【お玉さんの読書マラソン】「名探偵図鑑完読作戦」第9部
『ダ・ヴィンチ・コード』ってオプス・デイ =特定の組織が聖杯に意味合いを持たせることに対し批判的に描き800ページ強の物語を走らせていたのに、ラストでのあの聖杯の隠し場所から連想される意味合いって、それまでの作品内容の全否定と自分には思えるわけなのだが……
2016-04-18 03:10:48さて、20個のツッコミですが、その問題点に対し自覚的であるならば、もう少し修繕されたカタチでの提示があったと思うわけなんですよ。 何なんだろう……。 正直、自分の中では『ダ・ヴィンチ・コード』って『リアル鬼ごっこ』の原形バージョン以下の評価なんですよね。
2016-04-18 03:11:31キリスト教のアレやコレやを書きたい & 書くぜ! でアタマがいっぱいだったのかな?? アドバイザーとか誰もいなかったのかな?? ストーリー進行の根幹及び末節のいたるところがノリと勢いのまま放置され、理路整然に小説を見せるという努力が完全に放棄されているんよね (´Д` )
2016-04-18 03:11:55「これは全て事実である」の一文を設けることでウンチク部分に対しての考えをストップし、視点をコロコロと変えることでの状況説明中心でストーリーを進め登場人物たちが思考を巡らすことをストップさせ、作品内での数々の矛盾も作者の都合を優先し整合性を整えることをストップさせている。そんな小説
2016-04-18 03:13:03何か光る点や熱量を感じさせる勢いがあったら、致命的な点も棚に置いてその部分を楽しむことが可能なのだが、『ダ・ヴィンチ・コード』には虚無だったというのが自分なりの結論でございます。 まぁ、20万円くらい貰えるなら良い部分を探さないこともないけど、そんなウマイ話はないんだよね
2016-04-18 03:13:14というわけで全3回に渡ってお送りした「ここがダメだよ『ダ・ヴィンチ・コード』」でございました。 ふぅ〜。 よし! 次回からは別の探偵さんですわ(幸せ♫) ではでは〜 pic.twitter.com/hGx4NxAJK4
2016-04-18 03:13:32さて、名探偵図鑑完読作戦でございます。コナンくんの66巻で紹介されているのは「仙波阿古十郎」、通称・顎十郎! 奉行同心が首を捻る奇妙な怪事件をアッと言う間に解き明かす。 「こいつぁ、いけねぇ」 pic.twitter.com/Q0cGVcwLue
2016-04-20 02:11:56久生十蘭の『顎十郎捕物帳』ですね。昭和14年から15年の2年の間に集中的に書き上げられた総数24本の捕物帳。 実は久生十蘭って全然読めていなかったりします(創元の日本探偵小説全集も十蘭の巻だけ未読) 良い評判しか聞かないので、自分の中でハードルが上がりすぎてる作家さんの一人ですね
2016-04-20 02:12:55朝日文芸文庫バージョンだったら、顎十郎短編の全24本がコレ一冊にまとまっているのでお買い得ですよ。表紙がひたすら意味不明ですが、カッチョいいぜ。 pic.twitter.com/oo6EzhvEqB
2016-04-20 02:13:27仙波阿古十郎は基本陽気な三枚目。怪事件に対しても必要以上に苦悩することなく飄々と挑む。 しかし、長い顎にコンプレックスを持っておりその顎を小馬鹿にされると性格が豹変、刃物を引き抜き相手を叩き斬ったりするのでクレージーでダイヤモンドな主人公だ……、こわっ
2016-04-20 02:14:10(まぁ、顎のことをバカにされると相手をブチ殺すくらいブチキレるという設定が有効活用されるのは24本中たったの1話だけで、すぐにこの設定が忘れ去られてしまうのもクレージーでダイヤモンドなんだよね。 「ヘイ、ペリカン野郎」 モハメド・アリと顎十郎はどちらが強いのだろうか?)
2016-04-20 02:14:56さて『顎十郎捕物帳』なんですが、最初の何話かは岡本綺堂の『半七捕物帳』の水脈からの派生を感じさせる気骨ばった生真面目な作風の捕物帳なのですが、途中から肩にチカラが全く入ってない、ものすごぉ〜くユルユルで明朗快活なお話になってしまいます。突き抜けた陽性!
2016-04-20 02:15:55色気のある文章とでも言えばイイのかな? 異常なまでに抑揚のある達者な文章でお話は綴られ、一歩踏み込んだ江戸の風俗のウンチクでお話は彩られる。 しかし、顎十郎が関わり合う事件は「コレ、30秒くらいで考えたのに違いない」脱力系のトリックばかりだったりするのよね♫
2016-04-20 02:16:3924本の捕物短編を一気に読んだら多分ご立腹すること受け合いな脱力系トリックばかりなんだけど、う〜〜ん、一週間に一本くらいのペースで読んだら楽しいことこの上なしの短編集なのよ。 顎十郎の陽性とチープなトリックの親和性が異常に高いんよ。明るく楽しい捕物帳。王道中の王道。庶民の味方。
2016-04-20 02:17:2424本しか書かれていないのに設定がコロコロ変わりまくるのも、作品に変な拘りや変な思い込みを抱きすぎていないのが見えて楽しい。暗めの題材のお話においても軽妙洒脱さを感じさせてくれる顎十郎の活躍譚をノビノビと展開しているのが分かるのよね
2016-04-20 02:17:52事件の諸要素の絡まり等々のみんなが大好きな久生十蘭そのものの作風で書かれたと思われる初期短編での少し陰のある顎十郎 → イケてる同心との推理対決モノとなり知識量の差で勝利をモノにする中期の顎十郎 → 奉行を辞めて市井の駕籠かきに転職、奉行所の後輩の相談を聞く後期の顎十郎
2016-04-20 02:18:10おそらく30秒くらいで考えた脱力トリックは特殊な知識を背景にしているモノが多い。青山先生オススメの「遠島船」も、流石に初期顎十郎なので複合的な要素で処理されており、そこがいちいち上手いのだが、メインのネタは普通の人が知らないような特性をベースにした物理トリックだったりする
2016-04-20 02:18:37おそらく10年前の自分だったらそんな物理トリックの連続に辟易してたと思うが、年齢を重ねたのだろうか? こういった一見盛り付けは絢爛だけど、中核は案外シンプルなモノ、作者にアイディア到来→脊髄反射的執筆みたいな気負いのない作品を素直に楽しめるようになってきているんだよね。
2016-04-20 02:19:30けど、連続して読むと「ナンダ、コレは??」となってしまうので、ワイにもまだギラギラした何かが残っているのだろう? 少しばかりの余裕を作って煎餅でも齧りつつ読む! おそらく、それがジャスティスな捕物帳なのだろう。 ある意味『半七捕物帳』とは真反対の捕物話だったりする
2016-04-20 02:20:43というわけで「仙波阿古十郎」でございました。顎十郎が唐突に駕籠屋さんに転職してしまうのはかなりビビりますぞい、と。 では、また次回〜♫ ではでは〜♫
2016-04-20 02:21:30