風俗は死んだ、俺たちが殺した  坂爪真吾『性風俗のいびつな現場』を読んで考えたこと

坂爪真吾『性風俗のいびつな現場』を読んで考えたことをまとめました。
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倉沢 繭樹 @mayuqix

本書は冒頭から、「風俗の死」について語る。「私がゼミで風俗の研究をした翌年の二〇〇四年、東京都・警視庁・警察庁が一体となって進めた繁華街の浄化作戦により、無届けで営業していた都内の店舗型風俗店のほとんどが壊滅した。

2016-03-01 23:10:15
倉沢 繭樹 @mayuqix

歌舞伎町、横浜黄金町、埼玉西川口など、有名な風俗街が次々に浄化されていった。浄化作戦後、多くの風俗店は看板を出さずにインターネット上で広告宣伝を行う無店舗型に移行し、表社会から見えにくくなった」。著者はこう続ける。

2016-03-01 23:10:45
倉沢 繭樹 @mayuqix

「現代は、言うなれば『風俗が死んだ後の世界』である。店舗という『パンドラの箱』を開けてしまった結果、風俗は無店舗型という目に見えない『亡霊』になり、繁華街の路地裏から浮遊・離散して、社会の見えない谷間や隙間に潜り込み、溶け込んでいった。

2016-03-01 23:11:17
倉沢 繭樹 @mayuqix

それと同時に、店舗という箱の内側に封じ込めていた様々な『災厄』=性を売り買いする当事者に降りかかるリスクやスティグマ、副作用や後遺症も、目に見えない形で一斉に解き放たれることになった」。

2016-03-01 23:11:45
倉沢 繭樹 @mayuqix

現代の性にまつわるサービス、ガジェットは、少し詳細に探索すれば、百花繚乱の様相を呈している。性的嗜好、性癖などにあわせて極めて細分化され、多様化している。本書で紹介される、妊婦・母乳専門店、激安店、「デブ・ブス・ババア」を集めた「地雷専門店」、熟女専門店などは、

2016-03-01 23:12:45
倉沢 繭樹 @mayuqix

その一端を垣間見させるのに充分だろう。しかし、そこで働くのは、生活のある生身の女性たちである。彼女たちの抱える困難・問題を通して、逆に私たちの社会の側の困難・問題が浮き彫りになる気がする。

2016-03-01 23:13:32
倉沢 繭樹 @mayuqix

なぜなら、風俗店の待機部屋を利用して行われた、弁護士と社会福祉士による無料相談会「風テラス」で明らかになったことのひとつは、「相談内容の大半は、通常の法律相談や生活相談と変わらない」ということだったからだ。

2016-03-01 23:14:08
倉沢 繭樹 @mayuqix

しかし、行政が行う福祉サービスのほとんどは、当事者が出向き、相談・契約することでしか受けることができない。著者の坂爪氏は、「風テラス」実施に際して、その方針をこう記している。

2016-03-01 23:14:33
倉沢 繭樹 @mayuqix

「これまでの行政やNPOによる相談事業の多くは、担当者や専門家が相談所の椅子に座って相談者の来訪や電話を待つ、という受け身のスタイルが中心だった。しかし自発的に相談に来ない・来られない人が大半を占める風俗の世界に対しては、そうしたスタイルは全く無意味だ。

2016-03-01 23:15:10
倉沢 繭樹 @mayuqix

そこで、ソーシャルワークの世界で『アウトリーチ』と呼ばれているスタイル=専門家が直接現場(店舗の待機部屋)を訪問し、その場で相談に応じる形にした」。

2016-03-01 23:15:38
倉沢 繭樹 @mayuqix

性風俗の取り締まりの歴史は、規制・浄化とアングラ化の繰り返しの歴史だった。現実が厳しく取り締まられれば、電話やネットの世界に移行した。性風俗の取り締まりを要求するのは「見たくないものを視界から消してくれ」という「善良な市民」の声なのかもしれない。

2016-03-01 23:16:36
倉沢 繭樹 @mayuqix

しかしその結果、無店舗化・デリヘル化が進行し、働く女性たちのリスクは上昇した。

2016-03-01 23:17:00
倉沢 繭樹 @mayuqix

二〇一五年一月二〇日、警視庁保安課らは、国内最大級のデリヘル「サンキューグループ」の代表者や従業員ら合計二一人を、売春防止法違反(周旋)容疑で逮捕した。三〇分三九〇〇円をウリにする激安店で、また、わずかな追加料金で生本番を行わせていた形跡があった。

