◇黄昏町と私◇その8
- RiverInWestern
- 1874
- 0
- 0
- 0
[町]芝生に踏み込んだ足に鎖が絡みつく。罠だ。ドラム缶の重石が転がり落ちた先は溜め池。深い水底へ君を引きずり込む。《水耐性所持で脱出【魂+1】、不所持で水死【魂-2/異形『鱗(水耐性、力+1)』を入手】》 #黄昏町の怪物 #黄昏xあの人 198
2015-10-17 00:06:25[町]「君、前にも会った?」痩身の男が笑むと、鋭い八重歯が覗いた。「まあいい。旨いものは何度でも食べたいもんさ」《力3以上で勝利【魂+1】、力2以下で死亡【魂-1/異形『牙(力+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547
2015-10-17 00:06:40ずるずると腕を引きずり、私は鳥居を探し求めていた。いやあ、普通に歩くと腕が地面につくのでこうなってしまうのだ。あんま痛くないからいいんだけど、見た目的になんかあれだな。もう少し身長が欲しいかもしれない。『けど、これでだいぶ安心して町を歩けるわね』1 #4215tk
2015-10-17 17:30:09能天気な明里ちゃんの発言に、私は思わずため息をつく。「そうだといいんですけどねえ」『あら、あんたらしくもない。ずいぶん弱気ね?』「そりゃあ、基本的に怪物は問題にならないですよ?けど、まだあの……杜龍せつなに勝てるかというと。正直疑問です」2 #4215tk
2015-10-17 17:33:12息を飲む音が聞こえる。どっちのだろう。まあいいや。『確かにあの人は強いですけど……でも、人間では?』「私だって人間ですよ。単なる力はともかく、技術がまるで違うんです。どうしたって相手の方が経験も上ですし。こればっかりはどうしようもないですね」3 #4215tk
2015-10-17 17:36:35私は肩を竦める。「ま、だからってやることは変わんないですけどね。鳥居です。鳥居を探しましょう。そして」帰る。そう続けようとした私の耳に、鋭い笛の音が飛び込んできた。『あの、今の笛の音って』「……あの犬笛ですかね、やっぱり」『え、え?なんか聞こえた、今?』4 #4215tk
2015-10-17 17:39:08うろたえている明里ちゃんに答えず……というか聞こえてないんだ。異形を持ってない人間には聞こえないのかな、あれ……私は駆け出した。笛の音は断続的に鳴り響き、持ち主が切迫した状況に置かれていることを知らせてくれている。ま、せっかく近くにいるわけだし。手伝うか。5 #4215tk
2015-10-17 17:42:12面倒なので鬼腕で塀やら壁やらを壊し、最短経路で音源の元へ。そして発見!笛を吹いているのは長髪の女だ。その脚には鎖が巻き付き、溜池へと彼女を引きずり込んでいる。ドラム缶トラップか。あれ案外逃げらんないんだよな。あの人もすごい異形持ってるけど抜け出せてないし。6 #4215tk
2015-10-17 17:45:11必死に笛を吹いている彼女は、蛇髪を大地に突き立て耐えている。が、それもいつまで持つか。「ちょっと急を要しますねあれ!明里ちゃん!」『へ!?え、なに!?』「ちょっと失礼しますね!」一言置いてから、私は明里ちゃんをむんずと鷲掴みにした。『ひゃあッ!?』7 #4215tk
2015-10-17 17:48:09掌に暖かな感触。私は明里ちゃんを振りかぶり、全力で投げた!狙いは女の脚を引く鎖!『ふぎゃあっ!』明里ちゃんが着弾し、見事鎖を断ち切った。やったぜ!池へ引き寄せられていく鎖の残骸を横目で見ながら、私は彼女の元へゆっくりと歩いていく。「立てますか?」8 #4215tk
2015-10-17 17:51:19