戦時増産の話-女だらけの生産工場-

写真も一杯だよ!
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Bunzo @Kominebunzo

20年2月の航本「陸軍現用 試作機 称呼名称一覧表」は文書名の通り飛行機の呼び方を示したもの。ここでキ76の欄を見ると、こうなっている。 ああ、そんな文書があるんだな、と思った方はそれでよし。 pic.twitter.com/ap26Q0u0Rr

2015-11-29 17:09:22
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Bunzo @Kominebunzo

川崎岐阜の総工員数と実働工数の比較データ。開戦間もない17年1月に9033人で実働工数203万2425に対して戦時動員で膨らみ切った20年1月は3万5213人で実働工数827万5055と見かけ上の生産性はほぼ同じで1人当りの負荷も変わらない。戦時でも平時の何倍も働いた訳では無い。

2015-11-29 17:25:51
Bunzo @Kominebunzo

未熟練作業者が大量に入っても生産性を維持できたのは戦争後期の工場内が昔とは大きく変って職人芸的工程を排除していたから。だから生産性が維持できた。そして動員されたご本人達は辛かったことだろうけれども作業者としての仕事量は平時と変わっていない。これも大事な点。

2015-11-29 17:33:15
Bunzo @Kominebunzo

「戦前の機械は限界ゲージが使われていなかったので部品ごとの互換性が無い」「戦前には品質管理という考え方が無かったので不良品が多かった」といった頭ごなしの決めつけ、誤解はエンジニアかその方面の経験者の間に根深い。ちょっと知っている人間がいちばん大きく間違えるという例かもしれない。

2015-11-30 05:17:51
Bunzo @Kominebunzo

デミングがQCの基本アイテムを引っ提げて来日したのが1950年。何にも無い荒野に水を撒いたのではなくて戦時増産とそれが引き起こした様々な物事があり、その経験の上に体系化された管理手法を説いたので染み渡るように広まった。デミング賞を取ることが製造業のステイタスになる時代が始まる。

2015-11-30 05:22:49
Bunzo @Kominebunzo

頭ごなしの誤解がエンジニアに多い理由はこうした職業の人々が愚かだからではなくて「そのお師匠さん達がそう教えて来た」のが一番の原因。技術者は現在について詳しければそれで良く、昔のことなど知らない方が使いやすいからそんな教育が放置されていたという側面もある。

2015-11-30 05:27:26
Bunzo @Kominebunzo

俺の専門分野だからとの気負いは人情としてわかるんだけれども、例えばある図面の検討会で「これは現場で使われた生きている図面」と主張されたベテランエンジニアさんがいた。でもそれは組立図であり、更新記録も描き足しの跡も無いただの「見本」だった。CADの時代ならではの知ったかぶり。

2015-11-30 05:33:07
Bunzo @Kominebunzo

部品の互換性といったものがあらゆる分野で一斉に変ることなどあり得ない。航空エンジンと火砲と小火器では違うし、同じ小火器でも長物と拳銃ではまた違う。造られ方がそれぞれに違うからでそうした違いが発生した理由もそれぞれにある。それを知ることは道楽としても面白い。

2015-11-30 05:47:14
Bunzo @Kominebunzo

飛行機に塗られた塗料の色、質に関しても一番誤解を広めたのはペンキ屋さん関係の方々。自分が力を注いで親しんだ分野だからこそ勇み足が出てしまう。現在通用している常識と周囲にある材料だけで昔を推し量るとリスクがあると頭では解っていても止まらない。専門家には自負があるから仕方がない。

2015-11-30 05:51:46
Bunzo @Kominebunzo

陸海軍の発動機に互換性が無いとの話も彗星のアツタ32型と飛燕ニ型のハ140を例に取ると間違える。原型ならともかく過給器が違い、冷却器の位置も違うので簡単には積み替えられない。一方、烈風はキ83のハ211ルの18号機を流用して楽々と飛んでいる。技術的というより事情が土台から違う話。

2015-11-30 05:58:25
Bunzo @Kominebunzo

規格化といった言葉も独り歩きすると害になる。規格は生き物で時代に合わなければ廃されてしまう。例えば重要部品の材質全てをJIS規格材料で賄っている自動車屋さんは無いだろう。JIS関係の資料は棚に並んでいてもそれで全て済ませる機械屋さんも無いだろう。これが戦時だったらどうなるか。

2015-11-30 06:05:55
Bunzo @Kominebunzo

飛燕ニ型と彗星の話は「アツタ32型とハ140の統合型を製作すればハ140の問題解決にも繋がり、アツタの増産にも寄与できるのではないか」との取り組みの端緒の部分だけれが広まったもので、基本的には健全な取り組み。実現しなかったのは水冷V12より空冷星型14を増産したから。これも健全。

2015-11-30 06:14:25
Bunzo @Kominebunzo

「あれは実はこうで」「何々は間違いで」といった話をクドクドやると実は書いてる方も息苦しい。そんな事を話し続けると結局誰にも伝わらないので書くだけ損なんだから適当にやればいいのだけれど、ついついそんなつまらない話ばかりになってしまう。因果なものだなあ。

2015-11-30 06:24:59
Bunzo @Kominebunzo

何でもやる英国のお姉さんがラウンデルの赤部分をヤラセっぽく塗っていて、これまた味がある写真。お姉さんができるんだから次からプラモの日の丸は筆塗りしようじゃないか。 pic.twitter.com/xHRfsWRyFQ

2015-12-01 17:44:35
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Bunzo @Kominebunzo

完成したてのテンペストMk.Ⅱ これも英国のお姉さん達が造ったかと思うと感慨無量。 pic.twitter.com/AWnt0ytgHd

2015-12-01 17:48:56
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Bunzo @Kominebunzo

機体組み立て作業中の日本のお姉さん。片渕監督に指摘されてなるほどと思ったけれども戦時下の女性は意外にふくよか。 pic.twitter.com/FC3Yh24apw

2015-12-01 17:54:26
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Bunzo @Kominebunzo

英国のお姉さん達は第一次大戦中からラウンデルをヤラセっぽく塗っていた。これを20年後にまた繰り返した。畏れ入りました。 pic.twitter.com/8TZLxOcCVc

2015-12-01 18:30:03
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Bunzo @Kominebunzo

第一次大戦中の機体組立工場風景。お姉さん達の姿は無い。しかしまあ、造っている飛行機は確かに古いんだけれども場内と作業者が昔に見えない。まいったなあ・・・。 pic.twitter.com/lFE7416s1f

2015-12-01 18:37:36
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Bunzo @Kominebunzo

組立中のP-51マスタングの主翼。やたらと手間のかかるNACAリベットを打った上でパテ仕上げを施していることがわかる。マスタングの主翼を模型で作ってリベット表現を施すのならこのパテ仕上げは覚えておいた方がおトク。 pic.twitter.com/hX2ka53VPe

2015-12-01 19:22:53
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Bunzo @Kominebunzo

マスタングの主翼の仕上げの丁寧さとフラップ部、胴体の「まあこんな感じ」仕上げの違いがわかる写真。マスタングがちょっと速いのは層流翼型でもラジエーターのマジックでもなく、このツルツル主翼のせいだ。何で主翼を見ないのかなあ。 pic.twitter.com/yNHiI8WSaM

2015-12-01 19:33:38
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