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philosophyszk
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ええと、多分アウン・サン・スー・チー氏の独裁については、多分所謂『反阿部派リベラル』な人にも『反サヨク右派保守』な人にも誤解がありそうなので、私の足りない知識と出来る範囲の説明でちょっと述べるね。
2015-11-11 14:01:44
承前。これは私の政治的立場を示すための発言ではなく、あくまで政治史と近現代史ベースの知識とそれに対する知見だと思ってね
2015-11-11 14:02:53
スー・チー氏の事実上の独裁宣言が今後どのような形になるかは国際政治の成り行きを見るしかないわけだけど、似たような前例は第二次大戦以降の近現代史では頻出する政体でね。聞いた事がある人も多いとは思うんだけど、開発独裁という政体に近いものになるんじゃないかな、と見てます。私個人はね
2015-11-11 14:07:50
開発独裁という政治形態がなぜ生まれ、求められるかは基本的に強力な中央集権によるトップダウンによるドラスティックな経済成長や制度改革を目指す場合が多いです。これは権力分散によるリソースの奪い合いや利権調整による政治運営停滞を払拭する効果があるとされています。
2015-11-11 14:12:33
歴史上で似たような変化が見られるのは近代前後に、地方領主の統治権と国王の宗主権がぶつかっていた封建制度が国王に集約される絶対王政が近いかと思います。
2015-11-11 14:16:45
王権(血筋)と独裁(何らかの選出プロセス)という違いはありますが、絶対権力を集約することで国家運営を一つの意志の方向性に統一しようとする政治的構造ですね
2015-11-11 14:17:17
ここで注目すべきなのは絶対王政による中央集権が起こった国と開発独裁による中央集権が起こった国を比べてみると、に先進国と二次大戦後に独立などをした元植民地にほぼ分類出来ます。
2015-11-11 14:24:15
近世から近代におけて植民地であり、先進国に対する独立運動プロセスを経た国ではなく、二次大戦後の植民地を多く持った国の国力低下により独立したケースが多く当てはまります。
2015-11-11 14:31:31
先進国や独立運動を経た国が辿った絶対王政や本国支配から民衆へ権力移譲が行われ、その過程で教育や民権意識が醸成されたという変化を経験していない地域や国では無い場合が多いわけです。
2015-11-11 14:32:36
政治体系と社会制度というのは、どちらかだけを先に進める(あるいは回帰する!)のは難しい、というのは歴史を振り返れば分かると思います。普通選挙社会はそれを維持運営する社会的基盤や教育制度、市民意識が必要です。例えば平安時代に普通選挙社会を持ち込んで運用するのは厳しいと思います
2015-11-11 14:33:14
ピラミッド立てて代議制採用して専門化経済でも立てない限りは古代にその時代を無視した政体が採用出来ないようなもんだと思ってください(Civ脳)
2015-11-11 14:33:29
急に政治体制と民衆意識が変革しないというのは市民革命によって絶対王政を倒したフランス国民がその後ナポレオンを皇帝に戴き、それを排斥し、という過程を経た前例が典型例じゃないでしょうか。
2015-11-11 14:33:45
故に軍事政権が終わったから、即座に民主制議会制度が十全に機能する体制に移行するというよりは、それを打倒した勢力が権力の座について独裁体制に移行するというのは皮肉ではありますが割りと不思議では無い事なのかな、と
2015-11-11 14:35:28
ただまあ、政治的経緯や経済状況が違う本邦とミャンマーを比べて「阿部は独裁者だ」「スー・チーも独裁してるよ」とか言い合ってもそもそも両国の社会基盤が違うのでかみ合わない議論になりますよ、と。そういうことです
2015-11-11 14:39:09
自分でも思ったより長文になったけど、まーこんな感じで。他国を引き合いに出して自国の何かを正当化したり、他の思想や立場を持った人を攻撃する材料に使おうとしても結構な確率で滑稽なので気をつけようねという話でした
2015-11-11 14:40:43
.@kusanagikanon 実際問題、開発独裁は既存利権を無視して大鉈を振るえるという改革上の利点はあるのです。それで経済成長を遂げた例もあります。ただ、それが個人の資質とバランス感覚に委ねられるというのが同時に危ういわけですな
2015-11-11 14:54:30
現実に対して創作を引用するのもどうかと思うけど「カイザー・ラインハルトが名君 であるからこそ、 民主共和制の最大の敵なんだ」というヤン・ウェンリーの言が個人の資質による善政の利点と欠点を同時に言い表してる
2015-11-11 14:57:31