ガールズ&パンツァーの面白い考察

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インクエッジ @02Curry

こういう「謎本」的なウラスジを見立てるのはそりゃ楽しいが、肝心なのはそういう「物理的な話のすじ」でなくその先に「物語のすじ」が見立てられるかどうか。物語として綺麗に終わった廃校問題が蒸し返されるのはなぜか…というところ。ガルパンはエンタメストーリーと同時に作家性溢れるお話だから。

2016-01-04 09:32:12
インクエッジ @02Curry

「大洗の皆ひとりひとりの頑張りのおかげ」で解決したはずの廃校問題が蒸し返されるのは、他でもない「大洗の皆ひとりひとりの頑張りのおかげ」…というやるせないアイロニカルな構造に、戦車道という架空武道の歪みにのせた「求道」vs「スポーツ競技」の相克をTVシリーズから変わらず軸に置く。

2016-01-04 10:14:55
インクエッジ @02Curry

TVシリーズは、入門者や「それ」を見失いかけてた者が確たる「求道者」たちと戦い触れ合っていくことで遂に「道」を得る、取り戻す…というお話。続編たる劇場版ではそれを受けて立ち位置が一変し、晴れて求道者となった視点から道を持たざる者(文科省)にその戦いを持って知らしめる…というお話。

2016-01-04 10:19:02
インクエッジ @02Curry

「エンターテイメントとして続編に求められるスケールアップ度、劇場版としての華・お祭り性」と「さりげなく描き続けるテーマ面からの”続き”」を完全両立させるにはこれ以外なかったんじゃないか…と思える程、ガールズアンドパンツァー劇場版のプロットは「正当な続編」なんだよな。

2016-01-04 10:22:18
インクエッジ @02Curry

「ドイツ軍」車両をメインに据えた大洗そして西住黒森峰と対峙する島田大学選抜軍が「連合軍」の雰囲気を醸しているのは顔見世の初戦での機材からも窺えるが、だからこそ文科省が勝利至上で「ルールの曲解」をして強引にネジ込んだ「アレ」の無様さがよくわかる。カラーを濁す醜悪な怪物だ。

2016-01-04 10:28:56
インクエッジ @02Curry

そこいくと恐らくT28は、勝利至上を念押す文科省にたいする島田大学側としての最大譲歩だったのではないかと。あの再決定戦は文科省としては戦車同連盟の顔を立てるためだけのセレモニーであって、勝つこと「だけ」が絶対至上唯一の目標だ。あんな勝負イッパツで覆されるワケには絶対にいかない。

2016-01-04 10:32:04
インクエッジ @02Curry

「30対8の一方的な殲滅戦のうえにダメ押しでカールやT28を投入する」。高校大同団結軍でなく大洗8騎を抹殺するためだけにカールは用意されている。「絶対に」勝つ…これぞ無様の勝利至上主義の産物で、これを求道者が求道として覆すためにあれやこれやで踏みとどまり頑張るというのが最決定戦。

2016-01-04 10:35:56
インクエッジ @02Curry

こんなの絶対に勝てないってレベルの文科省の勝利至上主義を覆したのは、誰あろう「文科省側に立つ島田隊長その人」の決裁である…という展開がよくできている。文科省と同じ勝利至上であれば増員に否を唱えてそこで終わった。島田も求道者であり…「も」なんて言うのは失礼、求道者の筆頭格だから。

2016-01-04 10:40:00
インクエッジ @02Curry

どれだけ勝利至上主義に染まり策を目論み手配しようが、試合は試合をする者だけのもの。試合をするのは求道者・島田であり、そのたったひと言の応答で絶対勝利の絵図が御破算になる。戦車道とは戦う誰もが勝つため「だけ」でやってやしない…という文科省が否定する「根幹」にそっくり足元を掬われる。

2016-01-04 10:45:46
インクエッジ @02Curry

いやまぁ初っ端からすさまじい脱線したが、大洗の成績は西住「以外」の選手の技量に拠るところがすこぶる大きい。西住車のメンツも化物クラスだが、それ以外の車輌の優秀さは他校に引けをとらないどころじゃない。なかでも全員初心者だったバレー部はこれぞ「化物」と言える腕前を見せつけている。

2016-01-04 10:57:30
インクエッジ @02Curry

序盤こそフラフラ走って闇雲に撃つ「初心者」だったが、メキメキと技量をつけて、しまいには全高校全車輌のなかでトップから数えて片手以内に収まるんじゃないかってレベルの超優秀な戦車乗りに至ってる。百発百中の射撃技術、神業めいた操車技術。 pic.twitter.com/zZS9QALuzs

2016-01-04 11:00:10
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インクエッジ @02Curry

それがたいした戦果を挙げてないのは、ひとえに八九式中戦車という非力な機材を使ってるが故。さらにチーム全体の車輌編制から囮役に就くことが多く、腰を据えてガチバトルをする機会に乏しいってのもある。…「もったいない」よな。もっとマシな戦車を与えて然るべき体制に組み込みたくなる、でしょ?

