ストレイトロード:ルート140(17周目)
- Rista_Bakeya
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140文字で描く練習、835。猛攻。 火を吐いたり光線を撃ったり体当たりしたり。そういう個体もいる。個体差が大き過ぎて分類が難航しているので全部まとめてクリーチャー。
2016-01-03 19:05:11様々な土地を渡り歩く間の諸経費は藍から託される。雇われて間もない頃、宿賃を払う際に多すぎる額を渡され、驚く私の様子が宿の主人に怪しまれた。「お二人はどちらから?」訊ねられると藍が即答した。主導権が誰にあるか判ると無用な疑いも晴れたが、子供に大金を渡して一人で送り出した親も問題だ。
2016-01-04 20:03:19藍が投げた電気ポットは刺客の刀に払われ、落ちた衝撃で蓋が開いた。もちろん中身は熱湯だ。「勿体ない。折角のお茶の時間が台無しだ」刺客が嘆く間に、立ち上る湯気が彼の眼鏡を曇らせた。直後に飛んだ焼き菓子の一投。敵の手首に当て刀を落としたのは私ではない。「台無しにしたのはあなたでしょ?」
2016-01-05 19:50:30140文字で描く練習、837。湯気。 視界を失う一瞬の判断。でも食べ物は飛び道具じゃないよ。 この刺客の彼は既に何度か出演しています。そのうちまたどこかに出てくるでしょう。
2016-01-05 19:50:53炎に巻かれた建物が崩落を始めた。私は辛うじて現場を脱出した直後に足を挫き、路上に倒れた。煙の匂いに背後の危険を教えられても逃げる余力がない。せめて藍だけでも。願った時、連れ出した小さな手は既に離れていた。「こっちに怪我人が!」駆け寄る人の足音、そして威嚇にも似た風の音が聞こえる。
2016-01-06 19:33:11半壊した家屋の前に子供達が群がり、塀に落書きしていた。見守る大人の話では、数日内に取り壊す家の思い出作りという。「それは何?」藍が小さな絵描き達に訊ねて回った。動物。ヒーロー。様々な声が上がる中、ある少女が言った。「ここのおじいちゃん」大きな家の住人は不思議な仲間に囲まれていた。
2016-01-07 18:55:33ラジオの音声が時の政権の混乱を伝えている。相次ぐ側近の離反は各地のインフラ復旧の難航が原因と識者は語る。「この話何回目?」助手席で地図を広げていた藍が呟いた。「何を言ったとか、辞めろとか、謝れとか。早く困ってる人助けなさいよ」ここは首都から遠く離れた街。離反者の言い分は届かない。
2016-01-08 20:27:54140文字で描く練習、840。離反。 自分だけでは希望にたどり着けない時、邪魔者の排除に懸命になる。何かしていれば進んだ気になれるから。
2016-01-08 20:27:59ルーレットが回る。チップが積まれる。拳がテーブルを叩く。「これ本当に今日の?」藍が画面を凝視したまま訊ねた。映像を操作する警察官の目が点になった。「絶対いるはずの人が映ってない」藍が行方を追う男はルーレットの正面で悔しがる姿が確かに記録されている。その隣に座るのは私だが、まさか。
2016-01-09 20:51:06今夜は冷えると聞いていたが、山道を怪物に崩される展開など読めるはずもない。進む道を失った私達は山中で夜明けを待つことにした。気配を隠すためエンジンを止めたので空調は使えない。窓から忍び寄る冷気を毛布で防ぎ、自身の体温で意識を守った。藍は何かを探すように澄みきった空を見つめていた。
2016-01-10 21:23:35露座の石像は長年の風雪に耐え、街の変化を広場の中心から見守ってきたという。台座に飾られたプレートから土地の歴史を読み取っていると、藍が本体の頭部を指した。「見て、あの顔。泣いてるみたい」涙の跡に見える縦線が石像の頬に現れていた。実際には雨が刻んだものだろう。意味は後から生まれる。
2016-01-11 20:21:00ある資産家が藍に援助を申し出た。資金に加えて情報網と新しい車も提供したいという。「それでわたしが味方につくと思ったの?」藍の返事はつれない。賄賂に操られた大人を昨日やり込めたばかりだ、多少は警戒しているのか。「わたしが欲しいものをわかってない。出直して」私の読みも甘かったようだ。
2016-01-12 19:10:36今日の天気は晴れのち紙幣。人々は道路上に散らばった恵みを必死にかき集めている。こうでもしないと富は還元されない、と誰かが屋根の上で叫んでいる。「本当に?」騒ぎをホテルの窓から見下ろす藍に訊ねられた。「そんなことはないかと」「同感」すると突風が地上を浚い、恵みをまとめて空に還した。
2016-01-13 19:55:45博物館のエントランスで古代生物の全身骨格に出迎えられた。私が立ち止まって頭部と目を合わせている間に、藍は巨体の足元を一周して戻ってきた。「昔はこういうのが普通にその辺走ってたんでしょ?」肯定を返しながら振り返ると、窓の外を巨大な生物が横切った。遠い昔の世界は案外今と大差ないのか。
2016-01-14 19:43:05140文字で描く練習、846。博物館。 彼らの世界ではしきりに「今は何時代なんだ」とか言われているかもしれない。 ここまで着きました。 今回のリクエストコーナーも、紙箱みど( @middlechronica )さん提供のキーワードからスタートです。
2016-01-14 19:44:21「まだ時間あるのよね?」藍は晩餐会の時間を確認すると、それに合わせて会場近くの高級レストランに予約を入れ、さらに複数の予定をねじ込んだ。夜になり、警察官が宿に来た。晩餐会に行ったかと問う彼らに、招かれなかった魔女は隙間なく詰めた用事を証拠付きで示した。「事件起こす暇なんてある?」
2016-01-15 21:37:55140文字で描く練習、847。隙間。 アリバイは作るのと崩すのとどちらが大変なのか。 今回の単語は、nay( @ljudscape )さんからいただきました。
2016-01-15 21:38:01