これをこうして こうじゃ

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武井一雄💉💉 @meza3

3dB,6dB問題は単にエネルギー、波高と考えるとわかりやすい。けど奥が深くて楽しいです。

2016-02-01 18:11:10
武井一雄💉💉 @meza3

フェーダーを6dBあげるじゃろ、すると出力信号の波形は2倍の高さになるのじゃ。アンプの出力電圧は2倍になり、スピーカーに流れる電流も2倍になる。電圧2倍x電流2倍で出力電力も音響エネルギーも4倍になるのじゃ。逆に書けば、エネルギー2倍のときは3dB差ということになるのじゃ。じゃ。

2016-02-01 19:53:31
武井一雄💉💉 @meza3

では、ここにアンプとスピーカーがあるじゃろ。ピンクノイズを鳴らしたらPA席で100dBだったとする。もう一組おなじアンプとスピーカーを用意して同じ信号をパラで入力したらPA席の音圧はどうなるだろう?この先は実に深い話になるのじゃ。

2016-02-01 20:19:33
武井一雄💉💉 @meza3

スピーカを2台にするとどうなるか?それぞれのスピーカは独立したアンプで同レベルで駆動されるとする。大抵の教科書を開けば音圧は3dBあがるとあるだろう。正解は「3dBから6dBあがる」だ。ふたつのスピーカーから同距離で聞くなら6dB 、そうでもなければ3dBから6dBの間のどこかだ

2016-02-03 01:17:29
武井一雄💉💉 @meza3

スピーカを1台から2台にしたことで音響エネルギーは2倍になった。エネルギー2倍なら+3dBである。これは正しい。ただし2つのスピーカーから等距離にある点で聞くとこれはエネルギーの足し算ではなく波高の足し算になる。波形の高さが2倍なら+6dBじゃからな。ふぉふぉふぉふぉ。

2016-02-03 01:22:00
武井一雄💉💉 @meza3

おっとちょっと不正確だったかな。聞く場所によっては+3dB未満の場所もあるだろう。これも大事なことだけど今は考えなくていい。

2016-02-03 01:34:13
武井一雄💉💉 @meza3

さて、なぜ教科書には+3dBとしか書いてないのだろう?それは音響パワー2倍と問うたとき、それぞれの信号は相関関係が無いことを前提としているからだ。問題にしているのはエネルギーであり、そこには位相整合も不整合もない。相関関係のないふたつのピンクノイズの合成がこれにあたる。例えばだ。

2016-02-03 01:41:25
武井一雄💉💉 @meza3

さて2台のスピーカに同信号を同レベルで入れると1台に比べて場所によっては+6dB大抵の場所では+3dBくらい、場所によっては+3dB未満と書いた。+6dBになるのは2つのスピーカの真ん中の点を通る平面上だけだ。そこらの空間全体の平均では+3dBになるはずだ。エネルギーは保存される

2016-02-03 02:14:07
武井一雄💉💉 @meza3

では、ふたつのスピーカの距離が近いときと適当に離れている時では合成音圧に違いがあるだろうか?そう。それが大有りなのじゃ。飛ばすけどいいですか?スピーカ間の距離が、ある周波数の波長にたいして十分に小さければその周波数ではふたつのスピーカは同じ場所にあるとみなせる。

2016-02-03 02:22:23
武井一雄💉💉 @meza3

そんなことは常識だって?まぁPA屋なら誰でも知ってるだろう。だがしかし、もうすこし考えてみると実に面白い原理が見えてくるのじゃ。しかし、もう眠い。明日は武道館じゃ。もう寝るのじゃ。

2016-02-03 02:24:56
武井一雄💉💉 @meza3

どこまで書いたかな。そうそうスピーカの数を2倍にすると概ね3dB上がるけど、それぞれのスピーカから等距離の場所では+6dBだよという話だった。エネルギー加算と、波高加算の違いだ。そしてスピーカ同士をじゅうぶんに近づければひとつの音源として見なせるという話だ。では思考実験してみよう

2016-02-03 18:57:42
武井一雄💉💉 @meza3

ここにスピーカがふたつあるじゃろ?それぞれに100Wの電力が入力されるようにアンプと信号を調整したとする。最初にひとつだけ鳴らすとする。ピンクノイズでいいかな。PA席で100dBの音圧を得た。ではふたつのスピーカをPA席から等距離に置いて同時に鳴らすとする。

2016-02-03 19:03:49
武井一雄💉💉 @meza3

理論値ではPA席では106dBが得られるだろう。ふたつのスピーカからの音波は同時に、つまり常に同相で到達するので波高加算となるからだ。PA席周辺のそこらではまぁだいたい103dBぐらいになるだろう。少しでも距離差がでれば同時到達ではなくなり波高加算でなくエネルギー加算になる。

