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「イービル・インフルエンス・フロム・ザ・ソウル」

「咆哮系提督の吹雪」第4章 「敵は己と知れ」 「嗚呼、世界は広大だ」
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドと出会った吹雪は憑依によって艦娘となった。だが、船魂の憑依は本来鎮守府のみがその技術を独占しているが、吹雪は何故か、リカルドと出会ったときには既に船魂に憑依されていた。「何か不都合が起こるかもしれない」とは鹿屋の技術者の弁だが、まさかこのような変貌を引き起こすとは。 6

2016-02-08 20:49:44
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「私はこの機をずっと待っていた」化け物は鉤爪めいて指を強張らせた。「私は戦い足りない。戦って戦って戦って、最期に勝利する。」「戦う…」リカルドは化け物の言葉を聞き一つ疑問を持った。故に問うた。「貴様の敵は誰だ」「全てだ!」化け物は獣めいたカラテを構えた。「この世の全て!」 7

2016-02-08 21:01:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「国や所属なぞ関係ない!全てを倒し、いにしえの無念を晴らす!」化け物は吼え、跳びかかった!「イヤーッ!」振り下ろされる鉤爪めいた指!「イヤーッ!」リカルドは前転し、化け物の背後へ抜ける!SRAAASH!鋼鉄の壁がいとも容易く斬り裂かれる!「イヤーッ!」リカルドは背後へ蹴り! 8

2016-02-08 21:08:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」化け物は振り返らず、右腕で受け止める!「ヌゥ!?」リカルドは眉を顰めた。緑の炎に覆われた腕からは熱を感じなかった。だが、それ以上に悍ましい悪寒が足伝いに感じられた。これは、善くないモノだ。「イヤーッ!」リカルドは直ぐ様飛び下がる。「イヤーッ!」化け物が追う! 9

2016-02-08 21:11:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」チョップとチョップが鍔迫り、悍ましい悪寒が籠手越しに伝わる。「イヤーッ!」化け物のワン・インチ・パンチ!リカルドは…ナムサン!反応が一瞬遅れ、受け止められない!「グワーッ!」ワイヤーアクションめいて吹き飛ぶリカルド!化け物は更に追撃を仕掛ける! 10

2016-02-08 21:19:04
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「クソ!」リカルドは直ぐ様体勢を立て直し、カラテ迎撃!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」単打の応酬が繰り広げられる!が、徐々にリカルドが艦首へと押し出されていく!((ジリー・プアーか!)) 11

2016-02-08 21:22:18
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

段々とリカルドは艦首まで追い詰められ、遂にあと一歩まで追い詰められる!「どうした!もう後がないぞ!イヤーッ!」「イヤーッ!」リカルドは踏ん張る!だが僅かながら足が縁の外へ!「海に落として料理してくれる!」「させねぇよ!イヤーッ!」声と共に飛来する一枚の呪符! 12

2016-02-08 21:26:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

化け物の振り上げられた右腕に呪符が巻き付く!紫電が腕を縛る!ZZZZZZT!「グワーッ!」リカルドは化け物の肩越しに下手人を見た。隼鷹だ。「急いで来てみりゃ、何だこいつは!」「吹雪だ!」「はぁ!?これが!?」「貴様…!」化け物は苛立たしげに振り返る!「邪魔をするな!」 13

2016-02-08 21:32:49
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

化け物は隼鷹目掛け飛び掛かろうとした。「イヤーッ!」これを好機と見たリカルドは背後から羽交い絞めにする!「グワーッ!貴様!」「隼鷹!何か封印を!」「封印!?」「何でもいい!コイツの船魂を縛れ!」「貴様ァーッ!」隼鷹は説明を求めなかった。彼女は呪符を複数展開する。 14

2016-02-08 21:35:44
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「リンピオトーシ!」不可思議な呪文と共に呪符が紫電を帯びる。「カイジンリッツァイゼン!イヤーッ!」呪符達がミサイルめいて飛翔!瞬時に着弾!紫電の鎖が化け物を完全に拘束する!「グワーッ!オノレーッ!」化け物は悔しげに悲鳴を上げる。リカルドは拘束を緩めぬ。緑の炎が収縮していく。 15

2016-02-08 21:40:44
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「オノレ!オノレェーッ!次は、次は必ず、この娘を乗っ取ってやる!憶えておれぇーーーーッ!!!!」紫電から迸る光が甲板上を覆い尽くし、そして一瞬で消えた。リカルドの腕の中には、吹雪が力なく寄り掛かっていた。 16

