140ssログ2月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

さらさらと流れる髪から匂いがした。何の香りだろうと、石切丸は一筋掬って近付ける。荷葉かな。尋ねると嬉しそうに。三日月さんが薫いてくれたんだ、と。そう、月の入れ知恵、蓮の香。嫉妬はにこりと誤魔化して、一緒に湯殿に行こうかなんて。いやいや、香りを消すためにね。それだけだよ。(石かり)

2016-02-28 18:16:45

せんかのとき

やまたに @mw_snc

せのびをする、その口付けは好きじゃないと薬研は思う。けれど、屈んでくれというのも嫌で。どうしてあんたは打刀の中でもでかいんだ。八つ当たりの文句は、小さい方が良かったですかという質問で返された。小さい宗三を妄想する。いや、美人の上に可愛さまで出てきたら大変だな。(薬宗)

2016-02-07 09:17:41
やまたに @mw_snc

んん、と喉を鳴らすと宗三が首を傾げる。医者の不養生ですか。空気が乾いてるんだろ。水を飲むと案の定いがらっぽさは消える。あんたの声も掠れてんな。風邪か、と問うと、馬鹿、と。夜にあれだけ叫ばせたくせに。ついでに顔も赤いから、今日は休みにしちまおうか。あなたの看病で。もちろん。(薬宗)

2016-02-07 09:23:47
やまたに @mw_snc

かってなひと、と宗三は呟く。そうだなぁ、と薬研は頷いた。ずるいひと。うん。意地悪。ああ。ひとつひとつの罵倒に頷く度に、宗三の方が泣きそうになる。どうしても、僕に言わせたいのですか。だって、俺ばかりじゃずるいだろう。好きです。うん。勝手でずるくて意地悪をしたのは僕。(薬宗)

2016-02-07 09:33:22
やまたに @mw_snc

のぞみはなんですか。その問いかけに薬研は答える。あんたの笑った顔が見たい。はあ、と皮肉げに笑えば、そうじゃない、と。楽しそうな笑顔が見たい。無理です。無理じゃない。いいえ、愛しきひとが焼けてから、僕は何も楽しくありませんから。傷付いた顔は、その正体に気付いてか気付かずか。(薬宗)

2016-02-07 09:44:12
やまたに @mw_snc

とおい昔の話だ。主の大事な大事な宝、それに一目惚れをした。そう、返る声は冷たい。美しい刀だった。雅のわからん俺にわかるほど。そうだね、こくりと頷く。なぁ、本気なんだ。それで、青い瞳が見定める。宗三と俺のこと、許しちゃくれないか。いつも答えは決まっているのだけれど。(薬宗+小夜)

2016-02-07 10:45:35
やまたに @mw_snc

ききたくない。と小夜は拗ねる。だって、僕の兄様だ。その頭を膝に乗せて、宗三は告げる。そうですね、あなたの兄様ですよ。ようやく甘えることを、駄々を知った子供に囁く。でもね、たった一度だけ薬研のものになるんです。言わないで、叫んだ。最期はね、薬研に全部あげるんです。(薬宗)

2016-02-07 10:50:45

バレンタイン

やまたに @mw_snc

ちいさなそれを口に含んだ。甘くて苦い、西洋の菓子。なんだ、俺っちにくれるつもりじゃなかったのかい。今日が何の日か知っている薬研が拗ねる。拗ねて尖らせた唇に、己のそれを重ね。ねぇ、こういうのお好きでしょう。その言葉は、熱い舌に阻まれて。二人の間でとろりと溶ける。(薬宗)

2016-02-14 09:49:51
やまたに @mw_snc

ようがしは馴染みが薄いなぁ、と獅子王は盆を手に部屋に向かう。馴染みがないのは当人よりも、渡す相手の方だ。かといってこの日に団子も面白くない。ので妥協案。みっかづきー。ガタン、と足で襖を開けて。今日の八つ時は獅子王様特製ちょこ大福だぜ。彼が今日を知っているかは知らない。(じじしし)

2016-02-14 10:30:54
やまたに @mw_snc

こうするものらしい、と甘い香りのクリームを被った弟に、髭切はきょとんとした。体温でどろりと溶けるその感触に、弟の眉がきゅっと寄る。どこでそんな間違った話を教えられたのだろうね、とか、気になることはあるのだけれど。まぁ、ごちそうさまの後でにしようか。全部美味しく食べてから。(髭膝)

2016-02-14 10:36:25
やまたに @mw_snc

れいせいになってよ。両手を挙げて青江は叫ぶ。だって君が言ったんだろう。石切丸がにこりと笑う。その手には溶かしたちょこ。こうするのがばれんたいんなんだよね。その口上は誰かに教えた記憶があるね君にじゃないけど。私にくれる気はなかったのかい。ああもうしょんぼりしないでくれっ。(石かり)

