ハリウッド映画のセリフ台本が高校英語の教科書になっている件について

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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ハリウッド映画の和訳台本を英語教材として発売している会社が、高校の英語の教科書も手掛けていることを今日知りました。実物を目にしてとても驚きました。今検索したら2003年からずっと出ているのですね。むろん文部科学省の教科書検定を通ったものです。

2016-02-09 17:58:57
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

『英国王のスピーチ』まで載せられていました。

2016-02-09 18:00:16
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ただ学校英語の英文法では分析しきれないことがあるので、教師の力量が問われますねこの教科書だと。

2016-02-09 18:01:27
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

今の高校では英語は三科目です。

2016-02-09 18:02:53
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

・「コミュニケーション英語(基礎, I , II, III, うち I が必修)」- 聞く、話す、読む、書くを総合的に学習 ・「英語表現(I, II)」- 話す・書くを中心とした表現活動を学習

2016-02-09 18:03:30
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

・「英語会話」 - 聞く・話すを中心とした会話活動を学習。旧教育課程のオーラルコミュニケーションを主に継承 ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1… から引用

2016-02-09 18:03:56
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ハリウッド映画の台詞を英語教科書にしたのは、このうち「英語表現」用のものでした。ほかの科目についてはないようです。

2016-02-09 18:06:26
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ハリウッド映画を英語の授業に使うのは私も面白いと思います。けれども実際にそういう教科書を眺めてみると、ちょっとどうかなーという気になります。口語表現を学ぶのに使うよりは、文法の基礎をおさらいするのにこそ最適だと思うからです。

2016-02-09 18:09:12
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

時制をしっかり理解させるのに映画教材は最適だと考えます。とりわけ未来時制のニュアンスを生徒にわからせるのにとても使える。

2016-02-09 18:10:25
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

例によって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から。雷を使って1985年に戻る準備中、主人公マーティが博士に、あなたはテロリストに暗殺される運命だと打ち明けようとすると博士が制するところ。「未来のことを知ってはいかんのだ」

2016-02-09 18:12:20
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

"Whatever you've got to tell me I'll find out through the natural course of time."(わしに話さねばならないことがあるとしても今は言ってはならん、それはその時が来ればわかることなんだから)

2016-02-09 18:15:14
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ここで博士は未来時制として I'll find を使っています。I will でもなく I'm going to でもなく I am going to でもなく I'm finding でもなく I am finding でもなく I'll be able to でもなく。

2016-02-09 18:17:40
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

I'll be finding でもないし I'll be able to でもなければ I will be able to でもない。どうして I'll find なのか、説明できるでしょうか。理由はちゃんとあるのです。

2016-02-09 18:19:12
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

I'll は未来というよりは今その瞬間における意思表明なのです。I will ですと「誰がなんというと必ずやわしは」のニュアンス。男の意地を見せるぜ、な感じになってしまう。博士はあくまで「時が来ればわかることなんだから今は知ろうとわしは思わん」とマーティに意思表明している。

2016-02-09 18:22:38
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

未来時制とされるいろいろな言い回しの、微妙なニュアンスの違いを生徒にわからせるには映画はとても使えます。

2016-02-09 18:23:33
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

ああ、こういう教科書です。有名映画のセリフをいっぱい引用していて華やかなのはいいのですが pic.twitter.com/G8vSxgpQyC

2016-02-09 18:30:49
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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

横線が入っていますね。あいさつ文です。こういう定型的あいさつ文を身につけましょうという編集方針になっています。ここが少々気に入らない。中学で教わった文法をニュアンスの違いまで踏み込みながらおさらいする構成ではないからもったいない。 pic.twitter.com/Ond8jT3TSD

2016-02-09 18:33:11
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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

本当は "I trust that you will be responsible for your guest." "I'll be the perfect hostess." に線を引いて、助動詞 will の用法を再確認させる教材にすべきなのですが。

2016-02-09 18:35:18
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

『赤毛のアン』で、アンがおとなりの女の子(同い年)ダイアナを家に迎えてお茶でもてなす場面。養母のマリラがダイアナを招き、アンに接待を命ずる。「お客様のもてなしはあなたがするのですよ」「うん完璧にやってみせるわ」

2016-02-09 18:38:23
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

you will は上から目線です。一方で I'll だと自分の意思表明のニュアンス。同じ will でも主語が you から I に変わって、そして短縮形になることで全然違う意味合いに変わる。この妙を味わってください。

2016-02-09 18:40:42
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

生真面目なマリラと、いけいけどんどんおちゃめ娘のアンの対比が、will を介して鮮やかに描かれているのです。

2016-02-09 18:42:07
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

私が映画を使った英語の教科書を執筆するなら、こんな風にやるのですが、実際の教科書は「英語表現」の枠から外れることができないのか、ごくあたりさわりのない定型文の紹介に留まっている。

2016-02-09 18:44:16