#空想の街 【ハンツピィの宴2015】#天真少年 #魔術師アル #なごみ茶屋 まとめ

春木のん @Haruki_Non

#空想の街 #魔術師アル 【一日目・昼】 時計塔の上に、それはいた。 20cmの小人にも、20mを超える巨人にもなれる魔術師アルは、今は170cmほどのヒトらしい姿をしている。 天真と別れた後の行き先をその場所を選んだのは、ここが街を一望できそうだったからだ。

春木のん @Haruki_Non

しかいアルは特別に目が良いわけではない。見えるよりも、感じられる、という方に近い。 「さて、あれはなんでしょうね」 小瓶に入った #明薄空 は、ただの色では無い。空がそのまま、閉じ込められているようだった。 @hmoegi #色売り #魔術師アル #空想の街

春木のん @Haruki_Non

この街にも魔術師がいるのだろうか。あの小瓶の色は、魔術ではない、別の方法でそれは閉じ込められているのだろうか。 森羅万象への好奇心と探究心から魔術師という道を選んだアルとしては、とても心が惹かれる現象と物体だ。 @hmoegi #色売り #魔術師アル #空想の街

春木のん @Haruki_Non

ロッドを振る。アルの身体は縮んで、形を変えて、どこにでもいるなんの特徴も無いハトになる。両腕を広げて羽ばたくと、小瓶の元へゆっくりと旋回、降下。 街を鳥瞰すると、西側の森に不思議な木の実が成っているのも見えた。実に興味深い。 @hmoegi #色売り #魔術師アル #空想の街

春木のん @Haruki_Non

夜から朝に変わる空を閉じ込めた #明薄空 の小瓶は、降り出した雨の滴に濡れ、一層美しさを増していた。ハトの姿のまま、口ばしで小瓶の蓋を開けると、一口啄ばむ。雨がすこし混じったが、夜が明けてすぐの朝露に近い味がした。 @hmoegi #色売り #魔術師アル #空想の街

春木のん @Haruki_Non

空を飲みこむという初めての体験は、アルを久しぶりに興奮させた。この小瓶の持ち主に会ってみたいと思ったが、この近くにいる気配はないようだ。アルは小瓶に蓋をして元に戻すと、雨雲に向かって飛び立った。時間はある。いずれ会えるだろう。 @hmoegi #色売り #魔術師アル #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

北区の大通り、まだ人は多い。雨だがそれを気にすることなく、虹色の翼で身を守るように実華は長いうわむきの睫毛を伏せた。 「そうだね――、ぼくも子供に会いたいな。何かこう、すかっと実華さんと一緒に遊べるような、笑えるような」けれどこんな夜だ。いるだろうか。 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

北区の大通りまで来た。もう宴はおしまい？まだやってる？ うずうずと不安で、オオカミの尻尾はすっかり丸まってしまった。 誰かに声をかけて聞いてみようかな？ 「あの、すみません！」 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「威勢のいい声がしたぞ洸太郎、聞こえたか！？今のは若いやつの声だきっとそうだ！」突如響いた問いかけに、水を得た魚のようになって実華はそちらを振り返る。「おーおーこんな夜更けに出歩きおって。出会ったのが我々でよかったな」→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

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@Haruki_Non 虹色の羽を飛ばして捲し立てる実華を燐寸の箱で黙らせ、洸太郎は羊の角を振りながら声をかけてきた少年に向き直る。「びっくりさせちゃったね、ごめんね。どうしたの？道に迷っちゃった？」 見慣れぬものに乗っている。尻尾があるようだ。 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

派手な色の翼を持ったお姉さんと、ほんわり優しそうな羊のお兄さんに、俺は宴について聞いた。 「すみません、僕は天真と言います。あの、ハンツピィの宴はまだやってますか？お腹すいちゃって…」二人の前で、腹の虫が悲しく鳴いた。 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

