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2015年10月24日

牧眞司さんによる「カヴァン『氷』をどう読むかというところからはじまった、「宇宙論の文学」についての説明」――unyueさんの『氷』読了時の感想を発端に

牧眞司さんによるアンナ・カヴァン書評 『氷』 http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2015/03/24/112453.html 『アサイラム・ピース』 http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20130226/1361834269
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unyue @unyue

漸くに「氷」を読了。余りにも個人的過ぎると云うか、登場人物全てが著者自身の様々な側面を投影した芝居のように感じてしまって本当に厭だ。子供っぽく何処までも我儘。そう感じる自分が未熟なのだとしても、もうこれ以上カヴァンは読まないことにしようと思う。 #honyakmonsky

2015-10-23 19:38:35
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

ああ、その気持ちはわかります。ぼくはそう読まないけど、読者の視点の置きかたで、そう読むしかないところがありますね。 twitter.com/unyue/status/6…

2015-10-23 19:44:26
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

すごくザックリ言うと、『氷』を「共同体の文学」として読むと登場人物はことごとく変態ぽくて未熟でウザいんですが、カフカと同じ「宇宙論の文学」として読むと、個人と世界(他者)の抜きさしならぬ関わりが見えてくる。以前に書評しました。webdoku.jp/newshz/maki/20…

2015-10-23 19:50:38
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

「共同体の文学」と「宇宙論の文学」というのは、たしか奥泉光さんがボルへスを論じるにあたって導入した考え方で、ぼくは勝手に拡大解釈して使っています。宇宙論といっても物理学的なそれではなくて、「世界がどう成りたっている」「自分の前に世界がどうあらわれるか」ということですね。

2015-10-23 20:16:45
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

「共同体の文学」は他人を前提とし、その他人は自分と同等の欲望や権利を持ちながら、その欲望や権利の向く先はかならずしも自分とおなじではない。そこに規範的なもの(それは状況によって多分に恣意的であり暗黙的)が介在してくる。

2015-10-23 20:18:33
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

「宇宙論の文学」はひたすら自分と世界との関係。自分以外の人間は、世界の一部を成す(あるいは世界そのものである)他者であって、規範的なものをいっさい抜きにしてやってくる。

2015-10-23 20:19:54
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

ぼくは「共同体の文学」にはほとんど興味がなくて、だから社会性とか同時代性ってこともあまりピンとこない。ただし、あらかじめ「共同体の文学」と「宇宙論の文学」があるのではなくて、同じ作品でも読みかたによってどちらになると思っている。

2015-10-23 20:27:47
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

カフカを共同体的に読むこともできるし、宇宙論的に読むこともできる。カヴァンもまた。

2015-10-23 20:27:56
unyue @unyue

@ShindyMonkey わたし自身が未熟過ぎて、全く理解できないのです… 共同体の文学と宇宙論の文学の中の「自分」とは誰を想定すれば良いのでしょうか? #honyakmonsky

2015-10-23 20:51:22
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue むしろunyueさんは大人なので、ぼくのような極端な中二病的読みかたをしないだけじゃないかと思っています。宇宙論の自分は、普遍的な個人ですね。すべてのひとであり世界内存在。

2015-10-23 20:58:19
unyue @unyue

@ShindyMonkey 〈作者〉とか〈読者〉とか〈主たる登場人物〉とかを想定しているのではなく、普遍的な個人ということですか?(む、難しいです!) #honyakmonsky

2015-10-23 21:01:07
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue はい。ひとはだれもが世界と対峙していますよね。生物的に環境とつながっているということもありますし、実存的にそこにいる(意志とは関係なく産み落とされ、意志とは関係なく死んでいく)。そういう個人です。

2015-10-23 21:57:08
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

カフカや残雪に比べると、カヴァンはセンチメンタルであって、だから感情移入できるというひともいるだろうし、だからちょっとイヤっていうひともいると思う。作品によってもあらわれかたが違うし。

2015-10-23 22:01:26
unyue @unyue

@ShindyMonkey うーむ、つまり… 物語世界に埋没する読み方/文学観=宇宙論的、客観視する(敢えて規範を設ける?)読み方/文学観=共同体的、と云うことなのでしょうか? #honyakmonsky

2015-10-23 22:05:58
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

センチメンタルという面では、カヴァンはカフカよりもディックに近いかもしれない。でも、ディックほどベタベタじゃない。

2015-10-23 22:10:58
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue ぼくが考える「文学的な宇宙論」は、客観と主観の区別がないんですね。自分と世界しかないのだから。「共同体」の規範というのは家族とか社会とか文化とか、そういう暗黙に了解されている(だけど根源的に考えると普遍的とは言えない)ルールや空気ですね。それが客観といえば客観かも。

2015-10-23 22:16:38
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue うまく言えないですが、小説に限ったことではなく、哲学でも存在論的な哲学と人生論的な哲学があるじゃないですか。ぼくの感覚だと前者は宇宙論であって、後者は共同体的ってかんじです。た

2015-10-23 22:19:20
unyue @unyue

@ShindyMonkey よくは分からないのですが宇宙論的=主観&共同体的=客観ではなく、寧ろ逆、と云うことでしょうか。世界と個人が対峙するのを客観視し、共同体の中で個々の物差しを以て判断するのは主観的? 絶対価値と相対価値のような… #honyakmonsky

2015-10-23 23:07:56
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue 主観/客観はちょっとややこしいですね。極端に言えば、主観/客観という分け方じたいが「共同体的」だと思います。「宇宙論」は自分と世界しかないので(あるいは世界しかない、自分しかないと言っても同じですが)、中立的な客観とか、第三者的な客観はないので。す

2015-10-23 23:29:57
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

@unyue 宇宙論(という言いかたがいいかわからなくなってきましたが)では、客観という考え方そのものがなく、そういう意味では主観的です。自分と対峙している世界しかない。始原的といってもいいし、現象学的といってもいいけど、よけいにややこしくなりますね。

2015-10-23 23:39:10
unyue @unyue

@ShindyMonkey だんだん分かってきたような… でもそこから物語の解釈に繋げることが出来ません… かなしい… #honyakmonsky

2015-10-23 23:42:15
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

(1)カヴァン『氷』をどう読むかというところからはじまった、「宇宙論の文学」についての説明ですが、もともとの『氷』に即して別な角度からアプローチしてみます。ちょっと話が長くなるかもです。

2015-10-24 08:59:24
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

(2)『氷』の特質を端的に言いあらわしているのは、藤野可織さんが〈早稲田文学〉に寄せた論評「おつかれさまです」です。さわりを引用します。〔徹底的な絶望、徹底的な悲しみ、徹底的な疎外感。際限のない面倒と苦しみ。世界は彼女にそれを与えるために誂えた、オーダーメイド品のようだ。〕

2015-10-24 09:00:15
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

(3)この「オーダーメイド品の世界」を、ぼくは宇宙論だと思うわけです。世界は自分(『氷』に即して言えばヒロインの女性)に先立って存在しているわけではないし、自分も世界がなければ存在しえない。自分と世界は相即的です。

2015-10-24 09:00:42
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey

(4)しかし、自分と世界の関係は調和的・静的なものではなく、焦がれながら到達できず、かといって背を背けて諦めることもできない、延々と輾転反側しつづけしかないものです。

2015-10-24 09:01:00
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