2016-02-03 19:08:34
武井一雄💉💉 @meza3

ではここにふたつのスピーカがあるじゃろ ( ^ω^) ⊃□  □⊂ これをこうして ( ^ω^) ⊃□□⊂ こうじゃ ( ^ω^) ⊃□⊂ スピーカ間の距離を零にしたとする。するとふたつのスピーカからの音はどこで聴いても同時到達すなわち+6dBじゃ

2016-02-03 19:50:13
武井一雄💉💉 @meza3

スピーカの数は2倍なのにどこで聴いても+6dB、つまりエネルギーが4倍になってしまった。このエネルギーはどこからやってきたのだろう?もしかしたらスピーカの質量が欠損してエネルギーに変換されたのだろうか? e=mc^2

2016-02-03 19:53:52
武井一雄💉💉 @meza3

PA技術の発展は古くから知られているの音響理論をいかに正しく実装に反映するかの歴史であって、ビンテージマイクだのプリアンプだのという袋小路に陥ったセカイとは全く異なる。過去に知識を持っていけば劇的な改善がすぐに可能になり歴史は書き換わる。

2016-02-04 08:35:46
武井一雄💉💉 @meza3

PA技術はまだまだ進化の余地があり、その必要もある。そうでなければこの仕事を続けてない。

2016-02-04 08:37:53
武井一雄💉💉 @meza3

知識を持って過去に行く技術者のハナシが好きな人は広瀬正の「マイナス・ゼロ」読むといいですよ。昭和30年代のAV機器メーカー技術者が昭和初期に飛んでデパートに並んだ電蓄の音質に唸るハナシとか。

2016-02-04 08:44:57
武井一雄💉💉 @meza3

思考実験を続けよう。アンプからそれぞれ100Wの信号を入力したふたつのスピーカーをこうしてこうじゃで+6dB。スピーカ2倍でエネルギー4倍になってしまった。では片方のスピーカの極性を逆にしたらどうなるだろう?そう。ふたつのスピーカの音は打ち消し合って無音になる。あれ?

2016-02-04 13:47:59
武井一雄💉💉 @meza3

100Wx2のエネルギーはどこへ消えてしまったのだろう?もちろんスピーカが電力を音に変換する効率は良くて数パーセントだからほとんどは熱になる。しかし、もともと音として放射されていたエネルギーはどうなってしまったのだろう?そのぶん物質に変換されてスピーカが重くなったのだろうか?

2016-02-04 13:52:13
武井一雄💉💉 @meza3

もう答えは明らかだ。同信号で駆動されるスピーカを距離0で鳴らせば、隣のスピーカが空気を「押してる」ときにさらに「押さなければ」ならない。スピーカは単独で鳴っているときよりキツイ仕事をするわけだ。その分ボイスコイルのインピーダンスが低下し多くの電流が流れ多くの電力が消費される。

2016-02-04 21:23:59
武井一雄💉💉 @meza3

そして隣のスピーカが逆相で駆動されて音がキャンセルされるならば、振動板は僅かな力で空振りして動く。仕事が楽になったぶんインピーダンスは上昇し電力は小さくなる。実際には入力した電力のうち音に変換されるのは数%でしかなく変動はこの部分だけなのでアンプからみた負荷変動はさほど大きくない

2016-02-04 21:30:21
武井一雄💉💉 @meza3

一方スピーカを隣接させることで音になるパワーが増えたとしてもコーン紙や支持部の機械摩擦などで浪費されるエネルギーはあまり変化しないはずだ。その分スピーカの効率がよくなると考えてもいいだろう。実際にはスピーカ間の距離をゼロにすることは出来ないがも波長に対して十分に近ければ良い。

2016-02-04 21:42:37
武井一雄💉💉 @meza3

ではどのくらい近づければ良いだろう?ひとつの目安は波長の1/4だ。例えば100㌹の波長は約3.4㍍だから85㌢以内に並べればよい。なぜ波長の1/4か?それ以上離すとふたつのスピーカの延長線上(←□ □→)では打ち消し合いで音圧が減少してしまうのだ。位相差90度での加算で丁度0dB

2016-02-04 22:22:16
武井一雄💉💉 @meza3

ここから先は指向性の話とかになるのだけど、そういうのは最近は知ってるひとも多いと思うのでまぁいいか。ほぼRTもファボもつかなくなったところでこの話は締めくくりとするのじゃ。

2016-02-04 22:28:18