通勤電車その後－きみくん編－（未完）

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後1】彼女side 最近…。 気になる人ができました。 初めてその人に出会ったのは、裏路地に入った開店したばかりのご飯屋さんに、同僚と昼ごはんを食べに行った日のこと。 その人はレトロな雰囲気の店内の窓際の席で半熟の卵が乗ったハンバーグランチを食べていました。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後2】彼女side 色白で、柔らかそうな唇、思わず見惚れてしまうくらいに整った顔立ちで。 王子様みたいな人って本当に居るんだなぁ…と思いながら見ていたら、目があった気がして、なんだか無駄にドキドキして、思わずその場から、動けなくなりました。 「どうしたの？」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後3】彼女side 「ううん、なんでもない」 同僚に促されるように、椅子に座って、メニューを見始めるとマスターが寄って来て。 「注文はどないします？」 って顔を覗き込まれて驚いていると、さっきの人が居た方から、マスターを呼ぶ声がして、私も一緒に振り返った。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後4】彼女side 「まるー。お会計！」 「あ、よこちょ、もう帰るん？」 「あんまりゆっくりしとると昼休み終わってまうからな。また、来るゎ」 そう言って王子様はお店を出て行ってしまった。出て行く姿を思わず目で追ってしまう。あの王子様、よこちょって言うんだ。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後5】彼女side とりあえず、注文したマスターオススメのビーフシチューは美味しかった。 けど… 頭の中はあの王子様の名前の想像でいっぱいで。 昼休みが終わってからもずっと、王子様のことを考えていた。 横井さん、横…？ でも、どれも王子様っぽくないな……

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後6】彼女side でも、明日も行ったら、会えたりするのかな？ なんて思ったりしてしまう。 思わずニヤニヤしてしまって。 「何か、いいことでもあったの？」 同僚に声を掛けられた。 「あ、いや、その…さ。今日お昼に食べに行った美味しかったなって思ってさ…」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後7】彼女side 「そうだね。また、近々行こうか。マスターもイケメンだったしさ」 「うん」 私、無意識のうちに笑ってた？ なんか、恥ずかしいな。 でも、もし、あそこの店に行ったら…… また、あの王子様に会えるのかな？ 会えるのなら、また、会いたいな……

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後8】侯隆side 俺の働く会社の近くに店をオープンしたって丸が言うから、昼飯を食いに行ってみた。 ホンマは同僚と行くはずやったんやけど、別の奴に呼ばれて行ってもうたから、しかたなく1人で。 ドアを開けたら、昼時ゆうこともあって。意外と混んでいて、出直すか…

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後9】侯隆side そう思ったら、丸が急いで駆け寄って来た。 「よこちょ用に、予約席あるから」 って言われて窓際の席に通された。 「1人で来たん？」 「同期を誘ったんやけど、先約居って」 「同期って、女の子？」 「まぁ、そうやな」 「彼女？」 「ちゃうゎ、ボケ」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後10】侯隆side やっぱり、しばらくは、恋とかする気にはなれへんよな。 失恋には新しい恋が効くとか言うやつ居るけど、俺はなかなか、そうはいかへん。それだけ、好きやったんやな。 女々しいかもしれんけど、こればっかりはな……。しゃあないやん？せやろ？

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後11】侯隆side 頼んだ飯を食うてると、店に入って来た女の子2人組のうちの1人と目が合う。 急いで目を逸らされるから、何か付いとるん？ 心当たりを考えて、急いで紙ナプキンで唇の周りを拭く。 あ、やっぱり… 侯くん、口元にソース付いてるよってよく昔は…