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@Haruki_Non 「何だ何だそうしょぼくれるなよ！敬語も使わんでいい」実華は笑い飛ばすと煙草と燐寸を消して携帯灰皿へ押し込んだ。それを背後で受け取り洸太郎が言う。 「ぼくたちが早く食べちゃっただけなんだよ。宴の本番はね、明日の夜なんだって」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

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@Haruki_Non 「ああっと、おなか減ってるんだね、ちょっと待ってね」洸太郎はしゃがんでトランクを開く。→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

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@Haruki_Non 「はい、今は大福しかないんだけどもいいかな。大丈夫、傷んでないから。雨だし早めにご飯食べるんだよ」洸太郎が少年に大福を渡し、実華も話しかける。 「天真とやら、私は実華だ。連れは私の夫でな――洸太郎という。仲良くしてくれ！」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

「わあ！ありがとうございます！」 洸太郎さんというお兄さんは見た目も中身もすごくイイ人だ。だって大福くれたから！ 「こちらこそ、よろしくお願いします！」 実華さんは豪快？うん。洸太郎さん頑張って！と心の中で応援したくなる。 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

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@Haruki_Non 「併しなァ――天真とやら、街の行事を間違えるということはだ、我々のような旅行者か？まだポムの実も食べていないんだろう」大福を頬張る素直な少年に実華が語り掛ける。視線は尾に釘づけだ。洸太郎は嫌な予感を募らせるが、「失礼！」→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

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@Haruki_Non 間に合わなかった。実華の白い手はむんずと尾を掴んでいる。「実華さん、相手は食べてる最中の子供なんだよ、もう！ごめんね天真くん」 窘められても実華は止まらない。「矢張り作り物ではないのか、面白い！どうだ私の息子にならんか？」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

「ぎぇあああああ！」 尻尾！尻尾掴まれた！じいちゃんにも掴まれたことないのに！もうお婿に……は行ける！全然平気！ 洸太郎さんが謝ったけど、実華さんは息子になれって。マジですか？！ 「僕の尻尾が目当てですか？！」 尻尾は死守！ @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 額のあたりを押さえつつもう片手で少年の頭をさすってやりながら洸太郎は妻に言う。「実華さん、落ち着こう、それだけは、宿が落ち着いてからって相談してたよね。何よりこの子はよその子だよ、帰る場所があるんだよ」 「分かっとるよ」→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

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@Haruki_Non 実華は煙草の消えた息を雨に溶けさせ、少年の肩へ両手を置いた。「悪かったな天真よ。併し可愛らしいなァ、ずっとなでくり回したい！」そこで一旦、実華の声が落ち着く。「…なァ天真よ。お前はこの街が好きか？どうしてここに来るんだ？」 #天真少年 #赤風車 #空想の街

春木のん @Haruki_Non

股からくぐらせたオオカミの尻尾を両手で抱きかかえながら、おそるおそる実華さんの質問に答える。 「この街は好きだよ。どうして来るんだ、って言われたら。来たいから来る、としか言えない。会いたい人たちがいるし、行きたい場所もある」 @nowhere_7 #赤風車 #天真少年 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non どこまでも真直ぐな少年の答えを受け、実華は数秒沈黙する。「――そうか、有難う。行きたいと思える場所があるのはいいことだ、お前さんに思われてこの街もさぞ幸福だろうよ」 その気持ちを大切にな、と実華は、少年の髪を撫で回した。→ #天真少年 #赤風車 #空想の街

不可村天晴／ネプリ配信中 @nowhere_7

@Haruki_Non 「さァて天真よ！ここからは大人の時間だ――尾にしがみつくような子供は早く帰ってゆっくり休め。風邪でもひいたら明日の宴に出られんぞ！」腰に手を当てる実華の長い尾も揺れる。洸太郎はひやひやしながら見ていたが、何とかなりそうだ。 #天真少年 #赤風車 #空想の街