空想の街・ハンツピィの宴2015 1日目

twitter上の創作企画「空想の街」のまとめです。 漏れや不備等あれば公式までご連絡ください。 編集可能にしてありますが、手動による編集を入れていますので時間順ボタンはご遠慮ください。
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日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

ミントティーを席に持って行きながら、ナウオンゼリーとは何だろう?と記憶を探る。「ハーブティーですがお召し上がり下さい」@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 13:46:13
独双笛の魔王 月々紛〈The DuetOcarina : YuehYueh-Fung〉 @yyphoen

@sola_Dante ハーブティは店でもよく出す。ただ、この味は飲んだことがない。でも結構おいしいなあ。あとでこれも教えてもらおう。 #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 13:49:46
日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

暫く考えたが、やはり“ナウオンゼリー”の名称やレシピなどは記憶になかった。「ナウオンゼリーは判りません。当店ではお出ししていませんので…お役に立てず申し訳ありません」@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 13:54:08
独双笛の魔王 月々紛〈The DuetOcarina : YuehYueh-Fung〉 @yyphoen

@sola_Dante 「あれー?この時期、ポムの星の副作用対策に、ナウオンゼリーは必ず用意されてるって話でしたよ。オーナーが言うには作用の薄い甘口でいいっていってました。もしかしたら、ポムの実の副作用対策の別の薬のことかもしれないですね」 #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 13:58:32
日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

「副作用の薬でしたらあります」薬用の箪笥を空けると分包の「星草」と書かれた漢方を取りだし客人の前に出した。「ポムグラフの若芽と少量のコルチカムの花を乾燥させて粉末にしたものです」@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:08:58
独双笛の魔王 月々紛〈The DuetOcarina : YuehYueh-Fung〉 @yyphoen

@sola_Dante 僕は電話でオーナーに確認した。<その薬をゼリー状にすればナウオンゼリーの完成よ。時間をかけずにすぐゼリーになるわ。方法はその店主が知ってる。名前がナウオンゼリーではなかったってことね> #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:18:28
日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

「お急ぎの様子ですのであるだけ出しましょうか?」と尋ねる瑛。@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:22:17
独双笛の魔王 月々紛〈The DuetOcarina : YuehYueh-Fung〉 @yyphoen

@sola_Dante 「緊急なんであるだけお願いします。でも、他のお客様も入用になるかもしれないので、少しそっちにも残しておいてください!」ようやくお店に帰れそうだ。 #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:24:59
日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

20包ある内の10包を袋に入れて、手渡す。「ぬるま湯に溶かして、服用して下さい」@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:28:08
独双笛の魔王 月々紛〈The DuetOcarina : YuehYueh-Fung〉 @yyphoen

@sola_Dante 「はーい、ありがとうございます!」僕は店を出て行った。急いで帰ってオーナーに渡さないと #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:31:25
日下 昊/頭巾ちゃん @sola_Dante

「有難う御座います。お気を付けて」と瑛は会釈をして見送る。@yyphoen #空想の街 #ヘクセンバウム #花心亭

2015-10-25 14:34:34
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

秒針が時を刻み、真夜中の0時を大時計は告げる。 やれやれ、比翼の鳥も顔を青ざめるんじゃないかと思うほどにお熱い二人だ。 妬いている? まさか。 俺は傍観者、二人の生を見守る語り部さ。 だから二人のことは何でも知っている。何でも、な。 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 15:54:35
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

そういう役回りなんだ。人の人生を見続ける。 悲劇的で喜劇的で惨劇な解説者。 さて、そろそろ口上を止めて、物語をはじめよう。 「何故、作家は小説を書かないのか」 ま、そんなたいした話じゃないんだけどな。 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 15:59:23
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

手をつないで眠った。作家の手はごつごつとして大きい。 0時を告げる時計の音に目を覚ました。すぐに眠る。そして夢を見た。 ーー本が燃やされている。たくさんの本が燃やされて、灰になり、土に還ることも許さないと、川に流される。それはたった三年前の現実だった。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:05:30
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

ことのはじまりは国の政権に批判が集まるようになったことだった。デモが絶え間無く起きるようになり、国は少しずつ荒れていった。 国はある時、国を惑わす報道や表現があるから国が乱れるのだと言って、本を燃やしたくさんの作家を逮捕するようになった。 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:07:36
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

違法な本を見つければ、報奨金が出るということで、人は躍起になって違法な本を探した。本の魔女狩りが始まった。 女房と作家はこの頃、夫婦でもなかったし、恋人ですらなかった。交流のある作家とファンに過ぎなかった。 作家は本殺しが横行する国で一生懸命本を書いた。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:08:54
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

検閲が入れば、修正しても出版にこぎつけ、売れる場所が少なくなると知れば、手売りする道を模索した。彼は本を書き、読んでもらうという努力を弛まなかった。そんな作家を女房は追い続けた。 女房は紫陽花が咲く雨の日に聞いた。 「どうして、そこまで頑張れるのですか」 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:10:52
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

作家は曖昧に笑って、一息ついた。 「どうしてだろうね。分からないんだ。こんなことをしても私には利がないのに。ただ物語が、息を吸う場所を失っていくのを見るとね。たまらなくなるんだ。私や君に夢を与えてくれた物語が、息絶えていく。それも自分の作品なら尚更ね」 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:12:11
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

作家は珍しく舌が動いた。表情はさえず、髪も少し寝癖づいているおおよそいい男ではないのに、女は男の顔をじっと見つめた。 男は視線に気づいたのか、すまなそうに苦笑いする。 「いや、つまらん話だ。そういえば、君も私に近づかないほうがいいと言われているだろう」 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:14:21
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

女は肩をすくめる。 「えぇ。言われてはいますが、無視しています」 「国の危険因子と縁側で語らうなんて、親を泣かせるよ」 女は男のやんわりと遠ざけようとする態度が嫌だった。二人は恋人でもなければ夫婦でもない。作家とファンだ。それが今、こんなにもどかしい。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:16:29
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

雨はしとしとと降り続け、庭の石はただ無言で打たれ続ける。男は女の腕を振り払わなかったが、ただ哀しそうに黙り込んだ。 男はやがてぽつりと言った。 「君は、いつか傷つく」 語尾が僅かに震えていた。 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:17:34
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

作家は拘束された。拘束したのは国の機関であり、人々を守るはずの治安機関だった。しかし国の危険因子たる作家はもはや国の害獣であり、治安機関はただ彼が転向するように、「努力」しなければならなかった。 ありとあらゆる暴力が彼を襲い、眠ることも許されなかった。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:18:23
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

彼の魂はやがて彼に不思議なものを見せ、また不思議なものが彼を引き寄せようとするようになった。 それは後の生活に影響するようになった。 だがこの時においては、それほど意味のない話だ。 一ヶ月拘束され、ある団体が血の滲むような交渉をして、彼は釈放された。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:20:25
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

家に帰ると家は燃やされていた。誰が燃やしたのかはわからない。庭に入ると、煤にまみれ、背中には裂傷が見える彼女が倒れていた。 作家は血相を変えて駆け寄ると、掠れた弱々しい声で彼女は言った。 「良かった……帰ってきて……ごめんなさい、この子しか守れなかった」 #作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:22:27
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

それは拘束前に書いた悲恋ものの小説だった。 彼女は誇らしげに笑い、意識を失う。作家は声を張り上げて名前を呼び続けた。 後に作家の行動を苦々しく思っていた男が、住居に進入して火を放ち、作家の家守をしていた彼女は止めようとして、傷つけられたことを知った。#作家と女房 #空想の街

2015-10-25 16:23:44
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