【羽根っ娘SS】ラブレター

羽根っ娘が淡い恋心をしたためたラブレターを届ける話です。(リョナ要素は)ないです
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CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

20XX年、イギリスは羽根っ娘による郵便配達事業を開始。これにより不配や遅配の件数は劇的に改善される。それまで荷物の抜き取りや再配達の遅さが問題になつていたが窓から直接投げ込む方式によって配達事情は改善。しかしそれまで郵便事業に従事していた労働者階級の反発を招いた。

2016-02-23 22:24:33
きのこづ @Kinoko3416

これは職にあぶれて路上生活に叩き落とされ妻子に逃げられた汚っさんに路地裏レイポゥされるやつですね

2016-02-23 22:32:36
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

はっじまっるよー 今回は「ラブレター」がテーマだよ #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:02:20
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

窓を叩く音に僕は振り返った。窓を開けると、2月の冷たい風と元気な声が飛び込んできた。 「郵便です!」 スカイブルーのシャツにオレンジの反射ベストを羽織った配達員は、人ではない。 「いつも済まないね」 「今日は3通です」 羽根つき、背中に翼を持つ彼女たちを皆そう呼ぶ #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:04:01
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「どうぞ」 赤い配達鞄から封筒を取り出し、僕宛であることを確認して渡す。 「ありがとう」 「じゃ!」 彼女はそう言うが早いか窓枠を蹴って飛び立つ。 「今日も元気だな」 その後ろ姿を見送ってから僕は窓を閉めた。 彼女たちが来てから、この国の郵便事情は劇的に改善した。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:08:18
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

やる気のない配達員たちに代わって登用された彼女たちは ドア・トゥ・ドアならぬウィンドウ・トゥ・ウインドウで街中を飛び交い、 窓から郵便物を直接渡すことで配達の確実性を向上させた。 不配や遅配も減り、郵便を利用する人も増え始め、郵政公社は2年で黒字になった。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:12:44
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

入り組んだ街中は車より飛んだほうが速い。 重い荷物は運べないが、手紙や封筒程度なら数ブロックを半分近くの時間で配達し終わる。 何より、薄汚い中年の配達員に渡されるより、若くて愛想のいい彼女たちから受け取ったほうがいい。 瞬く間に配達員は羽根つきに取って代わられた。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:15:20
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

冬の冷たい空気を、私の翼が切り裂く。 次は6番街のひげもじゃのおじさんのところ。 この前再配達に行った時「窓は開けてあるから投げ込んでくれ」と言っていた。 おじさんの言っていたとおり、窓は半開きになっていた。 封筒を投げ込み、右へ旋回。7番街へ向かう。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:20:01
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

私は7番街が好きだ。「さっさと行け」と羽根つきを追い払うようにする人たちが居ないし、何よりあの人がいるから。 ――いつも郵便物を受け取って「ありがとう」と言ってくれる数少ないお兄さん。 身なりからして中産階級なのだろう。いつも綺麗な服を着ていて紅茶の匂いがする。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:25:25
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「郵便です!」 窓をノックすると、お兄さんは窓を開けてくれた。 「いつも済まないね」 「今日は3通です」 宛名が合っていることを確認して彼に手渡す。 「どうぞ」 「ありがとう」 今日も言ってくれた。 彼と目が合い、なんだか恥ずかしくなって私は急いで飛び立つ。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:30:27
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「じゃ!」 火照った頬を冷ますように、何度も羽ばたく。 彼の優しい目を忘れるために、自分の馬鹿げた考えを頭から追い払うために。 私は羽根つきで、彼は人間。階級も違う。 けれど馬鹿げた考えはこびりついたまま、風で飛ばされることはなかった。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:33:56
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

朝10時、いつもどおり私は仲間たちとともに郵便局の屋上から飛び立った。 散開した私たちは受け持ちの地区へと向かう。 いつも重い配達鞄が今日だけは軽く感じられた。 それは鞄の中に隠した切手のない手紙のせい。彼に向けて書いた、私からの手紙。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:40:24
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

私の配達は3番街から始まる。受け持ちの地区の中では一番治安の悪いところだ。 街区ごとに配達を割り振られるせいで、私は朝からここを飛ばなければならない。 「郵便です」 でも、今日は違う。 「さっさと行っちまえ!」 冬の風より冷たい言葉にも、私の翼は止められない。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:46:47
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

郵便鞄の中に残ったのは封筒が一つと、彼宛のラブレター。 早く配達を終わらせて彼の元へ飛んでいきたい。 「きゃうっ!?」 衝撃で、私は一瞬何が起こったのかわからなかった。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:53:07
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「捕まえたぞ」 「へへへ」 「この日が来るのを待ってたぜ」 男たちの声が聞こえる。意味がわからない。 「起きろよっ!」 「あぐっ!?」 脇腹に痛みが走り、蹴られたのだと分かった。 「オラァ!」 逃げようとした私のお尻が蹴飛ばされ、私は水たまりに倒れ込んだ。 #羽根っ娘SS

2016-02-23 23:59:10
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

口の中に泥水の味が広がる。 「うぐっ、げほっ……どうして……?」 私の疑問には、暴力が返ってきた。 「てめぇらのせいで俺たちは仕事がなくったんだよッ!」 襟首を捕まれて酒臭い息を吹きかけられる。 ――そうか、この人達は「元」配達員。私達のかわりにクビになった人たち #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:04:14
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

逃げないと。 翼を広げ、感触を確かめる。大丈夫、飛べる。 もつれる足で駆け出し助走をつける。翼を広げ、軽く羽ばたく。 「いぎっ!」 男の一人が投げた石が私の右腿に当たり、私は無様に石畳の上を転がった。 「羽を折れ! そうすれば逃げられねぇ!」 「い、いや……」 #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:08:51
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

――どうか、それだけは。 男たちの手が、靴底が私を冷たい石畳に押し付ける。 「やっちまえ!」 「嫌ぁーーーー!」 ごきり 「ああああああああああああ!」 私の翼は、砕かれた。 「へへへ、これで逃げらんねぇぜ」 「たっぷり可愛がってやるからな」 激痛、恐怖、絶望 #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:13:44
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「鞄はどうすんだ?」 「ゴミ捨て場にでも置いとけ、どうせわかりゃしねぇ」 「あ、あぁ……」 すてないで。 「なんだ、仕事熱心だなぁ羽根つき様は!」 私の目の前で配達鞄がひっくり返され、中身が踏みにじられる。 彼宛の、ラブレターも。 「う、うわぁあああああああ!」 #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:17:11
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「今日は遅いな」 僕は紅茶のカップをソーサーに置き、窓へ目を向けた。 いつも11時には郵便が来るはずだが、今日は12時になっても来る気配がない。 窓を開けて通りを見渡すが、いつもの町並みが広がっている。 オォン、とバイクのエンジン音が聞こえるだけだ。 #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:25:29
CK/旧七式敢行⚖ @CK_Ariaze

「オービスより07、3番街で暴行事件。制圧せよ」 「了解、07移動中。5分……いや3分で着く」 #羽根っ娘SS

2016-02-24 00:26:20

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