榊一郎先生の分量調節論 2011/1/14

TRPGのシナリオを作るときに、無駄に細かい背景を考えてしまったりとかします。大抵、プレイ時間が長くなり過ぎて絶望しますw
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榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

以前、返答し忘れていた分量調節の話。ちと仕事しつつのツイートなので、反応とスピードがとことん鈍いと思いますが勘弁 #sousaku

2011-01-14 22:09:49
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

大抵の新人賞には分量の制限が在る訳で。下は250~上は350位かな?(四百字詰め原稿用紙で) 少なくとも私が富士見書房の新人賞に応募した当時はこの枚数だったはず。 #sousaku

2011-01-14 22:12:00
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれですが、私や私の周りには「250枚? 少なすぎるよ!」と悲鳴を上げる人が多いです。ちなみに私も確か応募作は350ぎりぎりだった記憶が。 #sousaku

2011-01-14 22:13:11
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

ただ、これも文章パターンや作風によるので一概に「多く書くから上手い」とも言い切れず。ともあれ、新人賞に応募する人が困るのは、「書き上げたはいいけれど、規定枚数範囲内に収まらない」場合。 #sousaku

2011-01-14 22:15:20
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

ここで何故か、「シーンを削る」という発想になる人が多いみたいなんですが、例えば380枚になっちゃった場合、あるいは220枚になっちゃった場合。改めて考えると対処方は「一割減らす」「一割増やす」だけなんですよね、実際は。 #sousaku

2011-01-14 22:18:01
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

要するに十行書く間に一行増やす、あるいは減らす、それだけの事である筈なんですよ、実際には。なのでよくよく自分で読み返してみると、句読点の位置、単語の使い方、言い回し、そういったものを調整するだけで十行に一行位は減らす、増やす、事は可能な事が多いです。 #sousaku

2011-01-14 22:19:34
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それこそ、こればっかりはツイッターで例を出すわけにいきませんが(表示の問題上)――ともあれ、減らす場合は特に、「文章の贅肉を削り落とす」作業にもなる。私も覚えが在りますが、ついつい、悩んで書いた文章は愛おしくて一文字も削りたくなくなるんですが、 #sousaku

2011-01-14 22:21:21
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それで物語全体が規定の「器」に収まらないならば、本末転倒です。あくまで小説は(というか商業小説は)商品なので、一定の基準に収まらなければならず、当然、商業小説家の発掘を目的にしている新人賞は、「基準に合わせられない人は求めていない」。 #sousaku

2011-01-14 22:22:47
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むしろそうなると、指先を活かす為に全体が死ぬに任せる、みたいな事になっちゃう訳で。やはりここは涙を呑んで切る訳ですが、この場合に、2~3日時間を空けるのは有効な手段です。落ち着いて、他人の文章のように(自分の文章の愛着を若干、忘れた状態で)見る事が出来る。 #sousaku

2011-01-14 22:25:01
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

ついでに言うと、ハリウッド映画の多くは最終的に編集権は監督ではなくプロデューサーが持っている事が多いらしく(ディレクターズ・カット版なんてのが後から出るのがその証拠)、その事が「一般に広く受け入れやすいエンタメ性を確保している」という説を読んだ事がありますが #sousaku

2011-01-14 22:28:09
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

これはどういう事かというと、ついつい、実際にその映画を撮った監督は、苦労した部分や、悩んで作った部分について、残そう、残そうとするんですが、その結果として、必要以上の場面を詰め込み、展開が鈍くなる事があるそうで。 #sousaku

2011-01-14 22:29:13
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ぶっちゃけ、これは私も自主製作映画やってたので、感覚として分かります。でも見る側にとっちゃ、そんな作り手側の愛着なんて関係無い。あくまで「スムーズに、楽しく、見れるかどうか」で、映画を提供する側はその為に必要なもの、不要なもの、をより分けねばならない。 #sousaku

