 大倉「うん！じゃ、そこ座ろ！」 ベンチに座ると、大倉は私の前にしゃがんで、足の様子を見てくれた。 ちょうど鼻緒のところが赤く腫れてる。 大倉「貸して？俺が貼ったるよ。」

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274 ＊＊「えっ？！いーよ！！」 大倉「えぇーから。」 そう言って、そっと足に触れて、絆創膏を貼ってくれた。 ＊＊「ありがと…。」 大倉「立てる？」 ＊＊「ん…。」 立ち上がった大倉が両手を差し出した。 最後ぐらい素直になろうと、その手に自分の両手を乗せた。

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275 ぐいっと引っ張られて、立ち上がる。 立ち上がって、少し見上げると同時に…唇に柔らかい感触。 キス…！ あまりにも自然で、びっくりしすぎて声も出ない。 いま私、絶対顔真っ赤だ…。 そのままふわって抱きしめられる。 耳元で優しい声が聞こえた。 大倉「あかんかった…？」

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276 抱きしめられたまま首を横に振った。 そして、大倉の背中に腕を回した。 そしたらギュッてされて、また声が聞こえた。 大倉「…良かった…。」 ＊＊「…大倉は…ずっと傍におってな…？」 大倉「あたりまえやんか…。ずぅっと一緒やで！」 ＊＊「…す、すき…。///」

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277 精一杯勇気振り絞って。 大倉「ありがとぉ…俺も好きやで♡」 ゆっくりと身体が離れて、顔を見ようとする大倉。 でもすごく恥ずかしいから、見られたくなくて。 ＊＊「こっ、こっち見んといて！///」 そう言って、そっぽ向く。 かわいくない私に戻る。

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278 大倉「え～？こっち向いてやぁ～！そんなんやったら、ちゅうできひんやぁ～ん！」 ＊＊「もっ、もぉいいやん！」 大倉「えぇーっ？？いいやぁ～ん！ずっと我慢してたんやからー。」 顔を隠したまま、大倉の手をギュッと握って、勝手に歩き出す。

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279 大倉「もぉ…恥ずかしがり屋さんやなぁ…。」 返事もせずに黙って歩くと、大倉は渋々後に付いてくる。 大倉「………足痛ない？」 ＊＊「………うん………。」 ―――――― この年の夏休みは、すごく楽しかった。 金髪２人組のお誘いで、海にも行ったし。

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280 大倉は、ずっとＴシャツ着てた私に、すっごく不満気だったけど。 大倉「おまえスタイルえぇんやからさぁー。」 ＊＊「見たことないでしょ！///」 大倉「だいたい分かるってぇー。」 ＊＊「わからない！」 大倉「ほんなら、見してや？♡」 ＊＊「…あほぉっ！！///」

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281 そんな夏休みはあっという間に過ぎて、つまらない学校生活がまた始まる。 つまらない始業式が終わって、教室に戻る。 先生がまだ来ないから、みんなバラバラになってうるさい教室。 私は頬杖ついて、黙って外を眺めていた。 前方に誰か来て、どうやらコチラを見てる様子。

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282 ゆっくり前を見ると、長い黒髪の清楚系のお嬢様って感じの子…。 さすがお嬢様学校と言われる学校。 確か同じクラスの…どかそかの社長令嬢…誰だっけ？ ていうか、何の用…？？ じっと私を見て「なんでガッコではいつもそんな顔してんの？」って…あれ？聞いたことある声…。

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283 ＊＊「…リ、リナっっっ？！」 リナ「一緒に海行った仲やのに、知らん人扱い？」 ＊＊「だ、だって、全然ちがう…。」 髪色も髪型も化粧も雰囲気も…。 リナ「金髪やめたにしても、そんなにわからないもん？」 ＊＊「わからないよ！びっくりした…！」

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284 リナ「てか、知らなかったでしょ？同じクラスだって。」 ＊＊「う、うん…ごめん…。」 リナ「河原で会った時、完全に初対面対応やったからね～。ま、いいけど。」 ＊＊「リナは…すぐに私のこと分かった？」 リナ「当たり前でしょ？＊＊、１年の時から目立ってたし。」