E４編　過去を超える一歩　その５（完結）

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「心を弄ぶなんて……容赦はしません！いざ、全力で参ります！」 榛名の合図とともに全員が戦闘を開始した

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E４編　過去を超える一歩　その５

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1. 「イケッ……」 インセンディアリーが指示すると滑走路状になった艤装から大量の敵艦載機が飛び出してきた。しかしこれもすでに想定済みであった 「ようやく本来の出番が来たってところね」 「ひゃっはー！一機も残らずやっちまえー！」

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2. 千代田と隼鷹が全力で戦闘機を放つ、この作戦に向け模擬戦闘訓練で鍛えた熟練の艦載機だ。敵はあの化け物のような艦載機。こちらの戦闘機は撃墜されることなくまるで『呑まれる』ように消えていく謎の 存在だ。そのような禍々しい敵艦載機を何とか抑えつけ、航空戦はやや優勢といったところだ

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3. 「予想以上だな」 「うん、あまり長くは持たないかも。弾着観測射撃の準備に移るわ」 「よし。今なら偵察機を向かわせられそうだよ」 一昨年の作戦と違ったのは「弾着観測射撃」とそれに伴った「制空権」 弾着観測射撃は艤装の改良により昨年より導入されたシステムである

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4. 空母の発艦させた艦載機妖精から送られてくるデータを直接艤装に当てはめ砲撃を行う。これにより砲撃の命中率が劇的に向上する しかし当然ながら制空権を確保しなくてはデータの蓄積を行うことができない。一昨年の作戦では対空砲火のみであったのに対し、今回は制空権の確保も必要であった。

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5. 千代田と隼鷹の航空母艦が呼ばれたのもそのためであった 「艦載機妖精より座標を受信、砲撃開始！」 榛名が特徴的なダズル迷彩の主砲で砲撃を行う。 取り巻く千代田、隼鷹の爆撃機の対空砲火に手一杯であった戦艦ル級は回避する間もなく直撃した砲撃によりあっさりと沈んだ

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6. 「すっごーい……夕立も負けてられないっぽい」 「あ、ちょっと！」 榛名が驚いている隙に夕立が敵の巡洋艦に突撃する。駆逐艦の機動力を活かした戦闘であるが無謀である。予想外の突撃に応戦する敵巡洋艦に対し素早く回り込んで攻撃を仕掛ける 「フブキちゃん直伝！カラテ殺法！ポイーッ！」

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7. 当然だが夕立は咆哮鎮守府のフブキのような動きはできない。カラテ戦闘というのも自分で勝手につけている。 だが戦闘を見よう見まねで彼女が真似した結果……敵に突撃、撃沈するまで離さない恐ろしき戦闘スタイルとなったのである。 それはもはや味方すら止められないまさに「狂犬」

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ちなみに体力、精神修行的な点では霧雨艦隊下の艦娘にあのカラテは少なからず影響を与えているようだ。 夕立の場合は合体事故とも言わんばかりの戦闘スタイルが生まれたわけだが

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8. 「ポイーッ！」 「ポイーッ！」 独特の叫びの至近戦によって一隻、また一隻と敵艦を撃沈していく 「さすがにこれ以上は無理っぽい！」 とはいえ敵が戦艦や重巡洋艦クラスになると分が悪い。 取り巻きの軽巡洋艦、駆逐艦を乱したところで一度引く。引き際も速やかである

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9. それもこれまでの戦闘で学んだことであり、ただの狂犬ではないところであった 周囲に湧いた深海棲艦との戦いは優勢の中 「こちらも艦載機よりデータが来ましたよー。砲撃しちゃいます！」 ついに青葉が三式弾を放つ。瞬く間に飛行場姫ことインセンディアリーは炎に包まれる。しかし…

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10. 「ツツマレロ……フフフ、アツイデショウ？」 インセンディアリーの声とともに青葉に異変が起こる 「か、体が！も、燃えっ…熱い！」 「大丈夫か！？」 「大丈夫……？見た目は異常なし」 通信で声をかけたザハ提督とヴェールヌイ。他の艦娘からみても外見には異常は無い。

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11. しかしその状態にも関わらず悶え苦しみつづけている 「こ、こうなったら一か八か」 青葉がそう言う間もなく残っていた敵戦艦の砲撃が着弾して水しぶきが上がる。 水しぶきがおさまるとそこには青葉の姿は無い 「青葉さん！？」 「沈んじゃったっぽい……？」

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12. 様子を見に先ほど砲撃した戦艦ル級が近づく。すると 「ぶはーっ、ちょうどいいタイミングです！」 突如潜水艦のごとく水上へ現れる青葉。戦艦ル級のを取った状態となり浮上の勢いとともに戦艦ル級を突き飛ばす 「……ホゥ」 インセンディアリーが感心したかのような素振りを見せる

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13. 心配した榛名に対し戦艦の攻撃を頼む青葉 「あ、はい！」 正面からの撃ち合いであったが敵戦艦が体勢を立て直す前であったために無事撃沈した 「だ、大丈夫ですか？」 「ちょっと無茶すぎたみたいです。艤装もまだ 使用不可能ですし」 「実際沈んでたしな。無茶するよ全く」

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14. 隼鷹が指摘してきた通り、沈没という概念が艦船にある以上潜水艦娘を除き、水面下に行くことは非常に負荷がかかる ゆえに数メートルの潜水であっても人間にとっては数十メートル素潜りで潜るようなものである。普段の体力の高さがゆえの一か八かの行動であった。

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15. また艤装に浸水してしまうため一時的に使用不可能になる。先ほど榛名に砲撃を頼んだのはそのせいである。 「でもだいたいわかりました。現状三式弾は使えません。例によってあいつはほぼ無傷ですし先ほど青葉に起こった現象、燃えるような感覚、何かしら苦痛を反射してきているみたいです」

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16. 「それで海中に潜ったから火災が消えたの？」 「それはわかりません。とりあえず一か八かの判断でしたね。司令官にまた怒られちゃう」 それを聞いていたザハ提督 「全く、無茶しやがって。とりあえず生きて帰ることが先決だが、こいつはどうするか」 「でもどうすれば……」

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17. 「少し護衛をお願いしていい？解析してみる」 悩む榛名に対しヴェールヌイが話しかけた

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「Анализ……」 「何かわかったっぽい？」 「завершение……大丈夫。戻って」 艦隊全員で動きつつヴェールヌイの解析は完了した 「うん、向かって左の艤装の中にある球体。あれに異常なエネルギー反応があるね」

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19. うん、向かって左の艤装の中にある球体。あれに異常なエネルギー反応があるね」 「そこを壊せば攻撃が通るっぽい？」 「でも砲撃は効かないですし、青葉もまだ艤装の回復に時間を要しています」 青葉の状態を見れば一目瞭然であった。

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20. 「ウフフフ……先ナド存在シナイワ。ココデ彷徨ウカ引キ返シテ悪夢を語リ継グトイイ」 インセンディアリーが例の「声」で呼びかけてくる。ザハ提督は答える 「すまないが例の件は後継の提督も大変なことになっているんだ。ここでけりを付けておかなくてはいけないものでな。榛名」

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21. 「やはりそれしかないですね」 榛名も提督と同じことを考えていたらしい 「艤装、アーム展開！」 榛名の艤装のシールド部分が変形していく。巨大な手のような形態だ 「隼鷹さん、あと制空権、どれくらい持ちますか？」