中二の英語の教科書を添削してみる

簡単と思ったら、とても難しい
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It happens sometimes @ElementaryGard

中二の英語教科書から。花火師になりたいという女の子のスピーチ。あまりにめちゃくちゃな英文(ならびに志望理由)にうんざりして、文を添削してみようと頑張ったところ、難しくてもっとうんざりしてしまった。 pic.twitter.com/365bb5QBxT

2016-02-17 19:28:59
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It happens sometimes @ElementaryGard

"First, making fireworks is worth doing."(第一に、花火作りはする価値があるから) もう立ち直れないほど手の入れようがない。あなたはどうして花火作りがそんなにする価値があると思うの?と嫌でも聞きたくなる。@kumi_kaoru

2016-02-17 19:31:49

たかが13や14歳で自分の将来を、それも花火大会に感激して花火作りについて話を聞いたぐらいで決めてしまうのは不自然ではないのか。

It happens sometimes @ElementaryGard

知恵を絞った末に、私ならこう整える。 "First, I believe making fireworks is really something."(第一に、花火作りは素晴らしいと信じるからです)@kumi_kaoru

2016-02-17 19:33:45
It happens sometimes @ElementaryGard

せっかく dream という詩的なことばを使うのなら "I have a dream of becoming a fireworks artist." のほうがいい。@kumi_kaoru

2016-02-17 19:41:12
It happens sometimes @ElementaryGard

ツッコミを入れるのは簡単でも、文法的にも論理の点でもきちんと整えるのは本当に難しい!文部科学省の学習指導要領に沿うように整えるとなると、もっと難しい。自信喪失。

2016-02-17 19:44:38
It happens sometimes @ElementaryGard

英文で書かれてはいるけれど、実態は日本語で、その見えない日本語原文を脳内で想像しながら、その想像の原文をもとに改めて英訳していく…にとどまらず、想像される日本語原文の論理の狂いまで整えてあげたうえで英訳をするのだから、いったい何重手間なんだろう。

2016-02-17 19:53:12
It happens sometimes @ElementaryGard

"But if I make them, I can have fun and give pleasure to others."(けれどももし私が花火を作れば、楽しみを得られるしほかのひとたちを楽しませることができる) もう何が何だかわからない。

2016-02-17 20:05:09
It happens sometimes @ElementaryGard

たぶん「花火作りは危険だしとても難しいと花火師のおじさんたちから直接教わったけれど、もしこの手で作ることができたら、きっとわくわくするだろうし観客に楽しんでもらえると思うと、胸が高鳴ったのです」と言いたいのです。

2016-02-17 20:07:50
It happens sometimes @ElementaryGard

そこで直す。"But they said that firework-making is really exciting. I was impressed that they are very proud of giving pleasure to people."

2016-02-17 20:13:35
It happens sometimes @ElementaryGard

ところがこの文だと中二で教えていい文型から逸脱してしまうため、教科書に載せても検定落ちします。

2016-02-17 20:15:05
It happens sometimes @ElementaryGard

"But they said that firework-making is really exciting. I was impressed. Fireworks give pleasure to people." これでも検定を通らない可能性が高い。

2016-02-17 20:17:41
It happens sometimes @ElementaryGard

元の文を直接法から仮定法に変えれば済む、とたかをくくっていました。ところがその手が効かない相手です。論理が壊れてしまうから。

2016-02-17 20:19:10
It happens sometimes @ElementaryGard

どうしてピーターセン教授が中学英語教科書に目を通して、ああもうんざりしていたのか、今こそわかる。これはひどい。日本語ネイティヴだからこそ彼より深く深くこれらの文の欠陥がよくわかる。作成者の頭の中が読めるから。

2016-02-17 20:20:49
It happens sometimes @ElementaryGard

教科書英語を読んでいると腹が立つ。どんな言語であっても母語ではない外国語の場合、公的な場所に出す文にはネイティヴによるチェックが絶対に欠かせない。何度も痛い思いをしながら次第にコツや理屈を会得し言語化できるようになっていく。そういう痛みを教科書作成者が味わっていないのがわかる。

2016-02-17 21:26:14
It happens sometimes @ElementaryGard

"In conclusion," の使い方が唐突。これは "In conclusion, two problems are revealed."(結論としては、問題点が二つある)という風に使う。 pic.twitter.com/k2rMNzutnU

2016-02-18 07:28:31
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It happens sometimes @ElementaryGard

"Such memories give pleasure to everyone."(そうした思い出がひとびとを喜ばせる) 花火がひとびとを喜ばせるのはわかるけど、花火の「思い出」はいちいちひとを喜ばせないのではないでしょうか。

2016-02-18 07:34:40
It happens sometimes @ElementaryGard

"So, I want be a fireworks artist."(それで私は花火師になりたい) so をここで使うのはおかしい。花火は一瞬だけど思い出は永遠である、それは素晴らしいけれど、だからどうしてあなたがそういう花火を作りたいと決意したわけ?とつっこみたくなる。

2016-02-18 07:42:02
It happens sometimes @ElementaryGard

"That is my dream." における that は何を指すのだろう。この論理展開だと "I have a lot of things to learn. But I will do my best."(学ばねばならないことがたくさんある。だけど一生懸命やる)のことか?

2016-02-18 07:45:06
It happens sometimes @ElementaryGard

それから接続詞がbutではおかしい。すべきことがたくさんある「から」一生懸命やるのではないか。ならば "I have a lot things to learn, and I will do my best." とする。

2016-02-18 07:46:38
It happens sometimes @ElementaryGard

接続詞「が」は but と同じではない。これは副詞節と本節をつなげる役目を担った接続詞です。文脈しだいで but と同じように働く。

2016-02-18 07:49:36
It happens sometimes @ElementaryGard

このスピーチ、架空のものなのか、日本語で実際にこういうスピーチがなされたのか。原文を見ないと整えようがない。

2016-02-18 07:53:36
It happens sometimes @ElementaryGard

浮世絵に言及して花火が日本の誇る文化と持ち上げる…クールジャパンの空気を意識した内容。いかにも今風で、教育委員会に好まれそうな紙面。各地方自治体の教育委員会が採用教材を選ぶから、どうしてもうけのよさそうな題材が教科書でも選ばれる。

2016-02-18 07:56:58
It happens sometimes @ElementaryGard

"I have a lot things to learn, and I will do my best." 学ばねばならないこととは、いったい何だろう。花火作りの技術のことなのか?もしそうなら触れるべき。それとも学業も含めてと話者(というかこの教科書の作成者)は言いたいのか?

2016-02-18 07:59:26