2011-01-14 22:30:28
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故にこそ、監督ではなく、冷静な(冷徹な)第三者の視点をもったプロデューサーに編集させて、監督に愛着が在ろうが無かろうがばっさり切って公開する、という方法をとるそうで。これは客観的なエンタメ性を担保するシステムな訳ですな。 #sousaku

2011-01-14 22:31:32
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ともあれ、大抵の場合に創作物は「削り落とす」事でよりテーマやコンセプトが明確になる為、愛着を一端脇に置いて、贅肉を削ぐ事を覚えるというのは、作品の完成度を高める上でも必要な事と思います。 #sousaku

2011-01-14 22:32:51
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

逆に――「なんだか規定枚数に達しない」場合。ぶっちゃけ、出版社の提示する250~350枚というのは根拠の無い数字ではなく、出版社の設定した価格の中で出版可能で、効率の良い枚数であるという事に加えて、 #sousaku

2011-01-14 22:36:21
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「大抵の作家が一本長編を書くには最低でもこれ位は枚数が要る」「というかこれ以下だと読者が『一本小説を読んだ』という満足感を感じられない」という、統計的な判断で設定されている訳で。 #sousaku

2011-01-14 22:36:28
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逆に言えば、それに足らないという事は、総合的に見て、『文章が簡素すぎる』『展開が単純過ぎる』『書くべき要素を書き落としている』可能性が在る、と。あくまで可能性で、絶対とは言えませんが。 #sousaku

2011-01-14 22:39:10
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となると、最初に考えるべきは「必要充分な描写をしているか?」です。展開はいたずらに複雑にするとむしろ、作品のポテンシャルを下げる恐れも多々あるので、最初に検討すべきはそこ。第三者の視点になってみて、この情報提示で、場面が思い浮かぶかどうか、検討します。 #sousaku

2011-01-14 22:43:45
榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

前にも書いたと思いますが、例えば「犬が居た」と書くのは単純で四文字で終わりますが。この一文で読者の頭の中に描かれるのは、千差万別、チワワからドーベルマンまで様々、なので「犬種」を書いたり、「色」「大きさ」「雰囲気」とかを添えて描写する。 #sousaku

2011-01-14 22:45:10
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自分の頭の中の映像の構成要素を、「単語」という部品に分解して、相手に一つずつ渡していって、過不足無く相手の頭の中に同じものが組み上がるかどうか。渡し忘れている単語が無いか。そういう検証が先ず最初。 #sousaku

2011-01-14 22:46:36
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構成はもっと後の段階で足し引き出来るので、まあ、「いつも分量が規定に足りない」人はそういう部分からちと見直してみると良いかも。「たまたま今回だけ足りない」場合は、展開が単純過ぎる可能性が在るでしょうが。 #sousaku

2011-01-14 22:48:42
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その上で、更に、「改行」を制御する事。夢枕獏先生とかが顕著ですが、改行の制御だけで芸になるというか、改行によって文章密度に緩急をつける方法があります。「殴った。(改行)殴った。(改行)殴った。(改行)更に殴った」とかよくネタになってるアレ。 #sousaku

2011-01-14 22:53:02
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ただ「殴った」という一語を、改行しつつ、淡々と書き連ねる事で、「殴っている男の、無我の境地的な、無心に、機械的に、その動作を繰り返す雰囲気が演出できる」と。特にライトノベルは、一般文藝の文章に比べてこの改行制御を強調する人が多いので、ちと心掛けると良いかも。 #sousaku

2011-01-14 22:55:13
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ともあれ、文章量というのは幾つもの要素の連なりで決定されるので、注意深く、そして親ばか的な文章への愛着を一端脇に置いて読み直すと、調整する余地は恐らく沢山あります。そして調整した方が読みやすい事が多い(大なり小なり、書き上げた直後は興奮していて客観性に欠ける) #sousaku

2011-01-14 22:57:49
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なので、文章について、「どうしても多くなってしまう」「どうしても少なくなってしまう」という人は、こういう細かな部分での客観性を何処かで確保すれば、全体の一割くらいは普通に削ったり増やしたりできますよ、という話 #sousaku

2011-01-14 22:59:05