2016-02-14 10:42:48
やまたに @mw_snc

いしきりまるへ。なんて書かれた綺麗な箱を見つけて、贈り主を思い浮かべて微笑む。中身は当然、見当はつくけれど。石切丸はそれを袂に入れて、部屋を出た。だってどうせなら、恥ずかしくてここから逃げてしまった君の、真っ赤に染まった顔を見ながら食べたいじゃないか。(石かり)

2016-02-14 22:23:54
やまたに @mw_snc

とけてとろけて、べたべたになった体を二人で洗い流して。薬研、お味はいかがでしたか。湯船に浸かりながら尋ねた。体を洗う途中の薬研がそのまま近付く。美味い以外に出てこねぇな。ちょこのことですか。どっちもに決まってるだろ。よく出来ました、と泡だらけの胸に指ではあとの印を描いた。(薬宗)

2016-02-14 22:29:13
やまたに @mw_snc

ちょっとだけ、と味見の代わりに横の口へと放り投げた。宗三くん、美味しいかい。甘すぎませんか。返事と共に青江の口に詰め返す。苦い、と口にするのは子供舌のようで。石切丸は甘い方が好きだからねぇ、それだと苦いかな。なんて言い訳に、結局宗三はくすりと笑った。(石かり+薬宗)

2016-02-14 22:56:54
やまたに @mw_snc

よこがおを見つめる。赤い頬。落ち着かない視線。綺麗だなぁ、可愛いなぁ、少しだけ可哀想なことをした。あのね、青江。作ってくれた君の顔を見ながら食べたかったんだよ。意地悪しようとしたんじゃなくて、赤くなった君が可愛いだろうなって。黙って食べて。ぴしゃりと一言。でも逃げない。(石かり)

2016-02-14 23:10:07
やまたに @mw_snc

これもちょうだい。にこりと笑った髭切の指先にはちょこの山。渡せるわけがない。僕以外にあげるのかい。失敗作だから兄者にはやらん。君が作ったものなのに。兄者には成功したのをやっている。そんな押し問答の末、彼はやっぱりにっこり笑って。ひざまる、ちょうだい。それで終わり。(髭膝)

2016-02-14 23:24:52
やまたに @mw_snc

れいだ、という声と共に、宗三の上に花びらが降る。赤と桃色でまとめられた花びらだ。ちょこの礼。繰り返される言葉の終わりには口付けも降って。お兄様の入れ知恵ですか。俺じゃあ花より美人な恋人に贈るつもりはなかったからなぁ。そうですか。ああ、きっと僕も花と同じ色をしている。(薬宗)

2016-02-14 23:42:05
やまたに @mw_snc

いとしいこ、と頭を撫でる。続けて頬。唇。されるがままの弟は、擽ったそうに肩を揺らして。かわいいこ。首をなぞって、二の腕へ。手首、手のひら、傷だらけの指先。手作りじゃなくても良かったのに。そう責めると。兄者にあげるのに、か。それは嫌だと首を振るからまた愛しい子。(髭膝)

2016-02-15 00:00:16
やまたに @mw_snc

とちゅうは見てはいけません。そうふたりまとめて厨から追い出された。どうせちょこだってわかってんのに、呟いた子供に石切丸は同意する。お腹が空いただけなのにねぇ。まぁ仕方ない、と顔を見合わせて。それは別を当たることにする。だって、奥さんには帰られたくないものだろう。(石かり+薬宗)

2016-02-15 00:13:26

猫の日

やまたに @mw_snc

にゃあ、と鳴く。鳴いたあとに頬を染める。恥ずかしがるなら言わなくたっていいんだぜ、お姫さん。薬研が苦笑すると、むうと唇が尖った。こういうの、好きでしょう。だから、と言われると猫真似よりその気持ちが可愛い。俺のためか。その返答は誤魔化すような、にゃお、だった。(薬宗)

2016-02-22 20:21:57
やまたに @mw_snc

にゃあ、と鳴く。獅子の王の猫真似に、微笑んだ。猫の日だろう 。今年は教えてもらったぞ、と自慢すると不満そうに首を横に振られる。はて何か違ったか。にゃーあっ。詰め寄る鼻先への口付けは拒まれない。ううん、と悩んで、悩んだあとに。みゃ。月の鳴き声に満足そうに獅子が鳴いた。(じじしし)

2016-02-22 20:22:10
やまたに @mw_snc

にゃあ、と鳴く。その戯れに石切丸は指を伸ばして喉を擽る。にゃあお。細められた瞳に調子に乗って、耳の付け根を撫でた。んにゃっ。ぴくりと肩が跳ねる。尾はないから、かつて尾へと続いた骨をなぞり上げた。こ、らっ。慌てる声。ああ、喋ってしまったね。苛めすぎたかな、私の子猫さん。(石かり)

2016-02-22 20:22:20