2016-01-04 11:03:15
インクエッジ @02Curry

当人たちの愛校の心、絆、プライドなんかいっさい考慮しないのであれば、日本戦車道全体としての対・世界を視野に入れたスポーツ競技強化の観点からすれば、これはぜひ引き抜いて再配置したくなるw

2016-01-04 11:06:15
インクエッジ @02Curry

西住車なんですが、そりゃもうドライバー冷泉&ガンナー五十鈴の力量が突出してるのは言うまでもない。冷泉は完全な天才タイプでその際立った技術が披露される機会も多い。射撃が「当てる」しかないのに対し操車ってうごきとしてわかりやすいからな。 pic.twitter.com/VRKrnwHMMQ

2016-01-04 11:14:19
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インクエッジ @02Curry

半ばコミカルなOVA、そしてこの荒唐無稽極まれりな劇場版のアクション演出を経たことであらためて「力説」させていただくが、五十鈴選手の射撃技術も冷泉の操車以上の極みを最終的に会得している、「神」業としか言いようがない…現実にはありえない域の超絶技巧なんだってトコを解説したい。

2016-01-04 11:19:25
インクエッジ @02Curry

…これは放映当時も喋ってたことで、ミリオタパンオタの鳥取のおっさんには「いや狙ってソレは流石に無理でしょうw」と軽く一蹴されたハナシなんだが、今なら「あれは意図して試み見事成功している”神業”なんだ」とはっきり力説できる。

2016-01-04 11:22:05
インクエッジ @02Curry

「最終的には」というのはまぁ決勝戦最終話、最後の一騎打ちの戦いのことなんだけど、まずはこの鍔迫り合い双方ゼロ距離のラストシューティング合戦。黒森峰大将・西住まほ車であるティーガーIの背面を射抜いて撃破したIV号の一撃なんですが… pic.twitter.com/knQFFtU2Ro

2016-01-04 11:26:56
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インクエッジ @02Curry

「射抜いた」のは黒煙を上げてるこの部分。ここはティーガーI背面の弱点と言える部分、堅牢な装甲に覆われた車内から外部排気管が取り出される「開口部」なんだわ。装甲ゼロの完全な弱点。この排気管一本分しかない穴を狙って砲弾を撃ち込んだのよ。 pic.twitter.com/QsdMQq7qDf

2016-01-04 11:30:33
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インクエッジ @02Curry

停止射撃を請願するだけの超高度な射撃技術の成果がこれ。しかもこの穴、とうぜんのようにカバーに覆われてて外部からは目視することはできない。「0.5秒」といわれる照準の猶予だけで、目に見える排気管カバーと排気管越しに、その奥の開口部を見定めて一発で射抜いてるワケだ。ああ恐ろしい。

2016-01-04 11:34:10
インクエッジ @02Curry

まぁじつはコレにはさりげない「ご都合」の積み込みがあって、こんな「弱点」なんかホントは現実では放置されてないんだよね。排気管取り出し口に穴が開いてて防禦が無力なのは承知、なので実車はクソブ厚い「装甲」カバーで覆い隠してる。 pic.twitter.com/Hrmf2xc9qy

2016-01-04 11:39:29
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インクエッジ @02Curry

比較画を貼ったが、ガルパンモデリングでもティーガーIIはちゃんと排気管装甲カバーが取り付けられてて、そのかわりじゃないんだが円筒状の薄っすい排気管カバーはない。対しティーガーIは「何故か」装甲カバーが装備されてない。装甲カバーを取り付けるための切欠きは円筒カバーに存在するのに。

2016-01-04 11:42:38
インクエッジ @02Curry

なのでガルパン世界では黒森峰西住車のソコは弱点として有効になり、なので五十鈴射手はその弱点をきっちり突いて撃破する。素人の即席培養にあって停止射撃の精度はここまで高く、それ以上に「キモ」がそこまで座ってるのが五十鈴華という傑物なんだ。…なんだが、行進間射撃でも化物なんだよなぁ。

2016-01-04 11:46:52
インクエッジ @02Curry

メインに据えてる西住姉妹のお話でも「戦車の所作によるドラマ表現」は組み込まれており、回想シーンから続くふたりの「画にあらわれる関係」を、クライマックスでそれぞれの車輌を配役にして拡張・再演させている。決着の戦車アクションは「姉が複雑な心中で妹を送り出す」ゼスチャーなのね。

2016-01-04 12:59:35
インクエッジ @02Curry

最後の最後に勝利を決めたのは捨身の突撃、それ自体が全編揶揄されていた知波単戦術の大逆転の肯定劇だし、前後二輌による突撃フォーメーションは「何があっても前に進む」「犠牲を厭わない」西住流の精神をふたりがかりで実直にゼスチャーするものだ。それと同時に妹を波乱の外海に送り出す心中、

2016-01-04 13:05:08
インクエッジ @02Curry

喪失する寂しさが戦車の所作にあらわれる。自らの手で攻撃する…なれどそれは空砲であるという「劇中での西住まほの役割」そのものでもある。「試合の勝利」を確保するために「ひとり生き残る」役を受ける…西住流を守る役目を買って出るそのメンタリティ。ドラマの縮図が試合、戦闘そのものにある。

2016-01-04 13:11:19
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