職業としての「専業主婦」
- mtcedar1972
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昨日、仙波千枝さんという方の『良妻賢母の世界』を買ってきた。この本は雑誌の投稿記事なども利用し、明治時代の女性像を描こうとする意欲作。書誌的に篤学な姿勢も好感が持てる。かつて家政学が家政学であった頃、専業主婦は永久就職という文字通りの意味で、専門職であり、職業であったと言えよう。
2011-01-14 09:41:59なぜ、バッシングをくらいそうな、こんなことを呟くかといえば、柏木さんの『子どもが育つ条件』で紹介されていた、専業主婦こそが育児不安を持っている、という現象に興味を持っているからである。
2011-01-14 09:46:11戦後、短大で文学を勉強するなどが花嫁修業のように見做されたこともあったが、戦前であれば、そんなものは認められなかっただろう。元々の良妻賢母教育は徹底した実学であり、そういう意味では職業的レリバンスにあふれていたのである。
2011-01-14 09:49:05こういうようなことを見逃して、家庭と職業(ないし社会参加)、などの二(三)分法で近代女性史を見るのは、あんまり意味がないのではないか、と個人的には思う。かつての花嫁修業は結婚前の女性を遊ばせることでは決してなかったのである。
2011-01-14 09:52:07専門職となる訓練を受けずに、プロ意識を求められるのだから、専業主婦に新しくなる人が不安を覚えるのは当然だという気がしてきた。あまりに労問研的な捉え方だろうか。
2011-01-14 14:22:38専業主婦が本当の意味で職業だったのは60年代くらいまでじゃないか。そのルートは各種学校の他に、いわゆる女中があった。高度成長と進学率の上昇は女中というルートを枯渇させ、同時期に技術革新が急速に熟練の陳腐化を促進した。すなわち家電である。皮肉なことに専業主婦は70年代に最大になる。
2011-01-14 14:41:08私が幼い頃は、家に結婚前の若いお嬢さん達が通ってきていた。祖父が教育者且つ書家であり、教え子やお弟子さんが大勢出入りする家であったためである。武家の出である祖母のところに、家事その他を教わりに来て、私の遊び相手もしてくれた。私自身が教材でもあったのだ。
2011-01-14 14:51:45あ、ありがとうございます。頑張ります。“@sacumi: 期待しています。楽しみに待ちます。.ryojikaneko: まあこのあたりの話を軸に、そのうちにブログエントリ、書くかいのう。”
2011-01-14 14:52:35実は男も書生さんという道がありました。うちの父方の祖母の実家は何人か書生さんを置いていて、その中から曾祖父と同じ会社の社長が出たと聞いたような気がします。“@sacumi: 私が幼い頃は、家に結婚前の若いお嬢さん達が通ってきていた。
2011-01-14 15:00:15承前 多分、書生さんを本格的に支援していたのは紀州濱口家である。お醤油屋さんである。他にも例はあるだろうが、まわりにヤマサをやってる人がいたもので。
2011-01-14 15:07:21作家や大学の先生もそうでしたね。時代がさらに遡るけれど「木曜会」もそういった流れですよね。.@ryojikaneko: 実は男も書生さんという道がありました。うちの父方の祖母の実家は何人か書生さんを置いていて、その中から曾祖父と同じ会社の社長が出たと聞いたような気がします
2011-01-14 19:17:07一昔前までは社会の至る所にあったと思いますが、将棋とか落語とか弟子制のところでさえ住込みがなくなりましたね“@sacumi: 作家や大学の先生もそうでしたね。時代がさらに遡るけれど「木曜会」もそういった流れですよね。.ryojikaneko: 男も書生さんという道がありました。
2011-01-15 00:16:20自分の専門に近い(隣接も含めてね)研究を読むとき、そのよしあしの基準は勘という他ない。自分なりに読んだ資料や同時代の文献から感じた自分なりの感覚とあまり離れていないことが重要な最初の基準である。
2011-01-16 10:15:11承前 第一に、研究史に引きずられているものはあまり信用しない。そのまま、それを継承しているだけのものや、ただ裏返そうとしているものなど。
2011-01-16 10:17:12仙波さんの本がもし5年前に出ていて、私が博論を書きながら読むことが出来たら、不十分であった福利厚生の部分を別の形で書くことが出来たかもしれない。というか、書き直せよ、という話だが。
2011-01-16 10:22:19明治期には欧化思想と、そこに三宅雪嶺らの日本主義が加わって、明治中ごろには独特の和洋折衷の改良思想が出てくる。仙波さんは女子教育の根底にあるこの流れをしっかり捉えていて、実は地方改良運動とも通底している。このことは日本の教育史を考える上でも重要な論点かもしれないという気がする。
2011-01-16 10:25:29仙波さんの本で面白いのは、裁縫やら何やらの教育はいざとなったら女一人で生計を立てていくための手段なんだという指摘。ものすごい重要。結構、年上の男性に嫁ぐことが多かった昔の女性にとって、離婚せずとも若くして配偶者を失うリスクは高かったと考えれば、当然の自衛策。
2011-01-16 10:35:47あ、他にも労災などで配偶者が仕事が出来なくなるなんてこともあっただろう。何せ、職工(職人)は指一本ないくらいが一人前などと、まことしやかに言われた時代であったのだから。
2011-01-16 10:37:36@ryojikaneko そう言えば、昔は裁縫とか料理とかの教室が其処彼処にあった様ですよね。あるいは裁縫から服の仕立てや修理をやったり、小料理屋を開いたり、それなりに技能が活かせた>裁縫やら何やらの教育はいざとなったら女一人で生計を立てていくための手段
2011-01-16 10:47:42そうなんですよ。多分、昔は習い事も再生産されてたんでしょうが、今はレジャーですね。“@mtcedar1972: ryojikaneko 昔は裁縫とか料理とかの教室が其処彼処にあった様ですよね。あるいは裁縫から服の仕立てや修理をやったり、小料理屋を開いたり、それなりに技能が活かせた
2011-01-16 10:53:22@ryojikaneko 習い事が、一種のメディアコンテンツみたいになってますからね。NHKの「きょうの料理」とか>昔は習い事も再生産されてたんでしょうが、今はレジャーですね
2011-01-16 11:19:17気付かなかったですが、それは大きかったかもしれませんね。テレビは大きいなあ。麻婆豆腐の拡がり方を考えても。“@mtcedar1972: ryojikaneko 習い事が、一種のメディアコンテンツみたいになってますからね。NHKの「きょうの料理」とか
2011-01-16 11:24:15