無花果と11日の呪いⅠ

ノア＠パ君SGO＠返信遅くなります @okurikedama

「う、うん。ボクにできることならしてあげるよ」 前言撤回。弱気な人間万歳。 「よし、じゃあそれでいいよ。毎日僕に食べ物と温かい寝床を頂戴？それで許してあげるから」 「……ありがとう、犬さん」 「犬さん？僕はフィグだよ。ちゃんとフィグって呼んで」 ＃無花果と11日の呪い

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「わ、わかった。じゃあよろしくね、フィグ君……」 「僕は女の子だよ！もう、雄雌の見分けもつかないの！？フィグでいいから、ちゃんと女の子として見てよ！」 「わっ、ご、ごめんねフィグ。ボクは皆から副官って呼ばれてる。フィグもそう呼んでいいよ」 「……変な名前」 ＃無花果と11日の呪い

ノア＠パ君SGO＠返信遅くなります @okurikedama

こうして僕らは、呪いが解けるまでおかしな関係を続けることになった。 最初は面倒だと思ったけど、食事と寝床がもらえるなら大歓迎だ。なんて素敵な生活。なんて素敵な呪い。 呪いが解けるまで存分この「副官」に甘えて、使い倒してやろう。 ＃無花果と11日の呪い

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「えへへ、ところで副官お兄ちゃん、今日のご飯は何かなあ？」 「お、お兄ちゃん……？」 「僕知ってるよ、人間の男の人って女の子にお兄ちゃんって呼ばれたいんでしょ？」 「そ、それは偏見だよ！それに犬が妹になってもボクは困るよ……」 「……ちぇー」 ＃無花果と11日の呪い

ヴェーダ@条約邪紋 @0202ninikoko

【戦闘／戦功８】セズィ@条約の前でにらみ合い一触即発の三勢力。ＨＰ－１０、ＳＰ＋１１。この診断結果は特別に、他の勢力からの支援を受けられる。その場合交渉で流血を回避し、ＨＰ－５、ＳＰ＋１０に変更。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #GC0_MOB

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@0202ninikoko 「ちょっとごはんは待って…」 「わんわんわん！」 「ごめん、ちょっとだけ…」 両手でふわふわした犬を抱えた幼い少年が、てとてとと小走りしている。そんな様子が視界の端に移り、場の空気が少し和んだ……のだろうか？ （支援します、HPSP＋5もどうぞ！）

ヴェーダ@条約邪紋 @0202ninikoko

@okurikedama （…こども？）戦場には似合わない会話。少年の腕に抱かれたフワフワの毛並みの犬の鳴き声を聞きつけて数名の兵士がそちらを見て、そして微笑んだ。 「…って、何処の子だよ。こんな所に出てきたらあぶねぇだろ？」そう告げるも、緩んだ口元は隠せない。 →

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「そうだ、虎さん探さなきゃ。ちょっと待ってて？」 「えー？戦場なんて僕、行きたくないよ」 「ごめんね、美味しいごはんあげるから……」 その日、犬を抱えたショタが通過したことにより戦場が和んだという。 1日目前半 戦功6／HP92／SP7 小心者の副官 ＃無花果と11日の呪い

ヴェーダ@条約邪紋 @0202ninikoko

@okurikedama 「こんな子が居るところで戦いの血を流させる訳にはいかねーか。誰か休戦の伝令を出せ」そう告げてから少年に笑った。「もう少ししたら飯にも出来ると思うぜ？」 支援有難うございます！助かります！！

ノア＠パ君SGO＠返信遅くなります @okurikedama

@0202ninikoko 「あ……ごめんなさい、お邪魔しました。もうフィグ、笑われちゃったじゃないか」 少年は犬を抱えたまま頭を下げると、いそいそとその場を去っていった。 いえいえー！

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【戦闘／戦功５】フィグ＠条約は遊撃部隊として戦場に赴く。ＨＰ－３、ＳＰ＋５。次の診断を行なうまでに、他のプレイヤー１人が【戦闘】の診断結果から受けるダメージを０にしてもよい。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #GC0_MOB 2連続遊撃部隊である。

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「虎さんって誰、どこにいるのさ」 戦場をうろうろと歩き回ること小一時間。激しく戦闘が行われている場所は避け、隠れるように安全な場所を移動しながら、僕らは小高い丘にやってきた。 ……ごはんの時間はまだかなあ。お兄ちゃん、キミのせいで僕おなかすいてるんだけど。 ＃無花果と11日の呪い