2016-03-01 23:17:49
倉沢 繭樹 @mayuqix

そこで働いていたある女性は、在籍中、二回妊娠して、二回共自己負担で中絶したという。職場を失うのが怖くて、店側に中絶費用を請求できなかった、という。しかし、彼女は自身が抱える困難から、そこにしか居場所がない、と思い、辞めなかった。

2016-03-01 23:18:27
倉沢 繭樹 @mayuqix

「本番したでしょ?」との警察の取り調べにも、オーナーをかばって、決して「はい」とは言わなかったそうだ。

2016-03-01 23:18:49
倉沢 繭樹 @mayuqix

そうした現実を不可視化して、見かけだけクリーンにして安堵している社会こそ死んでいる。

2016-03-01 23:19:14

参照

坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

そもそも、日本の知的障害者福祉は、ちえおくれの震災孤児の少女たちが、売春婦として売買される現実をなんとかしたい、という社会事業家たちの憤りから出発しているので、知的障害の女性と売春・性風俗の問題は、タブーでもなんでもなく「知的障害者福祉の原点」です。

2013-12-10 17:13:59
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

売買春に関して業界関係者や女性団体の間でよく言われる「警察黙認説」、個人的には結構怪しいと思うんですよね。個人間売春を取り締まらないのは、物理的にも法律的にも人員的にも取締りようがないからであって、結果的に故意に黙認しているように見えるだけ、なのでは。

2014-10-05 22:15:22
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

「風俗業界の健全化」は昔から言われていますが、経営者側にとってもユーザー側にとっても「社会的・法的・衛生的に不健全であるがゆえのメリット」が利益や効用の源泉になっている部分が大きいので、サービスや営業の健全化は、ほとんどの場合デメリットにしかならない。

2014-10-19 21:25:55
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

零細個人経営はともかく、まともに風俗店を経営しようと思ったらスカウト以外の方法での女性の安定供給は不可能=条例違反のスカウトに頼らざるを得ないので、「風俗の健全化」は完全な無理ゲー、というのが今日の結論でした。

2015-04-13 13:49:49
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

素人がデリヘル経営に参入してもこの「スカウトの壁」にぶつかって行き詰まることが多い。そこで清濁併せ呑んでスカウトと組むか、そこまでブラックにはなりたくないと廃業するか。デリヘルバブル崩壊以降、大半の新規参入組は後者を選んだのでは。

2015-04-13 14:02:21
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

来週は、「風俗の活性化を目指して市場原理を貫徹すると、稼げる女性/稼げない女性の二極分化が起こり、前者に指名が集中することで消費速度が高まり、稼げる女性の職業寿命がAV女優並に短くなり、結果的に皆が儲からなくなって市場が逆に縮小するのでは」という仮説の取材に行く予定です。

2015-08-01 10:29:57
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

これまでソーシャルワーカーやNPOが風俗になかなか手を出せなかった理由は、もちろんスティグマの問題もありますが、単純に、関わるために最低限必要な法律・福祉・医療・経営等の知識が膨大過ぎる上に、それらを体系的に学ぶ場がどこにも無かったからなのでは、と。

2015-12-14 22:14:30
坂爪真吾 一般社団法人ホワイトハンズ代表 @whitehands_jp

「貧困という切り口で風俗が語られるのはもうウンザリ」という人が多いと思いますが、貧困という文脈をもってしてすら問題化されない世界もあるので、むしろこの状況を逆手に取るべきかと。路上にいないホームレス 女性たちの「見えない貧困」 news.yahoo.co.jp/feature/79

2015-12-16 17:13:00
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コメント

ぼんじゅ〜る・Fカップ @France_syoin 2016年3月2日
「〜は死んだ」とかいう人の胡散臭さは永遠に変わらないw風俗なんぞ何度も取り締まり強化されてもふてぶてしく生き残るゴキブリみたいなもんだわwそれをやすやすと死んだとか片腹痛くてまともに読めないというか読んでないので実際どういう流れなのか全くわからないけどなw
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Daiji @Daiji75 2016年3月2日
無店舗化は「見たくないもの」を見えない所に追いやっただけという話。そしてスカウトの困難さの話。 結果、ヴァニラやまるきゅーもの下品な求人広告ラッピングトラックが都内を爆音で流すというアイロニー。 サンキューも当初は店舗型だったよね。
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