- shiroboshi2
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口の端から涎を垂らしながら、彼は目をギョロギョロとせわしなく動かし、己の身体を見た。全身に蛆がわいている。「アアアーッ!!」手で払おうとするが、手が指先から崩れていく!「アアアーッ!!」暴れ回るナックルヘッド。もがくうちに、彼の装束から、何かが床に落ちた。13 #S57Ninja
2016-02-05 23:10:07「……ア?」ナックルヘッドはそれをまじまじと見る。注射器。中身が入っている。「あった。あった、あった」彼はそれを拾い、動脈に突き刺した。「アーイイ……たまらない……ウウウーッ!」中身が無くなった注射器を投げ捨て、再びナックルヘッドは暴れ回った。14 #S57Ninja
2016-02-05 23:15:11「アーイイ……へへ、へっは、ははーっ!」ソファーに腰掛けながら、ナックルヘッドは腹の底から笑った。床には六本、破損した注射器が転がっている。「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」カラテシャウトを発しながら、空中に向けて何発もチョップを振るうナックルヘッド。16 #S57Ninja
2016-02-05 23:20:07「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「おっと、アブナイ!」「アァン?」飄々とした声。ナックルはピタリとチョップを取り止め、目前に立つ男を見た。「なんだよ、シナジ。来てたのか」「ああ、ああ。実際今来たとこ……どうだい調子は」「遥かに良い。昨日も祭り、した」17 #S57Ninja
2016-02-05 23:24:37その昨日の祭りにも彼は来ていたような…………………彼は、実在しているのだろうか?薬が見せるまやかしなのでは? #S57NINJA
2016-02-05 23:27:14「そいつはいいな。俺も一度見てみたいもんだ、それ」「今度こいよ。今日もやるぜ。やるって言わなくても、あいつら、勝手に来る。俺を、テッペンを、俺を求めて」ナックルヘッドはボサボサの髪を撫でながら、ギラギラとした双眸をシナジに向けた。シナジははにかんだ。18 #S57Ninja
2016-02-05 23:28:44ナックルヘッドは豪快に笑った。シナジははにかんだ。「ウワハハハハ!……ハァーッ、なあ。シナジ」「どうしたよ、お友達」「俺はさァ、どうしようもない奴でさァ」ナックルヘッドは俯向く。「正直、不安で堪らないんだ……アマクダリ、また、くるかも」19 #S57Ninja
2016-02-05 23:34:56「やけにしおらしいじゃないか、どうしたよ?お前らしくもない。スゴイ奴だよ、お前は」「ちがう。ちがうんだ、おれ、俺はさ、そんなんじゃなくて……もっとくだらねぇ奴で……」ワナワナと震えながら、言葉を吐き出す。シナジははにかんだ。20 #S57Ninja
2016-02-05 23:39:51「ダイジョブさ、お前がくだらねぇ奴だったとしても、お前よりくだらねぇ奴はいっぱいいる……メグミのこと、覚えてるか?」「メグミ?メグミ、メグミ……ああ、ああ」ナックルヘッドは顔を上げた。シナジが目前に居ない。彼はいつの間にか、ナックルヘッドの隣にいた。21 #S57Ninja
2016-02-05 23:43:12「大学の……大学の時の、そう、あいつだ」「そう、そいつだ。メグミさぁ、ネコネコカワイイに負けないぐらいのアイドルになる!とか言ってたのにさ」「ウン」ナックルヘッドはシナジを見る。シナジはピンク色の服を着ていた。「いいとこまでいったのにさ、諦めてやがんの!」22 #S57Ninja
2016-02-05 23:47:41