「クリスさんクリスさん!!見てください!!海!海です!」柔らかな波が小さな砂の海岸に寄せる瀬戸際を素足を濡らしながら少女が駆ける。『はい、わかってますよ』日傘をくるくると回して振り返る少女を執事は眩しそうに見つめた。
2015-09-06 18:36:01掲示板に書かれていた通り、どういう構造なのか洞窟を抜けた先はよく晴れた海が広がっていた。やはりここまで綺麗な海は珍しいものなのか結構な人で賑わっているようだが別段遊ぶのに困るほどではない。良い人加減、といったところだろうか。
2015-09-06 18:39:05わぁ、とルビーの瞳をキラキラさせてサンダルのまま波打ち際を歩く少女に執事の少年は手を伸ばす。『ほら、どうぞお掴まりください。転んだら大変です』「わたし、そこまでそそっかしくないですよ?」
2015-09-06 18:42:02「ねぇ大変です。わたし気づいちゃったんですけど」『はい、なんでしょう?』「わたし、お手紙をくださったヴィゴさんって方を見てもわからないじゃないですか。ヴィゴさんがわたしを見つけてくれますかね?」『ああ、そういうことですか』確かに、と思いつつも執事の少年に別段焦った様子はなかった。
2015-09-07 23:51:10『それでしたら、お見かけすればぼくがわかります。一度しか、それもほんのちょっと短い時間お会いしたことしかありませんが…なんといいますか、一度見たら中々忘れられないくらい強烈にカッコいい人だったので』「まぁ!」悲しいことに何故少年がドヤ顔なのかを突っ込む人物はここにはいない。
2015-09-07 23:55:04「ヴィゴさんってどんなお方なんですか?」『いえ、ぼくもあまり知らないんですけど…こう、嫌味な感じが全くしない爽やかで愛想が良くてとにかく…なんていうか、カッコいい人です!ちょうどあんな感じの…』と少年が指をさした先には女の子の手を引いて戯れる長身の男の姿があった。
2015-09-08 00:01:55『っていうかあの人です!!!!絶対!!間違いなく!』「え?そうなんですか?まぁ、ではご挨拶に行かないといけませんね」俄然テンションが上がり気味の執事にくすくすと少女が笑いながら二人揃って男の元へと歩み寄った。
2015-09-08 00:07:12一緒に遊びに行けば良かったのに、と思いつつもじーっと大きなパラソルを組み立てる作業を見つめる少女に頰が緩んで仕方がない。ああ、これは存外、「幸せっテやつだネ」「なぁに?」「アハ♡なんでもナいヨ」重石を載せてパラソルを立てれば傾いた少女の麦わら帽子の角度を直してやる。
2015-09-07 23:41:09「いっぱい歩いて疲れなかっタ?」「へいき!まいにちさんぽしてるもん。あるくのすき!」「ソッカ、ちょっと元気がついてきたネ」「はやくみんなとあそびにいこう?」「じゃあ、海まで競争すル?」「いいよ。ヴィゴおそいからいっつもエマがかつけどね」満面の笑みで答える少女に男も笑顔を返した。
2015-09-07 23:46:00@applex004 「あの、すみません。ヴィゴさん…ですよね?」真新しい水着に薄手のパーカーを羽織った少女が日傘を上向きにさし直して覗き込むように男に話しかけた。その後ろには普段より幾分ラフな格好の少年が控えている。
2015-09-08 00:12:21@applex002 「アハ♡シャオ!!」声をかけられた方を向き、男はパァと笑顔を浮かべた。「わー、スッゴく久しぶりー!!また会えルのホントに楽しみにしてたんだヨー!元気にしてタ?今日もスッゴくキュートだネ♡♡」
2015-09-08 00:20:45@applex004 「きゃぁ!あ、あの…っ?」男の突然の行動に戸惑うも不安定な体制に思わず少女も男に手を回してしがみつく。確かに、想像していたよりも強烈(なキャラ)でカッコいい。
2015-09-08 00:30:57@applex004 「っ、……!」間近にある男の整った顔と、海という場所なだけあってお互いに普段よりも断然薄着であれば素肌が密着する体温にみるみる少女は真っ赤に染まった。
2015-09-08 00:31:03@applex002 男の知る少女なら蹴りの一撃や二撃受ける覚悟だったのだが、、あまりにウブな反応にきょとんと立ち止まる。 「小鳥チャン?太陽の浴びすぎでボーッとしちゃっタ?」
2015-09-08 00:41:46@applex002 不思議そうに首を傾げる男に、男の妹が後ろからタックルをかますとぎゅっと抱き着いた。「ずるいー!エマもだっこして!くるくるしてー!!」
2015-09-08 00:41:52@applex004 『あ、あの!主人が困っていますから!』「きゃ、」明らかにお淑やかな少女に小首を傾げた男から少年が奪うように少女を取り返す。フォローをしなければと思ったのは確かだけれど、あれ、なんでいまモヤッとしたんだろうと少年は内心で自分自身に小首を傾げた。
2015-09-09 12:23:07@applex002 むっとした表情の少年と目が合えば男はにっこりと微笑み返した。代わりに傍にまとわりつく少女を同じように軽々と抱き上げる。「アハ♡クリスクンだネ!キミともお久しぶり♡また会えて嬉しいヨ」言葉通り嬉しそうに少年の頭を撫でる。
2015-09-11 12:39:10@applex004 『あ…はい、お久しぶりです…、』完全に子供扱いを受け、少年は戸惑いながらも腕に少女を抱きしめたままであることを思い出し慌てて離した。「ふふ、びっくりしました」どちらに向けた言葉なのかはわからない少女の言葉に少年は頬を染める。
2015-09-12 21:23:51@applex002 「ウン、シャオと会うのは初めテだネ。エマ、ご挨拶は?」男に言われても黙ってじっと少女を見つめる。日に当たったことのないような白い肌、白い髪。優しそうな少女。……気に入らない。ぷいっと顔を背けると自身の兄にしがみ付くように肩口に顔を埋めた。
2015-09-12 21:28:37