描写の原理~人称~

小説の人称表現について興味深いTweetがあったのでまとめました。
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アライさん流まんまるまる亭 @skryta

今日は、描写の原理について考えていたのだよな。

2016-02-15 00:25:51
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

描写について、よく言われる手法は、「五感を刺激するように描く」ということだ。この背後には、「イメージは、五感から入力された感覚刺激を単純に加算したものだ」という概念モデルがある。しかし、実際には、イメージは、感覚刺激の単純和ではない。

2016-02-15 00:33:53
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

そのため、描写のパフォーマンスを上げるためには、別の概念モデルを採用することが必要となる。というのが、問題の所在なわけだ

2016-02-15 00:34:14
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

描写には、 ①描写する主体 ②描写される対象 この二つがあるのだよな。観客は、①を通して、②を把握するのだよな。だから、①を提示した方がよいのだよな

2016-02-15 00:36:23
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

例えば、「美少年がいた」という描写は、 ①へテロ男 ②ホモ男 ③へテロ女 ④ホモ女 それぞれで、全然、意味合いが異なるのだよな。通常、他人の話を聞くときは、こういう、「描写する主体の属性」を踏まえた上で、情報処理しているわけだ

2016-02-15 00:40:11
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

こうやって考えると、一人称三人称は、欠陥がある叙述方法なのだよな。一人称三人称では、作者が神として、作中のありとあらゆるものを解説していくわけだ。だけど、作者がどういう属性を持った人なのかは、提示されないのだよな。だって、神だから。

2016-02-15 00:47:13
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

多くのラノベは、単純一人称を採用しているけど、「描写する主体」の問題が理由の一つとしてあるのではないかという気がする。つまり、「描写する主体」がどういう属性を持つかが提示されないと、実際には、かなり読みにくくなるのではないか

2016-02-15 00:49:27
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

ということで、「一人称三人称で、『描写する主体』の属性を追加するとどうなるのだろう?」ということを考えていたのだよな。何となく、これが三人称一人称なのではないかなと思うのだよな。

2016-02-15 00:51:50
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

だから、小説の描写は、「描写される対象をどう描くか?」より前に、「描写する主体をいかに提示するか?」という問題があると思うのだよな。そう考えると、単純一人称か三人称一人称を採用するのが無難なのではないかな

2016-02-15 00:55:53
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

「単純一人称は、意外と難度が高い」ことはよく言われるけど、実際には、一人称三人称も、それなりに難度が高いのではないか? だって、作者である私の人となりを知らない人が読んでも、伝わるように叙述しないといけないわけだから

2016-02-15 01:02:48
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

「人となりが分からなくても、伝わる描写」は、かなり難度が高いと思うのだよな。例えば、朝日新聞の記事にしても、「朝日の新聞記者が書いた文章だ」というのを踏まえた上で、読むわけだから。だから、描写する主体が全然分からない文章は、一人称三人称の小説でもない限り、なかなかないのではないか

2016-02-15 01:08:59
アライさん流まんまるまる亭 @skryta

「語り部のキャラクターをどうするか?」という問題を少し考えたことがあるけど、少なくとも小説の場合は、これを作中でハッキリと提示した方がよいと思うのだよな。多分、その方が読みやすくなる

2016-02-15 01:11:03
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

↓小説の文章が読者に予測をさせるための情報である以上、正確さや五感の再現性よりも「受け手にとって次の展開を予測しやすい」ことが重要。従って、特定の視点で書いた方が読者の予測がし易いため、ライトノベルに限らずヤングアダルト系では編集者が作家に一人称で書かせたがる……

2016-02-15 01:28:39
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

@toriyamazine ……と言いたいところなんだけど、実態は一人称三人称や完全三人称の方が文章技術の選択肢が多い分だけ難易度が高く、初心者や技術力の低い作家にやらせると確実に失敗するのでやらせたくないんでちゅ。完全一人称は、主人公の見たモノや知識以外は出せないという……

2016-02-15 01:31:07
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

@toriyamazine ……かなり強い制約がある反面、これを裏返すと「次に何を書かなきゃいけないのか」が作家初心者にも分かり易いというメリットもある。そして、主要登場人物の数が5~6人前後だったら「次に何を書けばいいか分かり易い」というメリットの方デメリットよりが大きい。

2016-02-15 01:33:42
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

@toriyamazine 問題は常に登場人物の数なのだ。敵味方で入り乱れて20人前後のキャラクターを動かさなければいけない作品で完全1人称を選択するのは自殺行為に近い。だから、古い作家はこの手の作品を書くときに神視点=一人称三人称を使っていたんだが、ホラー業界から……

2016-02-15 01:35:52
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

@toriyamazine スティーブン・キング大先生がやって来て、三人称一人称を定着させた=パラダイムシフトを起こしたので、一人称三人称が割と「古臭い」表現技法になったという過去がある。今なら逆に新しく見えるのかもしれないが。

2016-02-15 01:38:07
鳥山仁@冬コミ・12月31日(金)東地区M-22a「開巻書房」 @toriyamazine

@toriyamazine まあ、ただいずれにせよ小説の「新技術」は、ほぼ100%の確率でただの省略形なので、「これが新しい文体なんですよ!」と言われても顔が能面になるだけなんだが。パンチもキックも関節技も投げ技も使えた方が良いに決まってるのに偉そうなことを言われてもなあ(怒)

2016-02-15 01:41:58