編集部イチオシ

「獅子」はライオンとは違う?いいえ、前漢の武帝の動物園にはライオンがいた。ライオンを意味する古語「師子」「サンゲイ」を解き明かす!

ライオンを意味するアールシ語(トカラ語)のシーサク、サーサクが、「師子」や「狻猊」(さんげい)のルーツを語っていると見てよさそうです。アールソン→烏孫、トカラ(大夏)→月氏
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

『流沙の記憶をさぐる―シルクロードと中国古代文明』( 著者:林 梅村 監修:杉山 正明)に、「獅子が来た道」という章があり、トカラ語と師子について書かれています。

2015-12-23 15:30:49
巫俊(ふしゅん) @fushunia

なお、検討の結果、司馬遷が『史記』の中で、「大夏」=定住都市、「大月氏」=遊牧民としたのは、誤りです。「大夏」はギリシア史料が呼ぶ遊牧民トハロイ(トカラ、月氏のこと)を漢字に音訳したものですが、

2015-12-23 16:25:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「大夏」を、「遠い(大)ところにある中国(夏)」、つまり定住都市と意味で解釈したために、「大夏」が大月氏の定住先のバクトリア(アフガニスタン周辺)の別名になってしまいました。「大夏」は秦の始皇帝の残した碑文にも出てくるので、かつて月氏がいた領域(中国西北部)が「大夏」のようです。

2015-12-23 16:27:20
巫俊(ふしゅん) @fushunia

そのため、唐代にバクトリアがトカラ国、トハリスタンと呼ばれるようになり、その結果、トカラが移動前の中国西北にいた月氏であることが忘れられてしまいました。

2015-12-23 16:28:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

このトカラ語の史料が出てきたとき、欧米で論争が起こり、戦後の一時期は否定派(トカラはイラン系のバクトリアでしょうが!と主張)が優勢だったので、日本の歴史学や言語学の世界では、否定に動いてしまいました。小谷仲男さんの東方選書『大月氏』も否定派で、そのため、世に知られていないのです…

2015-12-23 16:30:32

追記

天むす名古屋 Temmus 𓃠 @temmusu_n

@fushunia サンゲイという音には、シーサク、サーサクよりもシンガの方が、単純に響きが似ていますし、年代も近いのではないでしょうか? 唐と交易のある勢力のなかでライオンの産地にいるのは、インド・イラン語派です。獅子がトカラ語に由来するかもしれませんが。

2015-12-23 18:53:05
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@temmusu_n レスありがとうございます。シンハは仏教時代のサンスクリット語の語彙として考察しましたが、シンハとシーサクも遡ると関係があるのかもしれませんね。ご質問の件はイラン語その他の古い語彙を調べてみたいですが、能力が及ばないかもしれません(^^;

2015-12-24 00:48:43
巫俊(ふしゅん) @fushunia

natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/b… ニュース「シベリアで氷河期の絶滅ライオン見つかる」(2015.11.02) 永久凍土から凍ったまま出てきたとか。そういえば、烏桓征伐の折に曹操は獅子と戦ったと、むじんさんが言ってたけど d.hatena.ne.jp/mujin/20091231…

2015-12-24 01:06:43

寒地に適応した絶滅種のホラアナライオンだったりして(妄想レベル)。この話は史実というより、「曹操伝説」ですが

ヨーロッパでは、新石器時代のホラアナライオンの洞窟壁画があったり、新石器時代の岩絵の「畑」に、金属時代の人が「家」を描き足した痕跡があったりするから、そうした壁画から猛獣伝説が生まれたりしないのかなぁ、と?

巫俊(ふしゅん) @fushunia

!? 2000年前だと…「ホラアナライオンは、壁画などの考古学上の研究から、南ヨーロッパでは2000年前ぐらいまで生き残っていたようだといわれる。」 biggame.iza-yoi.net/bigcat/cavelio…

2015-12-24 01:26:05

更に追記 ※重要情報

天むす名古屋 Temmus 𓃠 @temmusu_n

@fushunia あるデータベースbit.ly/1Mxrxxhでは、ライオンの梵語と吐語は同系だそうです。もしシーサクが仏典翻訳にあるなら、ほぼ確実に梵語由来だと思います。リンクが印欧祖語再構形は確度が低いと注意しているのもポイントになるでしょう。

2015-12-24 12:45:54

*印欧祖語Proto-IE: sing'h-

北方語源Nostratic etymology: Nostratic etymology

意味Meaning: ライオンlion, レオパルドleopard

トカラ語Tokharian: A(焉耆)方言A śiśäk, B(亀茲)方言B ṣecake (トカラ祖語PT *ṣēnśäke) '意味lion' (Adams 660)

古インド語Old Indian: siṃhá- m. `意味lion'

アルメニア語Armenian: inǯ (u-St.) `意味Pardel, Leopard'

ロシア語Russ. 意味meaning: 小動物зверек (лев, леопард)

参照References: 文献名WP II 508

コメントComments:アーリアの言葉 An arial word, インドヨーロッパ祖語として疑わしいdubious as a PIE form.**

巫俊(ふしゅん) @fushunia

@temmusu_n ありがとうございます。Tokharianはトカリアンだからトカラ語(吐火羅語)のことですね。再構形のsing'hは、紀元前4世紀の中国の「狻猊suen ger」に似てるので、仏典翻訳とは時期が違うと思います。「祖語形として疑わしい」は西方の印欧語に無いから?

2015-12-24 13:22:16
天むす名古屋 Temmus 𓃠 @temmusu_n

@fushunia 音韻的な問題もあるのかもしれませんが、私はアルメニアとインドにあって、中間のイランにないのが気にかかります。西方の印欧語でもライオンを借用語とする諸説があります。セム語からとか。インド・ライオンの生息地はバルカンからパキスタンまで広大でしたが、不思議ですね。

2015-12-24 13:44:31