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後12】侯隆side あかん、あかん、あかん。 そんなん考えとったら、ダメなんわかっとるのにな… 別れた…？ いや、振られたのか…？ まぁ…。とりあえず、まだ、かなりあいつのことを俺が引きずっていた頃。 今となっては、もういい思い出やと思うんやけどな。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後13】彼女side 「今日のお昼どうしようか？」 っていう同僚の誘い。 また、あそこの店行きたい！会える保証はないのに、そんなこと思ったりしてしまって。 どんだけ単純なんだろ。 「どこでもイイよ」 「じゃあ、また昨日の店に行く？」 「え？なんで？」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後14】彼女side 「んー？あのマスターのこと気になってるのかな？って思って」 「え？」 「確かにご飯は美味しかった。でも、また行きたいって言うの珍しいし、マスターイケメンだったし？」 「いや、いや、いや、思ってるようなことないから。本当に気にしないで」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後15】彼女side 「なんか、そういう風に言われると、ますます怪しいな」 「なんか楽しそうやな。2人。俺も一緒に飯行こうかな？」 「あ！村上さんも行きますか？」 「迷惑やなかったら、えぇか？」 「その代わり、奢ってくださいよ」 「なんで、そうなんの」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後16】彼女side 「ほんで、何食べ行くん？」 「実はぁ…」 同僚はニヤニヤしながら、村上さんに耳打ちをする。 きっとあのこと言ってるんだ… 思わずため息が出る。 「それじゃ、そこ行くか」 って村上さんも無駄にニヤニヤしている。 だから、違うのに。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後17】彼女side 「そのマスターがどんだけイケメンか見極めたるゎ」 「村上さんまで、違うって言ってるじゃないですか」 私が気になるのは、マスターじゃなくて、王子様なのに…。 ん？気になる？いや、彼は目の保養みたいなもんじゃないか。 何を思ったんだ。私…

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後18】彼女side そんなことを思いながら、また溜息を着く。 「でも、俺としては心中、穏やかやないなぁ…。お前に気になる奴が居るって」 「え？」 「ん？何でもないゎ。ほな行くで？奢ったるから」 「やった！何にしようかな？」 「上限1人756円までな」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後19】彼女side 「ケチですね」 「ケチやないゎ。ったく、昔からホンマにもう。可愛げ無いゎ。奢ったるだけでも、ありがたく思え！」 同僚と村上さんのやり取りを一歩引いて見ていると 「そんなとこ突っ立っとらんと行くで？」 村上さんにいきなり手を引かれた。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後20】彼女side 「あっ、今日はお休みなんだ。残念」 行ったら店は閉まっていて、無駄に安心した。 「そしたら、定食屋行くか？」 仕方なく、近くの定食屋に行く。 「ですね…。じゃあ、私、エビフライ定食がいいな」 「何で、お前そんなん高いもんばっかり」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後21】彼女side 「それは、村上さんの奢りだから♡」 「はい、はい、わかりました、わかりました」 そんなたわいもない会話を眺めながら、定食屋の暖簾を潜る。 やっぱり、安くて、美味しい定食屋は昼ごはんどきは混んでいて。 「ごめんね。相席でもいいかな？」

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後22】彼女side 申し訳なさそうな顔をしながら、定食屋のおばちゃんが言って来る。 「えぇよ」 「ごめんね、そしたら、すみません、相席いいですか？」 「え、あ、はい…」 「そしたら、ここの席に1人とあそこの席と…」 手際良く席を案内された席に着いた。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後23】彼女side 「すみません…」 隣に座る男の人に声を掛ける。 「あ、自分、避けますよ。やっぱり女の子は女の子同士の方がランチは楽しいやろ？おばちゃん、俺…席変わるゎ」 と軽く会釈をして、その人の姿を見て固まった。えっ…？嘘…。 昨日の王子さ…ま？

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後24】彼女side 「どうかしました？」 「え、いや、な、何でもないです！」 「侯くん、本当に悪いねぇ」 って言いながら、お冷を持っておばちゃんがこっちに寄ってくる。 「ええよ、気にせんとさ」 え？王子様…名前…。 横なんとかキミくんって言うんだぁ。

PoKo @Poko8_m

【通勤電車 その後25】彼女side それに、さり気なくレディファースト？ やっぱり、王子様だなぁ♡♡♡ 「ほー。お前、あんなんがタイプなんや」 「いや、別にそういうわけじゃ…。あれ？何で村上さんが？」 「あ、あいつ向こうの席が良かったみたいやで？友達が居ったみたいやし」