なりたくて「病原菌(テロリスト)」になった微生物(人間)はいない

病理学では長らく「病原菌」という生き方が謎だとされていた。宿主を殺せば自分も共倒れするからだ。しかし病原菌は実は、どこかの宿主と平和的に生きる共生微生物なのだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

私は植物の病原菌の研究をしている。 実はこの世に、もともと「病原菌」だった微生物はいないと言われている。昔から専門家の間では、病原菌の生き方は謎だった。宿主を殺してしまったら自分も共倒れになってしまう。そんな自殺的な、非合理的な生き方をなぜ選ぶのか?と。

2015-12-09 18:06:14
shinshinohara @ShinShinohara

ジャレド・ダイヤモンド「銃・病原菌・鉄」から「そもそも、病原菌なんて生き方を選ぶ微生物はいない」という認識が広がってきた。病原菌も実は、どこかに生息する何らかの宿主と共生関係を結んでいる、平和的な共生微生物。害虫と言われるのも、実は何かの草花と双利的な関係を結んでいる益虫。

2015-12-09 18:07:07
shinshinohara @ShinShinohara

ところが人間が世界中のあらゆるところにズカズカ踏み込み、様々な動植物を弄んだことで、非常に確率が低いものの、その宿主と共生していた微生物が、ある意味人間と「相性」がピタッとあってしまい、病原菌として人間を侵すようになってしまったのだ。本来、病原菌もそんなことはしたくないのに。

2015-12-09 18:08:03
shinshinohara @ShinShinohara

エボラ出血熱のウイルスも、ジャングルの中で何らかの生物と共生関係を結び、その宿主には特に悪さをしないウイルスだと言われている。

2015-12-09 18:08:30
shinshinohara @ShinShinohara

興味深いことに、19世紀まで猛威をふるい続けたペストは、ここ100年ほど、発生していない。しかし現代人の腸内には、ペスト菌とほぼ区別がつかない菌が共生している。どうやらペスト菌は、数百年の時をかけ、人間との共生関係を構築することに成功したようだ。

2015-12-09 18:08:54
shinshinohara @ShinShinohara

…私には、テロリストも似ているように感じられる。本来、静かに平和に暮らしていたはずの人たち。そこにズカズカと土足で踏み込んだ連中がいて、食うに食えなくなり、「だったらせめて・・・」と破壊的衝動を持ってしまった。病原菌も人が生んだものであり、テロリストも人が生んだもののように思う。

2015-12-09 18:09:54
shinshinohara @ShinShinohara

・・・病理学の世界では、既述のような認識が浸透して以降、病原菌を皆殺しにする発想を捨てつつある。皆殺しにしようとすればするほど生き残りをかけて耐性を持つようになり、さらに激しい病原性を示すようになる。病原菌の進化を助けてしまっているようなものだ、という認識が広がってきたのだ。

2015-12-09 18:10:37
shinshinohara @ShinShinohara

病原菌も本来、何らかの生物の共生関係を結ぶ平和的な生き物なら、その平和な生活を脅かさないようにすれば、わざわざ宿主殺しのような、自殺行為的な生き方を選ばないで済む。病原菌として生きるより平和的な生活を営む共生微生物の生き方を選ぶだろう、と、専門家も認識を改め、対策を変えつつある。

2015-12-09 18:12:29
shinshinohara @ShinShinohara

農業では、そうした発想のもとに、病原菌や害虫を殺さず、彼らの生存も脅かさずに、平和的に棲み分けすることで、病害虫の発生を抑えようという研究が進んでいる。この技術体系を、IPM(総合防除)と呼んでいる。

2015-12-09 18:12:49
shinshinohara @ShinShinohara

・・・テロリストの対策にも、このIPMの思想が重要であるように思われる。テロリストが生まれる温床をそのままにして、私たちはテロリストを撲滅しようとしても、それはテロリストのさらなる進化を促す形になるのではないか。

2015-12-09 18:13:07
shinshinohara @ShinShinohara

人間と微生物を同一視することを、一部の人は笑うだろう。だが私には、この対比はとても笑えないように思われるのだ。

2015-12-09 18:13:35

テロリストではないが、キューバのカストロやゲバラは比較的裕福で、高学歴だった。しかしあまりの不公正に憤りを感じ、キューバ革命を主導した。クルーガー氏の指摘するテロリストも、ゆがんでいるかもしれないが、「義憤」的要素があるように思う。そしてピケティ氏が指摘する貧困層は、義憤を感じさせずにはいない存在。とてもじゃないが、「貧困が原因ではない」というタイトルはおかしい。
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