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「虎さんは、ボクたちのリーダーみたいな人だよ。女の人。傭兵で、邪紋使いさんや女騎士さんと一緒に戦場を回ってるんだ」 お兄ちゃんがそう言って、ふうと息を吐いた。適当な岩に腰を下ろす。 「虎に変身するライカンスロープなんだ。ちょっと怖いけど、格好いいんだよ」 ＃無花果と11日の呪い

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「トラ？お兄ちゃん、そんなのと一緒にいるの？やだなあ、僕食べられそう」 僕がそう言うと、お兄ちゃんは慌てて否定する。 「た、食べられないよ！虎さんは強いけど、とても優しい人なんだから。ライカンスロープで、本当の野生の虎じゃないし。でも……」 ＃無花果と11日の呪い

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「でも？」 見上げると、お兄ちゃんの顔がちょっと曇っていた。 「……最近ちょっと元気がないんだ。多分、ボクのせいで」 「何それ。悪口でも言ったの？」 「違うよ！そんなこと……っ」 語尾が震えた。少しの間の後、僕の頭に小さな滴が落ちてきた。 ＃無花果と11日の呪い

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それがお兄ちゃんが流した涙だってことくらい、犬の僕にもすぐ分かった。 「ちょっとちょっと、何で泣くのさ。僕何も言ってないでしょ！？」 「ごめん……」 「もう、泣き虫だなあ……キミ雄でしょ？しっかりしなよ」 「……うん……ごめん」 ＃無花果と11日の呪い

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話している間に相手が、しかも人間が泣き出すなんて初めてだ。どうしていいか分からなくてちょっと迷った。迷った末に、僕はお兄ちゃんの膝に飛び乗ることにした。僕は膝に収まるほど小さくないけど。 飛び乗った瞬間、お兄ちゃんがうっと声を漏らした。ちょっと重かったか。 ＃無花果と11日の呪い

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「フィグ……慰めてくれてるの？」 「別にぃ。たまに猫が人の膝に乗ってるから真似しただけ」 「……ありがとう」 小さな手が、僕の背中を撫でる。くすぐったい。 「何があったのさ。本当に悪口言ったの？」 「……悪口じゃ、ないんだけど」 お兄ちゃんが涙を拭った。 ＃無花果と11日の呪い

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「……ボク、こんな大きな戦争なんて初めて見るんだ。家を飛び出して、女騎士さんに拾われて、虎さんの傭兵団で副官なんて呼ばれてるけど、人がたくさん死ぬところなんて見るのは初めてで。きっと、虎さんたちはそんな場面は今まで沢山見てきて、割り切っちゃってると思う」 ＃無花果と11日の呪い

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お兄ちゃんの声は暗い。 「……この前、傷ついた兵士さんたちが沢山いる療養施設に行った。薬が足りなくて、もう助からない人たちばかりだった。でも、ボクは皆が死んじゃうのが嫌で、怖くて……死んじゃいやだ、って泣いちゃって……」 ＃無花果と11日の呪い

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「虎さんは、そんなボクに無駄だって言って。仕方ないことだから諦めろって。戦争は、傭兵はそういうものだって。すごく厳しい顔だった」 「……」 「それから、虎さんは元気がないというか……様子がおかしかった。そのまま戦場に出て……ドラゴンに……」 ＃無花果と11日の呪い

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「虎さん、大怪我してるのに今日も戦場に出て行っちゃった。ボク、すぐにでも虎さんに謝らなきゃいけないんだ」 お兄ちゃんはそう言うと、膝から僕をずらして立ち上がった。もうすぐ夕方だというのに、どうしても「虎さん」を見つけたいらしい。 「……面倒だなあ、人間は」 ＃無花果と11日の呪い

ノア＠パ君SGO＠返信遅くなります @okurikedama

面倒になった、を前言撤回して便利な人間を見つけたって言ったけど、また取り消さなきゃいけないかもしれない。 ……でも、なんだか。「放っておけない」って思ってしまった。 お兄ちゃんは人間にしては小さいし、弱そうだ。まだ子供なんだ。 勿論僕も大人ではないけど。 ＃無花果と11日の呪い