トアルツイッタラーの語る、アメリカ　文化エリート事情

今は違いますが、WhitneyはNYでも稀な100%非ユダヤ系の美術館で、警備員と秘書以外は全部クリスチャンで白人という、ある意味、特殊な場所でした。そんな中、我々フェローの秘書は、唯一の中国系で、飛び級して二十歳でプリンストンを主席で卒業した、ものすごいキツい女のコでした。

2011-01-13 01:47:59

そのコの両親は医者で、お姉さんはハーヴァード・ロー・スクールを出てNYで弁護士。コネティカットの超高級住宅地で生まれ育っていたため、NYに引っ越して来るまで英語のできない中国人を見たことがないと言って、「同じ人種だと思うのが不愉快」だとチャイナタウンを毛嫌いしていました。

2011-01-13 01:51:11

頭も良かったけれど、激しい性格の人で、ボーイフレンドが大学を卒業するのを待ってから、すでに学費全免が決まっていたハーヴァードとUCBと、どっちが良いかさんざん迷った末、博士は「西海岸に行ったらアジア人が多いんでしょ？」と言って、バークレーへ行きましたね。

2011-01-13 01:55:00

家族の間でも100%英語しか使ってなくて、中国語はできなかったんじゃないかと思います。彼女の「アジア人観」が特殊だなぁと思ったのは、私がNYを引き払う際にピアノを売ろうと思って、彼女が見に来た時。座るといきなり、シューマンのソナタを凄まじい勢いで一心不乱に弾きはじめたのでした。

2011-01-13 01:59:21

「中古にしては悪くないわね（ウォーリッツァーの相当な中古だと、ちゃんと言ってあった）」と感想を言うと速攻でお姉さんに電話をして、「友だちが…アジア人なのにピアノを弾くコなんだけど、引っ越すからピアノを売りたいって言うんだけど」と言うのを聞いて、その言い方に少しびっくりしました。

2011-01-13 02:03:24

彼女が後で説明するには、「小さい時から、中国人が一人も居ないエリアで育ち、学校でも中国人の友だちは居なかった」「NYに来て、英語も話せない中国人を初めて見てショックなのに、あの人たちと一緒にされるのは耐え難い。チャイナタウンにいるような中国人にはピアノを弾くような人は居ない」

2011-01-13 02:06:08

彼女の両親もアメリカ生まれで、家族以外の中国人とはあまり接触することなく、リベラルな人が多い、富裕層社会で目立たずに暮らしていたようで、「文化的に中国や中国人に親近感を持とうにも、ぜんぜんその感覚がわからない。中国は自分にとって外国以外の何ものでもない」と言うんですよね。

2011-01-13 02:10:01

カズオ・イシグロ氏が、「海洋学者の父とその友人であるリベラルな知識人、彼らの家族に囲まれて育った。アジア人だからという理由で差別を受けたことは一切ない。日本は異国だ」と主張しているのを聞いた時、私はこの、コネティカットの白人社会で育った中国人のコのことを、ふと思い出したのでした。

2011-01-13 02:14:03

たしかに裕福で、世界中を旅して、文化的な人ならば、まず、外国人を排斥したりすることはありません。そういう友人を持つ父親であれば、彼自身が相当に高度な知識人だったであろうことは明白です。しかし、社会がそういう人だけで出来ていると考えるのは、また、ナイーヴなことだとも思うわけです。

2011-01-13 02:16:57

NYで出会ったこの中国系の友人は、ちょっと無理をしているんじゃないかと思うところがあったので、イシグロさんはどんな感じに幼少期のことを語るのか、一度、直接お話してみたいなと思っています。中国系の友人は、日本生まれなのにWhitney Museumに居た私に興味を持ったようでした。

2011-01-13 02:21:23

まぁ、でも、他のアジア系アメリカ人とも色々話しをしましたけど、ああいう不思議な会話って、日本から来て何年もアメリカに滞在している人にされたことは無いですね。あと、普通に自分はアメリカ人だと認識している西海岸の日系アメリカ人でも無いなぁ。東海岸ならではの事情によるような気がします。

2011-01-13 02:27:18