2016-02-08 21:42:52
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

((憶えておれ……次こそは必ず……))「!?」邪悪な声を聴き、吹雪は目を覚ました。「ここは…」吹雪は辺りを見渡す。簡素なベッドと小さな小物入れ。ここは「よほろ」内の自分にあてがわれた部屋だ。「私は……」吹雪は額に手を当て、記憶を探す。「確か…司令官が救援を求めてて…」 18

2016-02-08 21:55:02
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

脳裏に過る「よほろ」と、宙を舞うリカルド。そこまで思い至り、吹雪は立ち上がった。「司令官……そうだ!司令官は!?」吹雪はガウンを羽織り、部屋から飛び出す。既に外は夜になっていた。「あの後、一体どうなったの……」吹雪は船外デッキを駆ける。その時、リカルドの声が聞こえてきた。 19

2016-02-08 21:59:47
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「居た!」吹雪は見据えた。リカルドは船外デッキから通じる艦橋への入り口で、誰かと話し込んでいた。吹雪は声を掛けようとして、やめた。リカルドが纏う刺すようなアトモスフィアが、それを制したのだ。「じゃああれか?」リカルドは誰かに問うた。「あれは本当にヤバいんだな」 20

2016-02-08 22:09:40
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ああ、そうさ」話し相手の声が聞こえた。隼鷹の声。「あんな異例中の異例。あたしも初めて見た…恐らく、何らかの要因で船魂が野を彷徨ってたんだね」「原因は」「流石にそこまでは…でも、これだけは言える」二人の声はシリアスだ。((一体、何を…?))吹雪は動けず、ただ茫然と聞いた。 21

2016-02-08 22:15:47
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「封印を施したとはいえ、あそこまで力を表出させる奴は前例がない。恐らくあたしの封印もそこまで持たない」隼鷹は一瞬躊躇し、やがて決心したかのように言った。「遅かれ早かれ、あの子は。吹雪は自分の船魂に飲み込まれる。あの子、死ぬよ」 22

2016-02-08 22:19:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「えっ」吹雪は茫然と呟いた。リカルドは振り向いた。「吹雪……」「私、死ぬって…嘘、ですよね?…ね?」吹雪の問いかけにしかし、リカルドは沈痛な面持ちで首を横に振った。「そんな…」吹雪は力なく座り込んだ。「私、ようやく、ようやくですよ。生きることが、楽しくなってきたのに」 23

2016-02-08 22:25:35
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「……」「色んな人たちと出会って、いろんな事をして、この世界の広さに、ワクワクしてたんですよ…もっともっと色々なことができる。そう思っていたんですよ……それなのに、死ぬなんて、そんな……」「吹雪……」「暫く、一人にしてください」吹雪は力なく立ち上がった。 24

2016-02-08 22:28:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪は自室へ引き返していく。去り際、リカルドを見て言った。「司令官」「……何だ」「もし、もし私が死んでも、私の事…覚えていてくれますか。貴方に助けられた少女が、確かに生きていたって」「ああ」リカルドは頷いた。「ああ、勿論だとも」「ありがとう、ございます…」吹雪は泣いていた。 25

2016-02-08 22:31:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪は走り去っていった。声も無く泣きながら。リカルドは、ただ手を握り締めていた。爪が皮膚を突き破り、血が流れだしていたが、誰も気には留めなかった。 26

2016-02-08 22:32:46
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

翌日、調査隊は遂に沖ノ島に到着した。「今回は上陸しての調査だ」ザハはリカルドにそう説明した。「調査隊の指揮はリカルド君に取ってもらう。美濃部長官から、君は強いと聞いているからね」「…了解」「……何か、あったのかい?」「いえ、何も」「……そうか」 28

2016-02-08 22:35:24
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドは数人の調査員を引き連れ沖ノ島に上陸した。彼の率いる艦隊は、ザハ提督が最も信を置く艦娘の榛名と共に、「よほろ」の護衛に当たっていた。「あの、隼鷹=サン」鳥海が隼鷹に耳打ちする。「…何だい」「吹雪=サン、何かあったんですか」「……言えないよ」「そう、ですか」 29

2016-02-08 22:38:16
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

鳥海と隼鷹の視線の先、吹雪がぼんやりと空を仰いでいた。その顔には、生気も希望もない。まるで、何か解決しがたい絶望に突き当たったかのような表情だ。「吹雪=サン」見かねた榛名が声をかける。「……はい」「体調が優れないようでしたら、直ぐに休養を」「いえ、大丈夫です」 30

2016-02-08 22:41:15
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