- shiroboshi2
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聳え立つ高層ビル『アタマギ・ツリー』。実際規模の大きな建造物であるが、この建物が一般的なそれとは違うということは、各所に配置された重武装クローンヤクザの存在によってわかるだろう。付近には商業的宣伝文句が書かれたノボリが上がっているが、当然フェイク物である。15 #S57Ninja
2015-10-27 17:54:13物々しいアトモスフィアを漂わせるアタマギ・ツリー、その前広場にヒラリと降り立つ者あり。原色の青を基調とした、マントめいたニンジャ装束。高い鼻から下に装着された、口元を露出させているメンポ。背中には翼めいたオブジェクトのついたジェットパック。16 #S57Ninja
2015-10-27 18:00:16秀麗な顔つきをした、若い男だ。彼は一度背伸びをすると、ツカツカと歩いて行き、アタマギ・ツリー内へと入っていく。その歩き方や振る舞いからは、尊大な自尊心が見て取れる。何度かコマめいてクルクルと回りながら、『従業員用な』と書かれたエレベーターへ。17 #S57Ninja
2015-10-27 18:05:00そして大儀そうに最上階へのボタンを押すと、エレベーター内に設けられた鏡を見始める。恍惚な声で何やら独り言を言っているが、それらは全て自身を賞賛する内容の言葉であった。数分後、エレベーターが最上階に着き、扉が開く。彼は軽やかに扉の外へと躍り出た。18 #S57Ninja
2015-10-27 18:10:44「遅いッ!!」直後、叱責の声が響いた。声の主は、ダークブラウン色のニンジャ装束を身に纏った男だ。男は足音を立てながら青色装束のニンジャに近づき、その胸倉を掴みあげる。「ドーモ、グリブイーグル=サン、ワイズジャガーです!報告から何時間経っておる!」19 #S57Ninja
2015-10-27 18:18:48対して青色装束のニンジャ、グリブイーグルはヘラヘラとしながら答えた。「ドーモ、ワイズジャガー=サン。グリブイーグルです。そうですね、約7時間ほど?」「……イヤーッ!」その細い体を、ワイズジャガーが放り投げた。「イヤーッ!」グリブイーグルは軽やかに着地!20 #S57Ninja
2015-10-27 18:22:40「昨夜はいつも以上にオイランを抱くことになったんですよ。いやはや、顔が良いというのも困ったものだ」肩を竦めて笑うグリブイーグル。そのまま彼は廊下を進みだす。ワイズジャガーは肩を怒らせながら、その後に続く。やがて彼らは、最奥の部屋の前へと辿り着いた。21 #S57Ninja
2015-10-27 18:29:43只ならぬアトモスフィアを漂わせるカーボンナノフスマ。グリブイーグルはそれを開け、室内へ。ワイズジャガーもそれに続く。タタミ数百畳ほどはある広大な部屋。その奥、戦略チャブが置かれた場に座する強大なるニンジャ存在。軽薄なグリブイーグルでも、身を強張らせる。22 #S57Ninja
2015-10-27 18:41:41「「ドーモ、ロブストボア=サン」」二人は片膝をつき両手を前にしてアイサツ。ロブストボアと呼ばれた大柄なニンジャは「ドーモ」とだけ返す。なんたる横柄なアイサツ!だがそれは、この恐るべきアマクダリ・アクシスの強大さを示している。「それで。件の野良ニンジャだが」23 #S57Ninja
2015-10-27 18:46:41身長九フィートほどはある巨軀と、バイオアナコンダの胴体めいた剛腕を持つ、この恐るべきニンジャ・ロブストボアの声が室内に響く。数十人の待機ニンジャ達はみな身を強張らせている。「ハイ、その野良ニンジャですが」ただ一人、ワイズジャガーを除いて。彼は前に進み出る。24 #S57Ninja
2015-10-27 18:53:20「グリブイーグル=サンの報告による外見情報……茶髪、小柄、少女……などから、ある程度推察することができました」彼は言い、アマクダリ・セクトのネットワークへとアクセスし始める。ロブストボアはその様子を無言で凝視していた。25 #S57Ninja
2015-10-27 18:59:12その時、「……ああ、私はこの両目をサイバネ・アイにしていなかったことを後悔しました。記憶媒体に彼女のカワイイを保存できなかったことを!とても可憐な少女でありました!」それまで無言だったグリブイーグルが、意気揚々と言葉を連ねた。ワイズジャガーは彼を睨む。26 #S57Ninja
2015-10-27 19:06:08