無花果と11日の呪いⅠ

GC0_MOBのRPをまとめたものです。 オープニング~1日目まで。 グランクレスト大戦本編の番外編のようなもの。 本編カッツェのオプション、副官君と彼が拾った泥棒犬フィグの物語。
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ノア@パ君SGO@返信遅くなります @okurikedama

甲高い怒鳴り声がだんだん大きくなって、声の主がこちらに走ってくる。 その姿を見た時、気難しそうなおじいさんを想像していたボクは拍子抜けしてしまった。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:23:44
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走ってきたのは、腰に剣を提げ、軽鎧を身に着けたロードらしき……ウサギだったのだ。 そのウサギはボクと同じくらいの背丈があって二足歩行だったけど、恐怖は感じなかった。むしろ可愛い。 ……どうしよう、犬とウサギに挟まれた。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:24:48
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放心しているうちに、ウサギロードはボクたちの目の前までやってきてしまった。 「全く、犬の癖に、儂の大切な食糧を盗むなど。お前さん、人参を食べるわけではなかろうに」 ウサギロードは犬の前にしゃがみ込むと、その口から布袋を奪い取る。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:28:07
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「ひい、ふう、みい……うむ、食ってはおらぬようじゃの。助かった。この人参は儂の愛弟子の魔法師のものじゃ、食われていたらどうしてやろうかと思ったが」 ……袋の中身を確認しているところを覗き見たら、その袋には人参しか入っていなかった。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:30:20
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ロードはひとつ頷き、ボクの顔を見た。ウサギの顔と目が合う。 「……あの、ボクは」 「うむ、お前さんはこの犬の飼い主じゃの?ダメではないか、きちんとしつけをせねば」 「……へ?」 「わうっ?」 思わぬ言葉に、ボクと犬の両方から変な声が漏れた。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:35:08
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「全く、最近の人間は動物の言葉も分からんのか。儂の愛弟子とは大違いじゃ。お前さんのように犬と意思疎通もできぬ者が犬を飼おうとするから、このようなことが起こるのじゃ。情けない」 「……あの、ボク……」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:45:04
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ボクは何度もこの犬の飼い主ではないことを伝えようとしたけど、ことごとく言葉を遮られてしまった。 犬は何とかこの状況から逃れようとしていたけど、ボクとウサギロードに囲まれていてはどうしようもなかった。 ウサギロードが、犬に手?を伸ばした。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:46:09
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「まあ、きちんと捕まえてくれたお前さんに免じて、この犬には呪いをかけるくらいで許してやろう」 「わふっ!?」 「の、呪い!?あの、ウサギさん、ボクは……」 「心配せずとも、苦しむような呪いではない。しつけの手助けをしてやるだけじゃ」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:47:24
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ウサギロードが、犬の額に手を当てる。 次の瞬間、空気が揺れた……ような気がした。 犬の身体からふっと力が抜けたのが分かった。犬はそのまま、ボクのほうに倒れ込む。 「ちょ、ちょっと!?」 「心配するでない。そのうち目が覚める」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:49:22
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「呪いはこの大戦が終わる頃には自然に解けるじゃろう。犬と仲良くな」 ウサギロードはそう言い残すと、ボクらに背を向けて去って行ってしまった。 ……何だったんだろう。 とにかく、このままここに犬を置いていくわけにもいかない。 ボクは犬を抱え、虎さんを追った。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 21:54:17

残り11日・前半

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【戦闘/戦功6】フィグ@条約は遊撃部隊として、戦場の中を華々しく駆け巡る。HP-5、SP+7。次の診断を行なうまでにあなたが誰かを支援した場合、1回だけその相手のHPとSPを+5してもよい。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #GC0_MOB

2015-11-01 22:44:05
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「虎さーん……うーん、やっぱりどこかの戦場に行っちゃったかなあ」 そんな声で目が覚めた。 やたらと騒がしいな。ここどこ? 確か僕は曲がり角で誰かにぶつかって、ウサギに追いつかれて、それから。 ところで、僕誰かに抱っこされてない? #無花果と11日の呪い

