“マカロニウエスタン生誕50周年”『荒野の用心棒』雑学コラム「マカロニ・マシンガンは弾切れしないんだぜ。」蔵臼 金助
- klaus_kinske
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彼にけしかけられて、セルジオ・レオーネは翌日、その三船敏郎主演の日本の時代劇を妻と観に行きます。 pic.twitter.com/ooFdpdFgXl
2015-11-23 00:47:49映画を観終えて興奮状態になった彼は、友人たち(映画監督のセルジオ・コルブッチ、同じく脚本家で後に監督となるドゥッチオ・テッサリ、脚本家のセルジオ・ドナーティ、カメラマンのトニーノ・デリ・コッリ)にその邦画を観るよう力説。
2015-11-23 00:48:28そして、マカロニウエスタンの黎明期がスタートしたのです。 pic.twitter.com/96boowmMXq
2015-11-23 00:49:35言い方は悪いけど、『荒野の用心棒』が『用心棒』のパクリであるならば、その主題曲「さすらいの口笛」もまた、パクリからスタートしたのであります。
2015-11-23 00:55:30セルジオ・レオーネの小学校時代の同級生であるエンニオ・モリコーネは、1962年にウディ・ガスリーの「Pastures of Plenty」を歌手ピーター・テヴィスのために編曲。 pic.twitter.com/L8bRWicE5Z
2015-11-23 00:56:00その曲をベースに、「さすらいの口笛」は生まれました。曲の合間に入る男性コーラスの掛け声「With the Wind」や、鐘の音、鞭の音などは、まったくそのままです。 pic.twitter.com/4mvh2G62kr
2015-11-23 00:56:32『荒野の用心棒』の西部劇としてのスタイルもまったく新しいものでしたが、そのサウンドトラックも斬新で、それまでにないスタイルを持った劇伴曲でした。そして映画と共に音楽も大ヒット。 pic.twitter.com/ug046q2C6J
2015-11-23 00:58:451960年代半ばの日本の各家庭のレコードプレイヤーやラジオ、全国のレコード店からは、このマカロニウエスタンのサントラが始終流れていたものでした。“アナ雪”の主題曲どころではなかったのですよ。
2015-11-23 00:59:55今では『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンニオ・モリコーネでしたが、かつては「さすらいの口笛」『夕陽のガンマン』のエンニオ・モリコーネであったのです。
2015-11-23 01:00:32そして監督やカメラマンと同様、まだ“マエストロ”と呼ばれてはいなかったモリコーネは、『荒野の用心棒』のタイトルではダン・サヴィオとなっていました。
2015-11-23 01:00:59映画製作は予算と人間関係で成り立っています。それは21世紀の今でも、『荒野の用心棒』が製作された1960年代でも同じことでした。
2015-11-23 01:05:23ローマのチネチッタは小さなスタジオです。ロケ場所のアルメリアも狭い場所でした。並行して多くの映画が閉鎖された空間で作られていましたので、人間関係も狭く濃いものとなります。 pic.twitter.com/vgCg16OX95
2015-11-23 01:11:53少し空想してみましょう。『荒野の用心棒』のスタッフ・キャスト表をじっくり見ていると、色々な発見が出て来ます。 pic.twitter.com/0U01ZlaB6Q
2015-11-23 01:12:37『荒野の用心棒』の撮影監督はマッシモ・ダラマーノです。彼は後に『バンディドス』と言うマカロニウエスタンの傑作を監督します。 pic.twitter.com/oyWkDHrmGG
2015-11-23 01:13:31『バンディドス』の主役エンリコ・マリア・サレルノは、イタリアでは伊語を喋れないクリント・イーストウッドの吹き替えを担当していました。“ドル三部作”のイタリア語版で“名無しの男”の声は彼が担当しています。 pic.twitter.com/ldwcVBAC2U
2015-11-23 01:14:06エンリコ・マリア・サレルノは、イーストウッドがハリウッド凱旋後に出演した『ペンチャー・ワゴン』のイタリア版イメージ・ソング(?)の主題歌を歌っています。 pic.twitter.com/TiqlAGhwgC
2015-11-23 01:14:59そして『ペンチャー・ワゴン』には、『バンディドス』のもう一人の主役であるテリー・ジェンキンスも出演しているのです(彼の映画出演作は、『バンディドス』と『ペンチャー・ワゴン』の2作品しか在りません)。 pic.twitter.com/OihuOPAaSy
2015-11-23 01:15:40マカロニウエスタンというと、「ズギューン」「バギューン」「ドバァァ」と言った、劇画的な演出にマッチした、派手めの銃の発射音がまた、特徴的であります。
2015-11-23 01:28:47加工され、誇張された銃声を電子音で人為的に創り出したと思っている人も多いと思いますが、セルジオ・レオーネは実は、峡谷に実銃と録音機を持ち込んであらゆる角度から射撃し、その採録した音声をスタジオで加工、画面にシンクロさせたんです。
2015-11-23 01:31:02黒澤明は『用心棒』で使う、人を斬る時の効果音として、実際に牛肉を吊るし日本刀で斬ってみたとのことです。牛や豚の肉では求めていた音を得られず、最終的に柳刃包丁で重ねた濡れ雑巾を斬った時の音がいちばんしっくりきたとか。 pic.twitter.com/j4FHxDpNy8
2015-11-23 01:34:11レオーネもまた、『用心棒』の骨子のみならず、銃声の表現においても黒澤明の方法論を踏襲したのですね。本作の公開以来、イタリア製西部劇の銃声は、この『荒野の用心棒』制作時に作り上げた銃声がベースとなりました。 pic.twitter.com/M7Zwhrallv
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