「戦車まんが映画」としての「ガールズ&パンツァー劇場版」

「ガールズ&パンツァー劇場版」を見て感じた「戦車挙動」の描写について考えた事をまとめました。
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Hiroshi Kasai @heron64

ガルパン4DX鑑賞終了。 劇場版としてボリュームアップ・スケールアップすべき部分を正しく拡大して見せた満腹感は申し分なし。 4DXの体感性もビークルアクション物との相性は大変よろしいかと。ドラマの盛り上がりを「顔に当たる雨の強度変化」で演出されるというのには目から鱗が流れ落ちたw

2016-03-10 16:28:55
Hiroshi Kasai @heron64

ガルパンの「戦車戦」描写におけるスピード感や機動力を見る度に、あれは「戦車のような形をした別の何か」なのだと思って来たのだけど、劇場版を見ることでそれを言語化出来た気がする。 あれは「まんが映画としての戦車」だ。 例えば宮崎駿がカリ城でフィアット500をそうしたような意味で。

2016-03-10 18:47:44
Hiroshi Kasai @heron64

飛んだり跳ねたりドリフトしたり、挙げ句の果てには他戦車に乗り上げ、コースターのレールを疾走して…およそ実車では不可能な機動をしつつも、サスペンションの挙動やらGの表現やら、細部の描写を積み重ねる事で何となく説得力を出している。履帯も切れる時には切れて、尤もらしく伸びてみせる

2016-03-10 18:56:35
Hiroshi Kasai @heron64

描写してる側が「わかってやってますよ」と目配せを送ってみせる事で、荒唐無稽なアクションの数々が「デフォルメーション」として受け手との間で許容され受け入れられて行く。 何よりも「見てて気持ち良い」のだから大正義ではないかと、お互いに開き直って共犯関係になっていく。

2016-03-10 18:59:38
Hiroshi Kasai @heron64

劇場版の後半クライマックスとなる廃遊園地は、その造形と言いギミックと言い、この「まんが映画としての戦車」を最大限に活用・駆使して見せるための舞台として実に見事に設計されていた。 「日本の町中の実景」の精緻なロケハンを元に構成されたこれまで通りのアプローチの前半バトルと実に好対照。

2016-03-10 19:04:56
Hiroshi Kasai @heron64

飛んだり跳ねたり乗り上がったり転がったりが、これまで以上に極端に誇張して手放しで「気持ち良く」描かれた事によって、この「まんが映画」性が実に際立って来た。 CGIというある種硬質な手触りのグラフィックなのに、その挙動の描写によってガルパン世界の戦車は何か「弾力感」がある。

2016-03-10 19:08:49
Hiroshi Kasai @heron64

物語的には中盤の「またまた廃校騒動」と言うのは、まあ停滞感を感じないでもないのだが(田舎の分校めいた風景造形は素敵だった)、それ以外は本当に開き直ったかのように「戦車戦」しかしない。 その潔さ故に、この映画は吹っ切れて傑作になったのではないだろうか。

2016-03-10 19:14:30
Hiroshi Kasai @heron64

どこかでガルパンに対する海外の評価か何かで「戦車ポルノ」という言い回しを見て、上手いこと言うなあと思っていたのだけど(だって見たい物しか出て来ないw)、さすがに人に説明するのにその言葉はないなあと悩ましかった。 これからは「戦車まんが映画」という言葉を使うようにしようw

2016-03-10 19:18:10
Hiroshi Kasai @heron64

ガルパンの映像としてのワンダーの基本は「大洗=見慣れた日本の街並みの風景」の中を戦車が走り回るという所にあったわけで、その意味ではまあある種の日常モノとしての世界観でやって来たわけだ。 それが今回の劇場版では「廃遊園地」という異界性を導入することでイメージの飛躍を得た。

2016-03-10 19:25:08
Hiroshi Kasai @heron64

ドラえもんが劇場版で魔界や宇宙や恐竜時代に行く事でスケールアップするのと同様に、ガルパン劇場版もイメージの飛躍と相俟って、戦車の機動もより奔放で闊達になって行く。 アクションを中心としたシリーズとして実に順当な進化であり世界観の拡大だと思う。

2016-03-10 19:29:15