2015-11-01 22:50:35
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「ねえ、キミ誰?抱っこされるほど親しいとは思えないんだけど、離してくれない?」 僕を抱いている誰かに向かってそう言った。どうせ通じないんだけどね。 ……普段なら、そのはずだ。 「わあっ!?い、犬が喋ったああ!」 そんな叫び声の後、僕は放り投げられた。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 22:53:24
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「痛っ!!」 派手に頭をぶつけた。くらくらする。ねえ、ちょっとどういうこと?なんで僕が放り投げられなきゃいけないのさ。僕、食べ物を盗る以外になにか悪いことした? 「何なのさ!もっと丁重に扱って!」 「い、犬が!犬が……!」 もう、こんなことするのは誰だ? #無花果と11日の呪い

2015-11-01 22:59:05
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くらくらがおさまってきた。視界がはっきりする。 目の前にいた、僕を放り投げた犯人は……あれ?おかしいな。 目をこすって……うん。どう見てもさっきの人間だ。 でもさっき、この人間は犬の言葉を喋ったよね? 「……なに、これぇ」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:01:28
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目の前の人間は暫く犬が喋ったと喚いていたが、はっと我に返ったように落ち着いた。 「……あ、よく考えたら虎さんも喋るよね?なんだ、ライカンスロープの人か。びっくりしたあ……」 相手が落ち着いたので、勇気を出して話しかけてみることにする。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:04:11
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「ねえ、そこの人。何を1人でぶつぶつ言ってるの?というか、なんでキミは犬の言葉を喋るの?キミ実は犬なの?」 「え?」 人間はきょとんとした顔になる。 「何って、貴方はライカンスロープでしょう?犬の言葉というより、人間の言葉だよね」 「……うん?」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:08:34
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なぜか、周りに居た人間たちがざわざわし始めた。僕と目の前の人間を指差して、ひそひそ話している者もいる。 目の前の人間は、困惑した顔で彼らの話を聞いていた。そして一言、信じられないことを言った。 「……ボクたちだけ、人間と犬の間で言葉が通じてるみたいだ」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:13:03
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「……」 「……」 お互いに顔を見合わせる。 「……なんで?」 「ボクにも分かんないよ。でも貴方を追いかけてたウサギの人が呪いとか、大戦が終わったら解けるとか言ってたような……」 ああ、あのウサギ、そんなこと言ってたような言ってなかったような。 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:38:18
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ああもう、こんな面倒なことになるならあのウサギに絡むんじゃなかった。 「ねえ、本当にライカンスロープじゃないの?」 人間が不安そうに聞いてくる。 「らいかん?獣に変身する変な人間たちのこと?違うよ、僕は本当に犬だよ。だから困ってるの!」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:41:42
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「……困るの?言葉が通じるのはボクだけでしょ?ボク、貴方が何を喋ってたとか言わないよ」 人間はおずおずと話しかける。はあ。 「……キミ、あの酒場によく来てるでしょ」 「え、条約酒場のこと?虎さんたちに連れられて、たまに」 「だから困るの。こっちの事情で」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:51:26
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僕が食糧確保の拠点にしてる酒場に犬の言葉が分かるやつがいるなんて、やりづらくて仕方ないじゃないか。しかも、よりによってこんな純粋そうな人間。冗談じゃない。 「……事情?」 「詳しくは言えないけど、僕が食べていくのに邪魔なの!」 #無花果と11日の呪い

2015-11-01 23:54:45
ノア@パ君SGO@返信遅くなります @okurikedama

「……ごめんね」 ちょっと強く言うと、人間は項垂れた。弱気なやつ。 「ごめんねじゃないよ。生死にかかわるんだから!」 「……ごめん。あの、もし貴方にとって邪魔でないなら、ボクが食べ物をあげるよ?ぶつかっちゃったのはボクだし、部屋も貸してあげるから……」 #無花果と11日の呪い

2015-11-02 00:10:44
ノア@パ君SGO@返信遅くなります @okurikedama

ぴくり。今なんて言った? 「……キミが食べ物をくれるって?」 「う、うん。もし外で暮らしているなら、部屋も貸してあげるし……」 「ふうーーーん?」 にやり。これはいい人間を拾ったかも。 「じゃあ、キミは僕が呪いをかけられた責任を取ってくれるんだね?」 #無花果と11日の呪い

2015-11-02 00:13:30