【Re:AfterLife/MyImmortal】4/4

さぁ、ペイバックタイムだ!
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

再び横須賀の司令部室。各担当を割り当てられた将官達の号令が忙しなく飛び交う。 こちらでも反撃へ向けて皆が一眼となり人数は少ないながらも活気が戻ってきていた 「あ〜〜〜〜!!!提督!もう手を貸して下さい!青葉、倒れちゃいますよ!」

2015-12-15 22:52:41
葛葵中将 @katsuragi_rivea

その青葉の悲鳴に霧雨は耳を塞ぐかのようにその場をそそくさと立ち去り、 将官達が集まる司令部室中心へと逃げていった。 それを呼び止めようとする青葉に声がかかる。 「…私に、手伝わせて下さい。」 喉元を押さえながら大淀が自ら助力となることを申し出る。

2015-12-15 23:03:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

青葉の嬉しそうな悲鳴が飛ぶ。ここ司令部宛に届いた電文はもはや数え切れないほどのものとなっていた。 そのほとんどが激励、一喝、…あるいはクレーム。 "名も無き指揮官"に共感した者達のメッセージにはどれも希望の火が宿っているように青葉の目には見えた。

2015-12-15 22:57:36
葛葵中将 @katsuragi_rivea

申し訳なさそうにそれを断ろうとする青葉だったが、彼女の目を見てそれを諦めた。 まるで炎めいた輝きが大淀の目に宿っているのを認め、 「無理はしないでくださいね?」 とだけ警告するだけに留めた。 青葉の隣の席につこうとする前に大淀は司令部中心に目線を送る。

2015-12-15 23:05:58
葛葵中将 @katsuragi_rivea

霧雨をはじめとした将官達の中心には…あの男が忙しなく周りに指示を送っていた。 …一人の旧式の艦娘と名も無き士官が作り出した火種は燃え広がり、炎へと姿を変えた。 彼らが勝利の二文字に奮え、互いを讃えあうのは…それから間もなくのことだった。

2015-12-15 23:09:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【Re:AfterLife/MyImmortal】完 (番外編) Dawn is coming and Reterner へ続く

2015-12-15 23:11:43
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「磯風のこと、よろしくお願いします」 茜色を石段のタイルに映し出す夕暮れ…再び、追悼式後の横須賀。 葛葵に向かい、駆逐艦浜風は深々と頭を下げた 緊急時ということで臨時に編成された艦隊も作戦を終え再編された。 だがそんな中で駆逐艦磯風は葛葵の元に残ると言い張り再編を固辞した

2015-12-15 23:21:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

本来であれば一駆逐艦の我儘など申請が通ることは無いが、 各関係者に葛葵は頭を下げ、磯風の願いを無理矢理承認させた。 「司令、この磯風から逃れられると思うな。例え司令が相手でも容赦などしない」 彼女なりの照れ隠しなのだろうか?と一瞬思ったが…それはないという結論に至る。

2015-12-15 23:24:09
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「まぁ…わかった。さ、そろそろいいだろう。天津風?帰るぞ」 頭を掻きながら麾下の一人、天津風に葛葵は語りかけた。 先ほどまで散々泣き喚いていた彼女も今は落ち着いてはいるが目の周りと鼻の頂は未だに赤いままだが それは夕日の色によって少しわかりづらくなっていた。

2015-12-15 23:27:58
葛葵中将 @katsuragi_rivea

海岸線沿いの崖の中腹にあるその小さな広場の出口付近に木曾の姿を認めた葛葵は小さく手を上げ、 「今行くよ」というニュアンスを伝えると木曾は身を翻し、先に与えられた宿舎の方角へと歩みを進めていった。 葛葵も続こうとしたその背中に天津風は声を張り上げ語りかけた。

2015-12-15 23:31:43
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「私は…あの子にも、これから来る子達なんかにも絶対に負けないから!強くなるから!」 意地っ張りで負けず嫌い。いかにもな性格をしている彼女らしい発言だった。 「…頼もしいねぇ、わかった。じゃあ、うちで最強の駆逐艦になってみろ。」

2015-12-15 23:34:34
葛葵中将 @katsuragi_rivea

葛葵としては冗談のつもりで言ったが…天津風はそれを真に受けたらしい。 「磯風、貴方にも…絶対に負けたりしないんだから!」 「ほう…?それはこの磯風に対する挑戦状とみた。明日から覚悟しろ」 目で火花を散らす背後の二人を他所に葛葵は出口に向かい歩き出した。

2015-12-15 23:37:55
葛葵中将 @katsuragi_rivea

それと入れ違いとなり二人の駆逐艦らしき少女とすれ違う。 その二人と葛葵は目があった。一人は銀髪で片目を隠す夕雲型らしき制服を着る艦娘と…もう一人は… 二人の少女はそのまま広場へと駆け抜けて行った。

2015-12-15 23:42:08
葛葵中将 @katsuragi_rivea

銀髪の少女は何かに気付き立ち止まりもう一人の少女はそのまま落下防止の柵まで走っていった。 「ん…?あれ?アンタ、どっかで見たことあるな…気のせいかな?ま、いっか。」 銀髪はしきりに磯風の姿を見たあと先に駆け抜けた少女へと視線を戻した。

2015-12-15 23:44:55
葛葵中将 @katsuragi_rivea

落下防止の柵に身を乗り出したその少女は…ダークグレーの瞳と髪の色。 銀髪の少女がなかなか追いついてこないことに痺れを切らしたのか大きく声を上げた。 「ねーってばー!!おーーい!!遅いよー!!!」 その声は無邪気そのもの。

2015-12-15 23:47:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「わーったよー!今行く!」 悪いね、と言うように磯風に片手を上げると銀髪はゆっくりと歩き、その少女の元へと向かった。 辺りに一陣の風が吹く。夕暮れになり昼間とは違う風だ。葛葵は振り返った。 その風を一身に受け、海を臨む無邪気な少女は…気持ち良さそうに言葉を発した。

2015-12-15 23:52:35
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「この風…どうかなぁ!」

2015-12-15 23:52:54
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