【虎ノ門ニュース　8時入り！】有本香さんの解説 2015/12/11 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（１６）有本：反ユダヤはヨーロッパでは相当なタブー。一方娘のマリーヌ・ルペン氏が引き継いでから、父親の色というのを消していった。少なくとも反ユダヤは看板から外し、父親をも外してしまった。そして、新たな国民戦線として国民にアピールしていくと。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（１７）有本：マリーヌ・ルペンという人は元弁護士だが、政治家としてもなかなか能力が高いと私は思っている。それからマリーヌ・ルペンという人がすごく伝統的な、どちらかというと古くさいフランスの価値観を背負っている女性かというとそうではない。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（１８）有本：彼女自身は２回の離婚歴があり、シングルマザーとして子供を育てている。働く女性のいろいろな苦労もわかっている、というようなことがあって、マリーヌ・ルペン氏が党首になってから女性の支持層も増やしている。つまり若者と女性の支持を得た。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（１９）有本：国民戦線支持というと、いままで特殊な目で見られていた。それがだんだん普通になってきたという意味で、彼女はなかなかの策略家。やたら古くさいことばかり言っている人ではなくて、彼女自身が現代的な女性。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２０）有本：そういうところも打ち出しつつ新たな層を獲得してウイングを広げて、国民戦線を支持するのはマズイ人じゃないよというような空気を作ったという点では大きい。しかしフランスのメディアも非常にリベラル色が強く、極右という風にしか表現しない。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２１）有本：それから今年のはじめにシャルリー・エブドの襲撃事件があった。あの後、フランスの大統領だけではなくヨーロッパのいろいろなところから首脳が集まって、みんなで並んでデモをやった。日本でもあれをすばらしいなんて拍手喝采していた。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２２）有本：あそこにフランスの欧州議会第１党の党首であるにもかかわらずマリーヌ・ルペン氏は呼ばれなかった。つまりフランスのほかの政治勢力にとってみれば、まだこの人たちはキワモノにしておきたい。 私は決して、国民戦線をそんなに全面的に肯定はしない。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２３）有本：あるいはドナルド・トランプという人もとんでもない人だと思うが、こういう流れというのは第２次世界大戦後の世界の潮流。とくに東西冷戦が終わった後、ここへきてやはり世界の流れが大きく変わってきているということの明らかな現象ではないか。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２４）有本：右傾化という単純な話ではなく、右のサルコジ氏を支持する人と、国民戦線を支持する人はちがう。サルコジ氏はダメだから選択肢が２つしかないんだったら社会党に入れるか、となる。こういう国家が関与する経済や、雇用などを是とする考え方。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２５）有本：さらにいうと、EUとは何だったのかという話になってくる。やはりもう一度国家の壁、国境をちゃんと取り戻して、国としての構えを作ろうよと。そしてその中で国民が幸せになることを第一としようと。こういう考え方が強くなってきている。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２６）有本：マリーヌ・ルペン氏は反グローバリズムでもある。フランスのメディアなどは、とんでもないと強く批判しているらしい。しかし私の友人でパリに長年住んでいる人が言うには、どっちがとんでもないのかと。その人は決して国民戦線支持でもない。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２７）有本：でも行きすぎたグローバリズムが若者をふくめ、一般庶民をそれほど幸せにしていないことはこれほど顕著なのに、なぜグローバリズムを批判したらそんなに文句言わないといけないのと。そういうことをフランスの一般的な国民が気づきはじめてしまった。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２８）有本：フランスのリベラルは自国の国益よりも他国の言うことを聞くかというと、そんなことは絶対にない。フランスはリベラルといえども国益重視。フランス国民であることにも、いたく誇りを持っている。そこは日本の「和式リベラル」とはまったくちがう。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（２９）有本：しかし、世界的な潮流としていままであった「左派優勢」みたいな。とくに知的な人はみんな左派みたいな。とにかく世界が大きな共同体になっていくことがすばらしいんだという、どちらかというとインターナショナル思想みたいなもの。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３０）有本：こういうものが主流だったことに対して、それはやっぱり無理があるよという抵抗が起きてきている。これがはっきりとフランス、あるいはアメリカのトランプ支持に表れているのではないか。 難民がいればかわいそうだから助けたい、とみんな思う。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３１）有本：でもドイツはどうなったのという話。それぞれがちゃんと国の構えを持ちながら、でも困っている国があればそれはそれで助けようということであって、壁を何もかも取っ払ってひとつにしてしまえ、というのは大変乱暴なことだし無理があるだろうと。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３２）有本：そしてまったくちがう文化どころか文明の中で生きてきた人たちをどんどん受け入れるというのは、自分たちの国柄そのものを全部変容させてしまうリスクもある。だから、いつまでもこの国民戦線をキワモノ的に扱うだけではダメではないかと私は思う。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３３）有本：それから日本でもたとえばいまの安倍政権は、左派の人たちからは、やれファシストだのと批判されるが、安倍総理の経済政策はまさしく左派的。政府が財界に対して給料を上げて下さいとか、関与を目一杯している。金融緩和もふくめて、左派の政策。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３４）有本：そういう意味で右とか左という極めて単純なレッテル貼りをして左派優位的なイメージ操作をしていくという時代はもう終わってきている。移民排斥というとあたかもヘイトというような部分ばかりが強調されるが、これもイメージ操作的な部分が多分にある。 #虎8

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【フランス「国民戦線」】（３５・了）有本：国家の構えを持ちながら、大変な苦境に陥っている他国や他者を助けることはできる。そういうことを考え直す転換点に世界が来ているということではないかと思う。ドイツもいままでは経済の面でひとり勝ちだったが、今後は大変になるのではないか。 #虎8