「フラジール・ライブズ、シャッタード・ドリームズ」

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ジュセー @shiroboshi2

「そいつは……ダメだな」「だろ?今じゃ子育てに必死さぁ、夢も何もありゃしない生活してるよ」「ダメな奴だ、くだらねぇ」シナジの言葉に返答しながら、何度もナックルヘッドは頷いた。シナジははにかんだ。「だろ?次はダンバだ。覚えてるか、ナードの」「ウン、ウン」23 #S57Ninja

2016-02-05 23:51:29
ジュセー @shiroboshi2

シナジの言葉は、綿に水が染み込むようにナックルヘッドのニューロンに響き渡る。「あいつは今でも家にいるよ、仕事がないからね!下手くそなギター弾いて、ZBRを打つだけさ」「仕事がなくて、ドラッグ中毒?ダメな奴だ、ほんとに。くだらねぇ。ドラッグ中毒、ダッセ……」24 #S57Ninja

2016-02-05 23:55:23
@hiiragi_r_t_d

バカ、そりゃおめーだよ…………… #S57NINJA

2016-02-05 23:55:51
ジュセー @shiroboshi2

「他は、そうだなぁ……グゴロウは自殺したし、ジンバシはオーバードーズで死んじまった」「ウン、ウン……そうかァ、みんなダメになっちまったな」何度も何度もナックルヘッドは頷く。シナジははにかんだ。シナジははにかんだ。シナジははにかんだ。シナジははにかんだ。25 #S57Ninja

2016-02-05 23:58:38
ジュセー @shiroboshi2

「なぁ、シナジ。俺たちがもっともっと、もっともっと子供の頃はさァ、未来ってさァ、俺たちの未来ってさァ、もっとこう、輝いてるもんだと思ってた」「ワカル、ワカル」シナジははにかんだ。「昔ながらの街並みが良くてさァ、殴られることもなくてさァ」「ワカル、ワカル」26 #S57Ninja

2016-02-06 00:04:04
ジュセー @shiroboshi2

シナジ。はにかんだ。「おれの、俺、夢。バンド組んでさァ、ライブハウスでさァ、暴れたかったよ、アベ一休超えたかったよ。無理だった」「でも今、お前はテッペンだ」シナジ。「ウン、ウン。テッペン……俺だけのもんだ。あいつら、またよるにくるから」シナジ。はにかんだ。27 #S57Ninja

2016-02-06 00:09:33
ジュセー @shiroboshi2

「……アァ、シナジ。今夜もやるから……あれ」ナックルヘッドは首を傾げた。シナジの姿はいつの間にか消えていた。「変な奴……帰るなら帰るって言えよな」彼は不満そうにそう呟くと、ソファーの上で寝転んだ。夜まで、眠る。夜になれば、彼らの声で目を覚ますことが出来る。28 #S57Ninja

2016-02-06 00:14:56
ジュセー @shiroboshi2

廃棄されたネオサイタマの地下鉄、そのホーム。薄暗い中に、微かな光が灯っている。その朧げな光に照らし出される衆人。「「「テッペン!テッペン!テッペン!テッペン!」」」彼らは酒をあおり、口々に叫ぶ。跳ねる。腕を高々と掲げる。30 #S57Ninja

2016-02-06 00:19:56
ジュセー @shiroboshi2

「「「テッペン!テッペン!テッペ、ウオオーッ!」」」沸き立つ群衆!彼らの目線の先には、ホームへ降り立つための廃エスカレーターがある。そこから靴音を高々と響かせ、一人の男が現れた。ボサボサの頭髪、ギラギラとした双眸。彼の鼻から下は襤褸布で覆われている。31 #S57Ninja

2016-02-06 00:22:19
ジュセー @shiroboshi2

男はホームに降り立つと、廃線路上で狂喜する群衆を見渡し、「……」右腕を静かに上にあげる。すると群衆は一斉に静まり返った。「「「……」」」静寂。男はもう一度彼らを見渡し、言った。「ドーモ、お前ら!俺は!ナックルヘッド!です!……テッペン!」32 #S57Ninja

2016-02-06 00:25:14
ジュセー @shiroboshi2

ナックルヘッドが言い終えた直後、「「「ワオオーッ!テッペン!テッペン!テッペン!」」」群衆が再び沸き立った!彼らは片手に酒瓶を、もう片方の手にはボンボリを持ち、跳ね躍る。ナックルヘッドは満足そうに頷くと、靴音を響かせながら歩を進め、ベンチに腰掛けた。33 #S57Ninja

2016-02-06 00:27:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アイサツするだけしてベンチに腰掛けるのもおかしいよな…… #S57Ninja

2016-02-06 00:28:14
ジュセー @shiroboshi2

「フゥーッ……」彼は懐から注射器を取り出し、動脈に突き刺した。「遥かに良い、遥かに」「ヨー、ナックルヘッド。調子はどうだい」「実際安心だ」ナックルヘッドは隣に立つシナジの顔を見る。その風体は、如何にも無軌道大学生といったものだった。シナジははにかんだ。34 #S57Ninja

2016-02-06 00:34:22
ジュセー @shiroboshi2

「へへ、へへへ。良いだろ、こいつら。スゴイ、あがってる」「そうだな。懐かしいよな、昔お前がハコに乱入してブチかました時も、こんな感じだったよな」「ああ、昔、ほんとに昔さ……おい、お前ら!」ナックルヘッドが立ち上がり、ホームを歩き、群衆の方に向かう。35 #S57Ninja

2016-02-06 00:37:30
ジュセー @shiroboshi2

「「「ウオオーッ!テッペン!テッペン!テッペン!」」」「イケてるかァ!」「「「ウオオーッ!!」」」ナックルヘッドは満足げに頷き、叫ぶ。「ウォーオ!」「「「ウォーオ!」」」「ウォーオ!」「「「ウォーオ!」」」アウトローとのコール&レスポンスが響き渡る。36 #S57Ninja

2016-02-06 00:41:07
ジュセー @shiroboshi2

ナックルヘッドは無邪気に笑った。そして注射器を取り出し、動脈に突き刺すと、ベンチの方を振り返った。「やあ。コンバンワ」そこに、見知らぬ者が立っていた。シナジはいつの間にか消えている。「……なんだよ、お前はァ。俺は、テッペンだぞ……テッペン」37 #S57Ninja

2016-02-06 00:45:30
ジュセー @shiroboshi2

声音からして、その人物は男性だろうと判断できた。彼はミディアムブルーを基調とした鎧に身を包んでいる。フルフェイスのヘルメットと思わしき物の奥から、冷たい声がナックルヘッドに届いてくる。「ドーモ。インテンシティです」彼はオジギをした。38 #S57Ninja

2016-02-06 00:49:59
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